
彼岸花は、お墓や田んぼのあぜ道、川岸、土手などに咲く赤く美しい花です。
そんな彼岸花ですが、なぜ縁起が悪いといわれるのでしょうか?
彼岸花の花言葉と別名を一覧にしました!
彼岸花とは?

読み方は「ひがんばな」です。
ヒガンバナ科・ヒガンバナ属(リコリス属)の多年草です。
秋のお彼岸の時期に咲くので「彼岸花」と名付けられました。
お彼岸は春と秋にあります。
●春のお彼岸
春分の日(毎年3月20日ごろ)を真ん中に、前後3日間を合わせた7日間
●秋のお彼岸
秋分の日(毎年9月23日ごろ)を真ん中に、前後3日間を合わせた7日間
お彼岸についての詳細はこちらをご覧ください。
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彼岸花は中国が原産の植物で、日本には紀元前8世紀~3世紀ごろに稲作とともに伝わって来たとされている史前帰化植物(しぜんきかしょくぶつ)のひとつです。
史前帰化植物とは、有史以前に外国から日本に伝わった植物のことです。
有史とは、文字によって歴史が記録されている時代のことで、それ以前を「有史以前」といいます。
現在は、本州・四国・九州の各地で彼岸花を見ることができます。
とくに近畿地方や中国地方に多く分布しています。
出典:川名瑞希「彼岸花にみる生活世界―命名と名称分布から―」『常民文化』第41号、成城大学常民文化研究会、2018年
北海道では寒さのため、地面に植えたままでは冬を越すのが難しく、自然に生えている姿はほとんど見られません。
落ち葉をかけて防寒をしたり、鉢植えを温室で育てたりして咲かせている場所はあります。
沖縄では彼岸花の数は少ないですが、公園や花壇などで見ることができます。
出典:琉球新報「秋の気配、鮮やかに 南風原でヒガンバナ咲く 沖縄」2024年9月20日
彼岸花はなぜお墓や田んぼのあぜ道に咲いているの?
彼岸花がよく咲いているのは、お墓や田んぼのあぜ道、川岸や土手です。
日本で見られる彼岸花は種子を作らないため、自分の力では生えている場所を広げられません。
そのため、こうした場所に咲いているのは、ほとんどが人の手で植えられたものです。
川岸に咲いているものは、洪水などで球根が流されて根づいたと考えられています。
それでは、なぜ人はお墓や田んぼのあぜ道、土手に彼岸花を植えたのでしょうか?
毒性を利用するため
彼岸花の鱗茎(りんけい・球根の部分)には、リコリンという有毒成分が含まれています。
食べると強い吐き気や下痢などを引き起こす有毒物質で、重症の場合は意識障害などを引き起こし、最悪の場合、亡くなるケースもあります。
昔の人は彼岸花の鱗茎に含まれるリコリンの毒性を利用しました。
●墓地

現在の日本では人が亡くなったら火葬をしますが、昔は土葬をしていました。
土葬をした遺体が動物に荒らされるのを防ぐため、墓地に彼岸花を植えました。
●田んぼのあぜ道や土手

ネズミやモグラなどが土に穴を掘って田んぼのあぜ道や土手を崩したり荒らしたりするのを防ぐため、彼岸花を植えました。
食用とするため
また、いざというときにすぐ掘り起こせるよう、人がよく通るあぜ道や土手に植えておいたという理由もあります。
彼岸花は救荒作物(きゅうこうさくもつ)でもあるからです。
救荒作物とは、災害や天候不良などで米や麦などの食料が不足したとき、代わりの食料として利用できるよう栽培する作物のことで、備荒作物(びこうさくもつ)ともいいます。
彼岸花の鱗茎にはでんぷんが含まれており、リコリンは水に溶けます。
そのため、江戸時代(1603年~1868年)以前は食糧不足の時には彼岸花の鱗茎を水にさらして毒抜きしてでんぷんを食べていたそうです。
彼岸花の花言葉は?
彼岸花の花言葉は以下の通りです。
- 悲しい思い出
- 諦め
- 独立
- 情熱
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彼岸花の別名一覧!
彼岸花には1000以上の別名があるといわれています。
一部地域でしか呼ばれない別名も多くあり、そのすべてをご紹介するのは大変難しいので、代表的なものをご紹介します。
仏教が由来の別名
●曼殊沙華(まんじゅしゃげ)
サンスクリット語の「マンジュシャカ(manjūṣaka)」に漢字をあてたもので、「曼珠沙華」とも書きます。
天上に咲くめでたい赤く美しい花という意味があります。
●天蓋花(てんがいはな)
仏像の頭上にかざす天蓋という装飾に似ていることから名づけられました。
死を連想させる別名
彼岸花は秋のお彼岸のころに墓地で咲くため、昔から死や弔いと結びつけて考えられてきました。
そこから生まれた別名です。
- 死人花(しびとばな)
- 幽霊花(ゆうれいばな)
- 地獄花(じごくばな)
- 葬式花(そうしきばな)
- 墓花(はかばな)
- 仏花(ぶっか)
毒性が由来の別名
- 毒花(どくばな)
- 痺れ花(しびればな)
- 痺れ草(しびれぐさ)
迷信が由来の別名
●蛇花
子供が彼岸花に近づかないように「蛇の毒がある」「蛇がいる」と戒めました。
●火事花(かじばな)、家焼花(いえやきばな)
子供が彼岸花を家に持ち帰らないように「持ち帰ると家が火事になる」と戒めました。
●手腐り(てくさり)
子供が彼岸花を摘まないように「摘むと手が腐るよ」と戒めました。
花の性質が由来の別名
●葉見ず花見ず(はみずはなみず)
彼岸花は、秋に花を咲かせ、花が終わってから葉が出て冬を越し、夏に枯れます。
花があるときは葉がなく、葉が出るときは花がないことから名づけられました。
●捨子花(すてごはな)
花と葉が出会わないことが「お互いを捨てている」ように見えることから名づけられました。
花の見た目が由来の別名
●狐のつく名前
- 狐の松明(きつねのたいまつ)
- 狐のかんざし
- 狐花(きつねばな)
「狐の松明」「狐のかんざし」「狐花」のように「狐」のつく名前は、岡山県や広島県、和歌山県の熊野地方など各地にあります。
柳田國男は、彼岸花が生えるのはさびしく気味の悪い場所が多かったことが、「狐」という名をつけた隠れた動機ではないかと述べています。
なかでも「狐の松明」は福井地方の呼び名で、柳田は、真っ赤に咲き連なる彼岸花の光景が松明の行列を思わせるからだと書いています。
野原に火の光が続くのを「狐の嫁入り」というのと同じ見立てで、「狐の扇」「狐の嫁ご」という呼び名もありました。
●剃刀花(かみそりばな)
細長い葉の形が剃刀に似ていることからついた名前で、「狐の剃刀」「かみそり草」とも呼ばれます。
民俗学者の柳田國男は、昔の子どもは月代(さかやき)を剃られて痛い思いをしており、剃刀を身近に感じていたので、それと形の似たこの草を自然にそう名づけたのだろうと書いています。
●提灯花(ちょうちんばな)
茎を折って花をぶら下げ、提灯のようにして遊んだことからついた名前です。
出典:川名瑞希「彼岸花にみる生活世界―命名と名称分布から―」『常民文化』第41号、成城大学常民文化研究会、2018年
このほか、次のような呼び名もあります。
- 天狗の鼻(てんぐのはな)
- 灯籠花(とうろうばな)
- 雷花(かみなりばな)
その他の別名
●リコリス
学名の「Lycoris(ヒガンバナ属)」からきた呼び名です。
●石蒜(せきさん)
中国での呼び名です。
江戸時代の図鑑『訓蒙図彙』や『和漢三才図会』では「石蒜」が項目名になっており、「彼岸花」や「曼殊沙華」のほうが別称として紹介されていました。
なぜ縁起が悪いといわれるの?
彼岸花はよく「縁起が悪い」といわれますが、その理由はいくつかあります。
- 彼岸花の鱗茎に毒があり、食べると死んでしまうこともあるから
- 墓地に咲く花というイメージが定着しているから
- お彼岸に咲く花なので「死」をイメージするから
- 花が真っ赤で「血」をイメージするから
- 先ほど紹介したとおり不吉な別名、怖い別名があるから

彼岸花は有史以前から日本にある花なのですね。
昔の人々は、彼岸花の持つ毒性を恐れつつも利用していましたし、食糧不足のときには食用になる大切な植物だったのですね。
現在も「縁起が悪い」というイメージが残っていますが、彼岸花の群生地は赤いじゅうたんのように見えて圧巻ですよ!
彼岸花が咲く時期には、ぜひ、群生地を訪れてみてはいかがでしょうか。

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