着物や浴衣を着る機会はありますか?
夏はお祭りや花火大会で浴衣を着る人が増えますが、日常生活で和服の人はとても少ないですよね。
場合によっては数年に一度くらいしか着る機会がない・・・という人も多いのではないでしょうか?
和服の見分け方や、左と右どちらが前になるのか、調べてみましょう!
Contents/目次
着物・振袖の違いとは?
「振袖」は「着物」の一種です。
袖の長さが異なるというだけでほかは同じですので、大きなくくりで「着物」と表現します。
「振袖」は「袖を振る」ことに由来し、ほかの着物に比べると袖が長いのが特徴です。
「振袖」は江戸時代(1603年~1868年)に誕生したといわれています。
江戸時代前期に、若い女性が着る和服の袖が次第に長くなったそうですが、なぜ長くなったのかについては諸説あり、舞踏を披露するときに袖が長いほうがより美しく見えたからという説が有名です。

袖を振ることは日本で最も古い愛情表現のひとつといわれ、飛鳥時代(592年~710年)の歌人である額田王(ぬかたのおおきみ)は「あかねさす 紫野(むらさきの)行き 標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る」という歌を詠んでいます。
昔は現在とは違い、女性が恋愛感情を伝えることがタブーとされており、江戸時代の踊子たちは袖を振ることで愛情を表現しました。
男性に求愛されたとき好意を伝えるときは袖を左右に振り、好意がないことを伝えるときは袖を前後に振りました。
これが「振袖」の由来といわれており、現在の恋愛関係で「振る」「振られる」の語源ともいわれています。
明治時代(1868年~1912年)以降、振袖は未婚女性の正装として定着しました。
袖が長くなることで、日常生活には不向きで普段着として用いられることはありませんでした。
既婚女性は袖を振る必要がなくなるので、振袖の袖を短くして留袖(とめそで・既婚女性が着用する着物の中で最も格式高いもの)として着用します。
着物・浴衣・振袖の違いと見分け方
「浴衣」も「着物」の一種です。
仕立て方、基本的な形状や構造が同じで、見た目だけでの区別が難しいですが、いくつかの違いがあり「着物」と「浴衣」は区別されます。
着物、浴衣の大きな違いは以下のものがあげられます。
長襦袢を着るかどうか
長襦袢(ながじゅばん)とは、和装用の下着です。
着物は長襦袢を着ますが、浴衣は素肌に直接着るものなので長襦袢を着ません。
最近は下着が透けるのを避けるために、浴衣の下に長襦袢を着る人もいますが、一般的には長襦袢は必要ありません。

生地や素材の違い
着物は格式によって生地や素材が様々です。
木綿やウール、絹、化学繊維など種類が多く、生地の織り方も様々です。
浴衣は主に木綿で作られています。
木綿は着物にも使われる素材なので、浴衣との区別がはっきりとはしませんが、素肌に直接着ることができるものを浴衣、そうではないものを着物としているようです。
また、帯の種類も様々で、着物の生地などに合わせて選ぶ必要があります。
着る場面が違う
着物は冠婚葬祭など特別な日だけではなく、お呼ばれしたときや日常生活など、どのような場面でも着ていけるほど種類があります。
振袖は袖の長い着物のことで、未婚女性の第一礼装着(着物の最上格。最も格式ある着物)ともいわれており、成人式や結婚式、式典など格式ある場面や、お正月のようなおめでたい時に着るものです。
また、振袖は未婚女性の証でもあるため、結婚後は振袖を着ることはありません。
振袖の袖を短くして訪問着などに仕立て直したり、未婚の親族に譲ったりすることがあるようです。
浴衣は、部屋着や寝間着としての要素が強かったのですが、現在は、暑い時期の遊び着としての要素もあります。
着付けの仕方が違う
浴衣は、素肌に直接着て、素足で下駄を履きます。
着物は、素肌に直接着ることはなく、長襦袢など和装用の下着を着用し、足袋を履いてから草履を履きます。
男女で左前・右前どっち?
洋服ですと、女性が「左前」で男性が「右前」になることが多いですよね?
しかし、和服は男性も女性も「右前」になります。
右前とは、着る人からみて右側が手前、つまり左側を上から重ねるということです。
日本人は右利きの人が多く、右手で懐に入れた懐紙や小銭入れを出しやすいように「右前」になったといわれています。
また、「左前」は亡くなった人が着る「死装束」でするものなので、和服で左前にしてしまうのは縁起が悪いといわれています。
着物は、日本の民族衣装といわれていますが、現在は洋服の人が多く、着物を着る機会はめったにありません。
しかし、浴衣なら気軽に着られるかも・・・と思いませんか?
浴衣は暑い時期限定のものなので、夏祭りや花火大会だけではなく、ちょっとしたお出かけや、お部屋で寛ぐときにも着ることが出来たら素敵ですよね。