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『わび』『さび』の意味とは?違いがわかりますか?

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『わび』『さび』という言葉は、日本人ならどこかで一度は聞いたことがあると思います。

もちろん『わび』は「詫び(謝る事)」もなく、『さび』も「錆(金属が酸化して生じる膜)」ではありませんよ。

さて、外国の方にはなかなか理解してもらえない「わび」「さび」という言葉。

日本人としてきちんとした認識を持つためにおさらいしておきましょう。

 


『わび』『さび』の意味と由来

『わび』とは?

漢字で「侘び」と書きます。

古語である「侘ぶ(わぶ)」という動詞が由来です。

「侘ぶ」には「気落ちする」「辛く思う」「困惑する」「落ちぶれる」「さみしく思う」などの意味があります。

そして、次第に質素で簡素な中に美しさを見出す意味で「侘び」という言葉が使われるようになりました。

 

お茶が日本に伝わったのは平安時代(794年~1185年)といわれていますが、お茶を飲む習慣が日本で広まったのは鎌倉時代(1185年~1333年)ごろで、中国の僧侶である栄西(えいさい)が広めたといわれています。

室町時代(1336年~1573年)中期以降になると、庶民にまでお茶を飲む習慣が広まり、このころ、大名や将軍の間で絵画や茶器を飾り付け、鑑賞しながらお茶を楽しむという、茶会の文化である「茶の湯(現在の茶道)」が誕生します。

そして村田珠光(むらたじゅこう)によって「茶の湯」に禅の思想が取り入れられ、豪華な道具や装飾を排して、簡素静寂な境地を重んじる「わび茶」という様式が提唱されました。

その後、わび茶は武野紹鴎(たけのじょうおう)を経て千利休(せんのりきゅう)によって大成しました。



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千利休


「わび茶」は簡素な茶室の座敷で粗末な道具を使うことから、簡素簡略の境地ともいわれています。

物質面における不足や不自由を肯定し、簡素で閑静ななかに独特の味わいや美しさを感じることが「わび」という概念になります。

 

『さび』とは?

漢字で「寂び」と書きます。

古語である「寂ぶ(さぶ)」という動詞が由来です。

「寂ぶ」には「古くなる」「錆びる(さびる)」「色あせる」などの意味があります。

そして、古くなることにより出てくる味わいや朽ちていく様子を美しさを見出すという意味で「寂び」という言葉が使われるようになりました。



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松尾芭蕉


「さび」は、松尾芭蕉(まつおばしょう・1644年~1694年、江戸時代の俳人)が確立した俳諧(はいかい・日本文化の形式、俳句のもととなった文化)の世界で「古びて寂しいものの中に感じられる美しさや味わい」として重んじられています。

この世のものは、時間の経過とともに見た目が古くなったり、劣化したり、汚れたり、壊れたりしますが、その中に独特の味わいや美しさを感じることが「さび」という概念になります。

 

「わび」と「さび」の違いとは?

簡単に言うと

「わび」は、質素で簡素なものなかにある独特な味わいや美しさを感じることです。

「さび」は、古くて寂しいものの中に独特な味わいや美しさを感じることです。

 


『わび』『さび』に見られる日本人の精神性

もともとは違う観点から発祥した「わび」と「さび」が、いつの間にか合わさり「質素で簡素なものや古くて寂しいものの中に独特の味わいや美しさを感じる」という意味で「わびさび」という言葉が使われるようになっていきました。

 

松尾芭蕉は「さび」の中に美を見出し俳句に取り入れた人ですが、「わび」の世界も大切にしています。

そして、「わびさび」という観念を俳句の中に入れ込んだとも言われています。

俳句によって「わびさび」の概念が広まり、さらに人々は、京都のお寺や枯山水などの日本庭園、水墨画などの中に趣や美しさを感じるようになり、「わびさび」という日本人の美意識として根付いていったのです。

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「わびさび」の精神は、日本人が古来から、季節の移り変わりに敏感で、桜の散りゆく様や紅葉の移ろいを心静かに愛でることにも表れています。

色々なものがあふれかえっている現代だからこそ、日本人の精神性の基本となるべき「わびさび」に想いを馳せ、心静かなひと時を過ごせるといいですね。

 

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