「あなたは何歳ですか?」と尋ねられた時、あなたはどう答えますか?
多くの人がその時点での年齢=満年齢を答えますよね。
履歴書など、自分の年齢を書かなければならない書類には「満年齢」を記入しますが、その一方で、厄払いや長寿のお祝いなどでは「数え年」を基準にすることがあります。
今回は「満年齢」と「数え年」の違いや、なぜ満年齢と数え年があるのかについてわかりやすく解説します。
満年齢と数え年の違いとは?
満年齢と数え年の違いは以下のとおりです。
満年齢とは?
「満年齢」とは、 生まれた時を0歳とし、誕生日を迎えるごとにひとつ年齢が増える数え方のことです。
生まれた一年後の誕生日に、1歳になります。
「満20歳」などと表記します。
満年齢は「誕生日に年を重ねていく」ということで問題はありませんが、少しややこしいのが法律です。
年齢計算に関する法律(明治35年12月22日施行)では「年齢は出生の日より之を起算す」と書かれています。
これは、誕生日に年を重ねるのではなく、誕生日の前日に年を重ねるということです。
誕生日を1日目とし、365日目に年を重ねるのです。
365日目というのは誕生日の一日前なんですね。
例えば、4月1日生まれの人は3月31日に満年齢を迎えます。
そのため、4月1日生まれの人は「遅生まれ」とされ、4月2日以降に生まれた人よりも学年が一つ上になるのです。
数え年とは?
「数え年」とは、 生まれたその日にすでに1歳で、元日(1月1日)に年を重ねるという数え方です。
例えば、2023年4月10日に生まれた人は、その時点で1歳です。
そして、2024年1月1日に2歳になります。
長寿のお祝いのひとつに「還暦」があります。
還暦は満年齢60歳でお祝いをし、それ以外の長寿のお祝いは数え年でお祝いをします。
数え年で自分が今何歳なのか知りたいときは、
「元日から誕生日前までは満年齢+2歳」
「誕生日当日から12月31日までは満年齢+1歳」
と計算してみましょう。
以下のリンク先に今年の数え年を一覧にまとめましたのでご活用くださいね。
関連:2024年(令和6年)数え年早見表!生まれた年から調べる!
なぜ満年齢と数え年があるの?
では、なぜ満年齢と数え年があるのでしょうか?
昔は数え年が使われていた
日本では古くから数え年が使われてきました。
先ほど説明したとおり、数え年は、元日(1月1日)に1つ年を重ねる考え方です。
これは、年神様(としがみさま)が、元日に人々に豊作や幸せとともに歳を授けると考えられていたからです。
年神様とは、毎年お正月に各家にやってくる豊作や幸せをもたらす神様のことです。
日本がいつごろから数え年を使っていたのか定かではありませんが、東アジア諸国では古くから使われており、中国から日本に伝わったといわれています。
満年齢が使われるようになったのはなぜ?
明治維新によって外国との交流が増え、日本に西洋文明が入ってくるようになり、明治5年(1872年)には暦も西洋の暦にあわせ太陽暦(グレゴリオ暦)に変わりました。
それまで日本では数え年を使っていましたが、外国の多くは満年齢を使っていました。
そこで、年齢の数え方も西洋に合わせようと考えた明治政府は、明治6年(1873年)に「太政官布告(だじょうかんふこく・明治時代初期の法令)を発布し、満年齢を使用するようにしたのです。
そのため、日本では、満年齢と数え年の両方が使われているのです。
しかし、法令で「満年齢を使用せよ」といわれても満年齢はなかなか人々に普及せず、一般的には数え年が使われ続けました。
満年齢が普及したのは、戦後の昭和25年(1950年)に「年齢のとなえ方に関する法律」が施行されてからです。
国や地方公共団体に対して満年齢の使用を義務付け、国民にも改めて満年齢を使うよう指示しました。
「年齢のとなえ方に関する法律」の制定理由
「年齢のとなえ方に関する法律」の制定理由は、以下の4つです。
① 「若返る」ことで日本人の気持ちを明るくさせる効果を狙った
満年齢で20歳の人は、数え年で21歳か22歳なので、一種の若返り法になります。
終戦から4年しか経っておらず国民は暗い気持ちで日々を過ごしていましたが、「若返る」ことで少しでも気持ちが明るくなれば良いと考えたようです。
② 正確な出生届の促進
結婚に年齢が大きく関わっていたこの時代、正確な出生届を出さないことが多々あったそうです。
たとえば、「数え年」だと12月生まれの人は、すぐに2歳になってしまいます。
しかし、1月に出生届を出すことで、本来ならすぐに2歳になるところを1歳にすることができます。
数週間や数か月ずらしたり、中には1年や2年遅れて出生届を出す人もいたそうです。
満年齢にすることで誕生日に年齢を重ねるようになり、ひとりひとりが正確に年齢を数えるようになるため生まれた日を正確に把握できると考えた。
③ 国際性の向上
欧米諸国では満年齢が使われているため、日本も満年齢にすることで国際性が向上すると考えたようです。
④ 配給における不合理の解消
もっとも大きな理由は、配給における不合理の解消だといわれています。
戦時中に始まった配給制度は、戦後もしばらく続き、配給制度では、満年齢を基準にカロリー計算をして配給量が決められていました。
しかし、配給をする現場では便宜上、数え年で配給を行っていました。昭和16年(1941年)当時のお米の配給は、
1歳~5歳が120g
6歳~10歳が200g
11歳~59歳までが330g
60歳以上は300g
でした。
配給はお米だけではなく、塩、砂糖、魚、食用油、菓子、パン、味噌、キャラメルなど数多くあり、戦後もしばらく続きました。
例えば、昭和24年12月に生まれた赤ちゃんは、数え年だと昭和25年1月に2歳になります。
昭和25年3月に食事の配給をする場合、満年齢は0歳(生後3、4か月)の赤ちゃんなのに、数え年2歳としてキャラメルが配給されることがよくあったそうです。
生後3、4か月の赤ちゃんに2歳児向けの配給でキャラメルをもらっても食べることができませんでした。
また、50代と60代では配給量が異なり、満年齢は58歳なのに数え年では60歳になっているため配給量が減らされました。
数え年は元日に年を重ねる数え方ですので誕生日によって配給量に差がでるため混乱が生じたそうです。
満年齢と数え年の違いや、なぜ現在満年齢と数え年が両方使われているのかその理由がわかりましたね。
七五三や長寿のお祝いなども、もともとは数え年で行っていましたが、現在は満年齢で行うこともあるようです。
地域やご家庭によって数え年か満年齢か考え方が異なるかもしれませんので、事前に周囲の人に相談して決めるようにしましょう。
また、厄年も多くの神社やお寺では数え年で厄払いを行いますが、満年齢で行うところもありますのでこちらも事前にチェックしておきましょうね。
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コメント
コメント一覧 (3件)
成人式は、中学二年の時の1月(数え年で15歳)にすれば良いと思います。
七五三って満年齢じゃないんですか?
コメントありがとうございます。
元々は数え年ですが、現在は満年齢で行われることが多くなってきています。
補足説明を追加しておきました。