日本には懐石料理(かいせきりょうり)といわれるものがありますが、あまり食べる機会がないだけに、料理の順番やマナーがわからない・・・という人も多いかもしれません。
今回は、懐石料理についてわかりやすく解説します。
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懐石料理とは?
懐石(かいせき)料理とは、茶道で提供される料理のことです。
正式な茶事(ちゃじ・ちゃごと、食事を伴った客のもてなし方)において、「薄茶(うすちゃ)」「濃茶(こいちゃ)」の前に提供されます。
お茶の席で空腹では、お茶の味が楽しめないということで、懐石料理で空腹を満たすそうです。
懐石料理という言葉が使われ始めたのは江戸時代(1603年~1868年)からで、千利休が茶道を確立したころに広まったといわれています。
あくまでもお茶が主役であり、お茶を引き立てるような料理が求められ、お茶を味わうことに差支えのない量で提供されます。
懐石とは、寒い時期に軽石や蛇紋岩(じゃもんがん)などを火で加熱したものや、温めたコンニャクなどを布に包み懐(ふところ)にいれる温石(おんじゃく)という暖房具を意味しています。
暖房具である懐石と料理が結びついた経緯は、修行中の僧が寒さや空腹をしのぐために温石を懐に入れていましたが、客人をもてなしたいが食べさせるものがなく、せめてものおもてなしにと温石を渡し、客の懐に入れてもらったという説が一般的です。
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料理の順番、食べるときのマナーは?
懐石料理は、一汁三菜が基本です。
折敷

最初に折敷(おしき・足のない膳)が出されます。
折敷には飯椀、汁椀、向付(むこうづけ・刺身や酢の物)が乗ります。
まず、ご飯と汁をいただきます。
蓋を上向きに返し右に置き、飯椀の蓋の上に汁椀の蓋を重ねます。
このとき、飯椀、汁椀、置いた蓋が一直線になるように置きます。
口を付けるのは汁が先で、その後は交互にいただきます。
ここでお酒をすすめられますので、杯を右手に持ち、左手を下に添えてお酌を受けます。
受けた杯は一度元の場所に置き、一同揃ったところで乾杯します。
お酒に口を付けてから、向付(むこうづけ・刺身や酢の物、なますなど)をいただきます。
向付の右隣に酒杯を置きます。
お酒は懐石中に3回ほど出されます。
椀盛

汁椀が引かれ、椀盛(わんもり・煮物など)が出されます。
このとき、箸を休めて軽く会釈をします。
もしご飯のおかわりが欲しい時は、ご飯をひと口残しておきましょう。
椀盛は向付のあちら側(膳の外)に置かれます。
蓋は椀盛の右側に置き、食べ終わったら蓋をします。
椀盛も滴がたれないように器を持っても問題ありませんし、具によっては懐紙を使います。
焼物
一汁三菜の最後に焼物が出ます。
これは大皿や鉢で人数分を持っていることが一般的で、取り箸が付いているので次のお客さんに「お先に」と声をかけて、空いた向付の器に取りましょう。
進肴・強肴
一汁三菜はここで終わりですが、さらに、進肴(すすめざかな)または強肴(しいざかな)といわれる料理が出されることが一般的です。
食事の最後には小さめの吸い物が出されます。
これは口の中を清める意味があり、「箸洗い」「すすぎ汁」ともいわれます。
八寸
料理が一段落すると、「八寸(はっすん)」といわれる酒肴が出されます。
海山の二種の肴が盛られていて、茶会の亭主が一献し、海の肴、山の肴をすすめます。
湯桶
懐石の締めくくりである「湯桶(ゆとう)」が出されます。
湯桶には湯とともに「湯の子(ご飯のおこげ)」が入っており、汁椀には湯のみを入れ、飯椀に少量残して置いたご飯で湯漬けをし、最後は全部飲み切ります。
汁椀には元通り蓋をし、飯椀には蓋をひっくり返して乗せ、箸は膳の手前に揃えます。

懐石はこれで終了ですが、このあと「濃茶」と「主菓子」が出されます。
懐紙はお菓子をいただくときにも必要ですので、絶対忘れないようにしましょう。
服装は特に決まってはいませんが、派手な色使いや、露出の多い服、ジーンズ、素足などカジュアルすぎる服装は避け、ワンピースやスーツ、着物などがよいでしょう。
大きなアクセサリーや指輪は、食器を傷つける可能性があるので避けましょう。
また、料理の匂いを壊してしまうような香の強い化粧品は避けましょう。

懐石料理というと、かしこまった堅苦しい席だと思ってしまうかもしれませんが、大切なのはその場にいるみんなで楽しく過ごすことです。
初めての懐石料理で、厳しいマナーを気にしてばかりいたら、緊張して味もわからなくなりそうですよね?
マナーを全く知らないままというのは問題ですが、完璧に覚えるには経験も必要です。
基本的なマナーを覚えたら、リラックスして楽しみましょう!
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