寒い冬から春へと移り変わる時期、「春一番が吹きました」とニュースや天気予報で聞いたことがありませんか?
春一番と聞くと「春がすぐそこまで来ている」と感じる方も多いかもしれません。
では、春一番とはどういう意味なのでしょうか?
春一番が吹かない年もあるといいますが、本当でしょうか?
今回は、春一番について調べてみました。
春一番とは?
日本各地でそれぞれ観測され、早春(立春(2月4日頃)から春分(3月20日頃)までの間)に、その年に初めて南から吹く、暖かくて強い風のことをいいます。
西高東低の冬型の気圧配置が緩み始めると大陸に移動性の温帯低気圧が発生し、日本海で急速に発達します。その低気圧に向かって南からの暖かい風が入り込み、強風が吹き荒れる現象です。
春一番の定義は地域や気象台によって少し異なるようですが、基本的に「立春から春分までの間に、日本海を進む低気圧に向かって、南側の高気圧から10分間平均で風速8m/s以上の風が吹き込み、前日に比べて気温が上昇する」ことが認定基準になります。
立春と春分はそれぞれ太陽の動きを基準に1年間を24に分けた二十四節気(にじゅうしせっき)のひとつで、2月4日ごろが立春で、3月20日ごろが春分です。(日付は毎年必ず同じわけではありません)
吹かない年があるの?
春一番は、毎年必ず吹くものではありません。
認定基準を満たさないと春一番とはいえないため、立春の前や春分を過ぎてから南よりの強風が吹いても、それは春一番ではないのです。
近年では2021年に、九州南部・奄美地方は春一番が吹きませんでした。
春一番の由来は?
もともとは石川県能登地方や、三重県志摩地方、長崎県壱岐地方で昔から使われている漁師言葉という説があります。
旧暦の安政6年2月13日(新暦で1859年3月17日)に現在の長崎県壱岐市の漁師が漁に出ますが、強風によって船が転覆し、53名にのぼるの遭難者を出しました。
それ以来、漁師たちはこの時期に吹く強い南風を「春一」または「春一番」と呼ぶようになり、恐れられたるようになったそうです。
また、海難事故以前から「春一」と呼ばれていたものが、事故をきっかけに広く知られるようになったとも言われています。
春一番が吹くとどうなるの?
春一番は、風速8メートル以上の強風が吹きます。
このとき、突風や竜巻、高波の被害が報告されることもあります。
また、春一番が吹いた日は気温が上がって暖かくなりますが、翌日には冬型の気圧配置に戻り、寒くなることが多いそうです。これを「寒の戻り」と言います。
春一番が観測されるには、さまざまな条件があることがわかりましたね。
春一番があるのなら、春二番、春三番も・・・?と調べてみましたら、正式な気象用語としては存在しませんが、一般的に「春一番の後に吹いた同じような風」のことを、春二番、春三番と言うそうですよ。
2015年は東京では春一番が観測されませんでした。
2015年以降は毎年吹いていますが、2022年はどうなるのでしょう?
春の訪れを感じる春一番に吹いてほしい気持ちもありますが、強風による被害があるのなら吹いてほしくないとも思ってしまいますね。
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