みなさんのご自宅に、神棚はありますか?
ご自宅だけではなく、会社やお店などに設置している方もいらっしゃるかもしれませんね。
では、神棚とはどういう意味があるのかご存知ですか?
神棚の設置場所を決めるには、正しい向きや方角があります。
正しい設置をしなければ、ご利益を得られないどころか運気を下げてしまう・・・ともいわれていますので、神棚についてきちんと知っておきましょう!
Contents/目次
神棚とは?どんな意味があるの?
神棚とは、神道(しんとう)の神様を祀るための棚です。
神道とは、日本に古くからある宗教のことで、自然や自然現象のほか、神話に登場する神様や怨念を残して亡くなった人などを敬ったり、身の周りにある様々な物に八百万(やおよろず)の神を見いだす多神教(たしんきょう・神様が多数存在する宗教)です。
神道は古くからありましたが、神棚が歴史上登場するのは江戸時代(1603年~1868年)中期ごろといわれています。
もともと神道では、神様は常にいるわけではなく、人が祀るときに初めて現れるものとされていたため、神様が常にいる神棚は古代日本には存在していなかったようです。
江戸時代、御師(おし)と呼ばれる人がいました。
これは、百姓と神職の中間に位置づけられる身分で、全国に伊勢神宮のお神札(おふだ)を配布しながら伊勢神宮への信仰を勧めました。
伊勢神宮のお神札を家庭で祀れるように・・・と、御師は大神宮棚(だいじんぐうだな)というものを考案し、それを家で祀るのが庶民の間で定着していきました。
この大神宮棚が現在の神棚にあたるものといわれています。
神棚を設置することは、その土地に根差した神様を祀るとともに、家族の安全や繁栄を願い、絆を深めるという側面もあります。
関連:「神道」と「仏教」を簡単に説明!その関係と違いと共通点とは?
設置場所や向き、方角について
家の中で最も清らかで明るい場所
神棚が汚れないよう、清浄な場所を選びます。
例えば、料理の汚れがつきやすい台所周辺や、体の汚れを落とす浴室、トイレなどには間違っても設置してはいけません。
人が出入りするドアの上なども騒がしい場所になるので避けましょう。
南向きまたは東向き
目の高さ以上の高いところに、南向きまたは東向きに設置します。
南は太陽が移動する方向で、日照時間が長く「明るさ」が象徴される方角であり、そちらが正面とされています。
東は太陽が昇ってくる方角で、一日が始まる方角でもあることから「勢いが」が象徴されます。
家族、お客様が見える場所
家族全員が親しみやすくお供えしたり、拝礼したりするのに都合の良い場所を選びましょう。
同時に、お客様を通せるような部屋を選びます。
例えば、子ども部屋や夫婦の寝室など、プライベート性の高い部屋だと、お客様が入ることはありませんし、家族全員が拝礼する機会が減るので避けましょう。
仏壇と一緒の部屋でも問題ない
仏間に神棚を置いてはいけない・・・という考えの方もいらっしゃるようですが、神仏習合の日本では一緒の部屋でも問題はありません。
ただし、仏壇と神棚が向かい合うような位置や、神棚の上に仏壇が来るような位置は避けましょう。
神棚に置くもの
神棚に置く物は「神具(しんぐ)」といいます。
神棚のサイズはさまざまですので、すべての神具を置くことは難しい場合もあります。
神具を置くスペースなどを考慮し、どの神具を置けば良いのか神具店と相談して決めましょう。
最低限置く物は「榊立て」「水玉(または水器)」「皿」です。
榊立て(さかきたて)

榊(さかき)という木の枝を入れるもので、神棚の左右にひとつずつ置くので一対必要です。
榊には神の力が宿るといわれています。
水の交換は毎日することが望ましく、榊そのものは毎月1日と15日に交換することが多いようです。
夏場など気温が高い時には水が腐ってしまうので、こまめに交換するようにします。
神棚に向かって左右の端にそれぞれ置きます。
水玉(みずたま)または水器(すいき)

水を入れるための道具で、丸い玉の形をしており、三角の帽子のような蓋がついています。
朝一番に蛇口から出た水を入れ、蓋を開けた状態で毎朝神棚にお供えし、夕方に下げますが、ライフスタイルの多様化もありますのでご家庭のタイミングで良いようです。
水は毎日交換するのが望ましく、下げた後には、そのまま飲んだり、調理に使ったりすることが一般的です。
神様にお供えした物は捨てたりせず、使いきるようにするのが望ましいので、飲むことに抵抗がある場合は植物の水やりに使う人もいるようです。
皿(かわらけ)

米と塩を盛るための白い小皿で、塩と米それぞれをお供えするため2枚必要です。
米と塩も水と同じように毎日交換することが望ましいのですが、毎日の交換が難しい場合は榊と同じように毎月1日と15日に交換することが多いようです。
米と塩も、水と同じように捨てたりせず調理などで使い切るようにするのが望ましいです。
水、米、塩は、神様のお食事としてお供えします。
水、米、塩の並べ方は神棚に向かって左側に水、中央に米、右に塩を置きます。
お供えする時は、米、塩、水の順番で置いていきます。
神鏡(しんきょう)

神鏡は神様の依り代(よりしろ・神が憑依する、よりつくもの)とされており、神棚の扉の前に置きます。
毎日のお参りの際に、神鏡に映る自分の姿を見ることで、自分自身の行いを振り返り、本当の心で神様と向き合うためのものだという考え方もあります。
以下の物は、神棚のスペースやサイズなどによって置き方が異なります。
横一列に並べることもあれば、奥行きを利用して前後に置くこともありますので、置き方に迷ったときは神具店やお世話になっている神社に相談してみると良いでしょう。
徳利(とっくり)または瓶子(へいし)
お酒を入れるもので、蓋がついています。神棚の左右にひとつずつ置くので一対必要です。
神棚にお供えする時は蓋を開けて置きます。
徳利にお酒を入れてお供えするのは、お正月や神社のお祭の日など特別な日だけにして、普段は徳利は置かないというケースもあります。
火立て(ひたて)または燭台(しょくだい)
ろうそくを立てて灯明を供えます。
灯明(とうみょう)とは、神仏に捧げる火のことで、火立とかがり火のいずれかを置きます。
ろうそくはお参りをする時に点け、お参りが終わったら消します。
かがり火
ろうそくを立てて灯明を供えます。
ろうそくはお参りをする時に点け、お参りが終わったら消します。
灯籠(とうろう)
電気で灯明を供えます。
夕方に点灯させて、就寝前に消します。
火立またはかがり火、灯籠は左右にひとつずつ置くのが一般的ですが、スペースが無い場合は片方だけでも問題ありません。
真榊(まさかき)
先端に榊を立てた棒に、5色の幟と三種の神器が掛かっています。
神棚に向かって左側に天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を掛けたもの、右側に八咫の鏡(やたかのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を掛けたものを立てます。
御簾(みす)
神棚の中が丸見えにならないために用いるすだれです。
神前幕(しんぜんまく)

神社の神紋や、自分の家紋などをプリントした幕で、神聖な場所(神棚)と私たちがいる場所を隔てる役割があります。
注連縄(しめなわ)
注連縄は、神聖な場所(神棚)と私たちがいる場所を隔てる結界の役割があります。
金幣(きんぺい)
棒の先に金銀の紙垂(しで)を挟んだもので、御神体の代わりだとか、御神体を守る意味があるとか、いろいろな意味が込められています。
設置場所や向き、方角ですが、住宅事情によっては条件の良い場所に設置することが難しいことがあるかもしれません。
そのような場合でも、お祀りする気持ちや、毎日の拝礼や感謝など、神様を大切に思う心が一番大事なので、「運気を下げる」「神様を怒らせる」などの心配は不要のようですよ。
最近は、住宅事情に合わせてコンパクトな神棚も販売されています。
神様を大切に思う気持ちがあれば、神様は住宅事情をちゃんとわかってくださるのかもしれませんね。
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