
日本には多くの社会問題があります。
社会問題には貧困や災害など世界中で取り組まれているものも多くありますが、日本の社会問題にはどのようなものがあるのでしょう?
ここでは特に、8050問題・2025年問題など、数字が入る日本の“〇〇問題・〇〇年問題”をまとめて解説します。
社会問題とは?
社会問題とは、社会生活を送る中で直面するさまざまな問題の中でも、個人では解決できないような大きな問題のことです。
個人で解決できないため、自治体や政府、企業など、社会全体で考え、協力しあう必要があります。
数字が入る日本の“〇〇問題・〇〇年問題”まとめ
数多くある社会問題の中で、数字が入る日本の〇〇問題・〇〇年問題をご紹介します。
8050問題
読み方:
はちまるごーまるもんだい
はちぜろごーぜろもんだい
はちじゅうごじゅうもんだい
概要:
子供が長期間引きこもり状態であったり、病気や障害などで就労が困難など、高齢の親の年金に依存して生活をしている家庭が、精神的、経済的に行き詰ってしまう問題です。
80代の親が50代の子供の世話をすることから「8050問題」といわれています。
7040問題
読み方:ななまるよんまるもんだい
概要:
8050問題と同じです。
70代の親が40代の子供の世話をすることから「7040問題」といわれています。
9060問題
読み方:きゅうまるろくまる問題
概要:
8050問題と同じです。
90代の親が60代の子供の世話をすることから「9060問題」といわれています。
2000年問題
読み方:にせんねんもんだい
概要:
1900年代のコンピューターは、日付を西暦の下二桁で処理することが一般的でした。
そのため、1999年から2000年に切り替わる際、2000年が1900年と誤認され、システムの異常や誤作動が発生する恐れがありました。
もし誤作動が起きれば、パソコンの日付が狂う、ソフトが起動しなくなる、データが消えるといった問題に加え、交通・通信・金融・医療など、社会のあらゆる分野で混乱が生じる可能性がありました。
さらには、弾道ミサイルが誤って発射される恐れまで指摘されていました。
2000年に向けて、コンピューターやシステムが誤作動を起こさないよう世界中で大規模な対策が行われた結果、2000年を迎えても大きな混乱は起こりませんでした。
Y2K問題(わいつーけーもんだい)ともいいます。
Y=year(年)
K=1000を表す単位
2K=2000
となり、Y2Kは「西暦2000年」という意味です。
2010年問題
読み方:にせんじゅうねんもんだい
概要:
医薬品は特許によって守られており、特許が認められると20年間は他社が同じ薬を作ることができません。
1990年ごろは医薬品の特許申請が非常に多かったため、その20年後である2010年ごろに大量の特許切れが発生しました。
特許が切れると、他社が同じ成分で医薬品(ジェネリック)を製造することができるようになります。
その結果、特許を保有していた製薬会社の収入が大幅に減少し、研究開発費の削減や、リストラを迫られたのが2010年問題です。
2011年問題
読み方:にせんじゅういちねんもんだい
概要:
これまでテレビ放送はアナログ放送でしたが、2011年7月にデジタル放送に変更されました。
アナログ放送はブラウン管テレビで視聴できましたが、デジタル放送は視聴できなくなるため、大量のブラウン管テレビが廃棄処分されました。
ブラウン管テレビから液晶テレビなどへテレビの買い替えができない世帯ではテレビ視聴ができなくなることが問題視され「地デジ移行問題」とも呼ばれていました。
2011年7月にデジタル放送へ移行されました。
ただし、岩手県・宮城県・福島県については2011年3月11日に東日本大震災に被災したため2012年3月31日まで延期されました。
2012年問題
読み方:にせんじゅうにねんもんだい
概要:
もともとは「2007年問題」と呼ばれていました。
2007年に団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)が60歳になり、大勢の人が定年退職するため人手不足や、熟練の技術の喪失、若い世代の年金負担が増えるなどの問題です。
そこで企業は定年を60歳~65歳に伸ばしたり、再雇用制度を設けるなどして定年後も働けるようにしたりして、2007年問題を先送りしました。
2012年には団塊の世代が65歳になり、再び問題となりました。
しかし、2007年問題の際に定年を60歳~65歳にしたことや再雇用制度を設けたことで2012年に大勢の人が一斉に65歳定年を迎えることを緩和させることができ、大きな問題にはなりませんでした。
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2012年問題
読み方:にせんじゅうにねんもんだい
概要:
別名を「マヤ文明の人類滅亡説」といいます。
マヤ文明とは、紀元前1000年頃~16世紀ごろまで現在のメキシコ南東部に栄えた文明です。
精密な暦や天文学、高度な文明を持っていたといわれています。
そのマヤ文明の暦が2012年12月23日に一つの区切りを迎えることから「この日に人類が滅亡する」と騒がれました。
2013年問題
読み方:にせんじゅうさんねんもんだい
概要:
2000年の年金制度の法改正で、男性は2013年~2025年に、女性は2018年~2030年にかけて段階的に受給開始年齢が60歳から65歳延長することになりました。
この法改正に伴い、多くの企業で60歳定年が65歳定年に延長されましたが、義務ではなかったため、60歳が定年の会社も多くありました。
2013年は男性に限り受給開始年齢が61歳となった年で、60歳で定年退職すると61歳までの1年間年金が受け取れないという問題が発生したため「2013年問題」と呼ばれました。
政府は高年齢者雇用安定法を改正し、定年や雇用の延長、再雇用を義務付けることでこの問題を回避しました。
2014年問題
読み方:にせんじゅうよねんもんだい
概要:
パソコンのOSは、日本ではWindowsが9割近くを占めていますが、2014年に日本で広く普及していた「WindowsXP」のサポートが終了しました。
サポートが終了すると、OSの情弱性が見つかってもアップデートされないため、セキュリティ上の危険性が高まりました。
この影響で、銀行・企業・行政機関などではWindows XPの使用を制限・禁止し、別のOSへ切り替えたり、データを移行したりする必要が生じ、混乱が起こりました。
2015年問題
読み方:にせんじゅうごねんもんだい
概要:
2015年問題は複数あります。
マヤ文明の人類滅亡説
2012年問題(マヤ文明の人類滅亡説)では人類滅亡の日は2012年12月23日とされていました。
しかし、この日付の計算にはうるう年が含まれていなかったため、正しく計算すると2015年9月3日が人類滅亡の日という説が出てきました。
古代エジプトの伝説でも「2015年の秋分の日に世界が水没する」と予言されていたことから、2015年は人類が滅亡すると騒がれました。
エンジニア不足
2016年1月からマイナンバー制度が導入されました。
そのため、導入前年の2015年には、マイナンバー関連の開発・導入・システム改修のために多くのシステムエンジニアが必要となりました。
しかし、2015年以前からIT業界は労働環境の悪さやブラック企業の多さが問題となっており、業界を離れるシステムエンジニアが増えていました。
その結果、エンジニアの数が減っているにもかかわらず、マイナンバー導入が始まったことで、深刻なエンジニア不足が懸念されました。
団塊の世代が定年
団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)が全員65歳以上となりました。
そのため、労働人口が減少し、年金受給者が急増して財政が圧迫され、若い世代の負担が増えることなどが懸念されました。
2016年問題
読み方:にせんじゅうろくねんもんだい
概要:
2020年に東京オリンピックが開催されることとなり、それに向けて首都圏の大型施設の改修工事や建て替えなど複数の工事が同時期に行われました。
ほかにも、2011年の東日本大震災後の耐震補強や、施設の老朽化などを理由に、劇場やコンサートホールなども改修工事や建て替え工事を行われました。
その結果、ライブやコンサート、舞台公演などの会場が不足することが問題となり、毎年開催されていたライブやコンサートが延期されたり、例年とは違う会場で開催するなどの影響が出ました。
2020年問題
読み方:にせんにじゅうねんもんだい
概要:
第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代(1970年~1974年生まれ)は、団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)に次いで人口が多い世代です。
この団塊ジュニアが2020年に40代後半〜50代前半の働き盛りを迎えることで、企業では給与水準の上昇による人件費の増加や、管理職などのポスト不足が懸念されました。
さらに、彼らの親にあたる団塊の世代が後期高齢者となることで医療・介護の需要が高まり、団塊ジュニアは働きながら親の介護を担うケースが増えると予想されました。
そのため、仕事と介護の両立の難しさや介護離職の増加が大きな課題として指摘されていました。
2024年問題
読み方:にせんにじゅうよねんもんだい
概要:
2019年に施行された働き方改革関連法により、2024年4月から自動車運送業務の時間外労働の上限が960時間に制限されました。
これまで常態化していたトラックドライバーの長時間労働は改善されましたが、一人当たりの労働時間が減ることによってドライバーや運送力が不足したり、ドライバーの収入減することなどが懸念されました。
2025年問題
読み方:にせんにじゅうごねんもんだい
概要:
2025年問題は複数あります。
超高齢化問題
団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)が全員、後期高齢者となりました。
高齢者医療制度では年齢によって前期高齢者と後期高齢者を分けています。
65歳以上を「高齢者」といいますが、後期高齢者とは75歳以上の高齢者を指し、65歳~74歳を前期高齢者といいます。
前期高齢者は、健康保険組合や共済組合など各医療保険に加入しますが、後期高齢者はそれからはずれて、都道府県単位の「後期高齢者医療制度」に加入することになっています。
人口の多い団塊の世代が後期高齢者になることによって、日本の人口のおおよそ5人に1人が後期高齢者となります。
医療や福祉の需要が急増し、病院や医師、介護施設、医師や看護師、介護士、ヘルパーなどが不足したり、年金や社会保障制度など若い世代への負担が大きくなると懸念されています。
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昭和100年問題
2025年は昭和100年に当たります。
コンピューターのシステムでは、元号で管理しているものがあります。
官公庁や金融機関には、元号が平成や令和に代わっても昭和のまま使用しているところがあります。
たとえば「昭和50年」のように、昭和と2桁の数字で管理されていました。
そのため「昭和100年」は「昭和00年」となり、システムが誤作動する可能性があることが懸念されています。
関連:元号「令和」の意味と由来とは?明治・大正・昭和・平成の意味と由来も紹介!
ビデオテープ問題
2016年に、VHSビデオデッキやVHSビデオテープの製造が終了しました。
ビデオデッキの部品供給も終了しているのでビデオデッキが故障したら修理することができません。
また、ビデオテープの寿命はおよそ20年といわれています。
ビデオデッキが故障したりビデオテープが寿命を迎えると再生することができなくなるといわれています。
2027年問題
読み方:にせんにじゅうななねんもんだい
概要:
輸血に使われる血液は献血によって集められていますが、長期保存できないため、定期的な献血が必要です。
しかし、少子化によって若い世代が減少し、献血者の数は年々減少傾向にあります。
これまで以上に輸血を必要とする高齢者が増え、ピークである2027年には85万人分の血液が不足すると懸念されています。
2030年問題
読み方:にせんさんじゅうねんもんだい
概要:
少子高齢化がさらに進み、人口も減少することからさまざまな問題が出てくるといわれています。
日本の人口のピークは2004年のおよそ1億2783万人で、2030年には1億1600万人程度になると想定されています。
そして、人口の3人に1人が65歳以上になるといわれており、社会保障費や医療費、介護費、年金などの見直しが必要になってきます。
また、若い世代、働く世代が減るため深刻な人材不足や労働生産性の低下なども懸念されています。
2033年問題
読み方:にせんさんじゅうさんねんもんだい
概要:
別名「旧暦2033年問題」といいます。
西暦2033年秋~2034年春(旧暦2033年7月~2034年2月)にかけて、旧暦のルールがうまく当てはまらなくなる問題です。
旧暦は月の満ち欠けを基準に決められており、新月から次の新月までが一か月と考えます。そのため、一か月間はおよそ29.53日です。
29.53日×12か月=およそ354日となり、一年間365日におよそ11日足りず、3年間で約一カ月足りないことになります。
暦と季節のズレを解消するために、およそ3年に一度閏月が挿入されます。
しかし、2033年は閏月を挿入する場所が複数存在したり、月名が決められないなどの問題が起こります。
この問題を解決する案は複数ありますが、旧暦はすでに廃止されているため、「旧暦2033年問題」をどうするか決める公的機関がありません。
天文学者やカレンダー業界などがどの案を採用するのか、統一されない場合は混乱が生じる可能性があります。
関連:【閏月一覧】旧暦の閏月の意味と置き方の規則とは?2026年の閏月はいつ?旧暦2033年問題をわかりやすく解説
2040年問題
読み方:にせんよんじゅうねんもんだい
概要:
一番人口が多い団塊の世代(1947年〜1949年生まれ)が90歳以上、次に人口が多い段階ジュニア世代(1970年~1974年生まれ)が65歳以上となります。
そのため2040年は、高齢者の人口がピークの約4000万人に達し、人口のおよそ35%が高齢者になるといわれています。
これまでも問題になってきた社会保障費や医療費、介護費、年金などの維持が難しくなり、若い世代の減少で人材不足や労働生産性の低下などがさらに深刻化することが懸念されています。
2045年問題
読み方:にせんよんじゅうごねんもんだい
概要:
人工知能(AI)の進化が加速し、人類を超えるといわれている問題です。
人間が行っている仕事の大半をAIが担うと予測されており、人材不足が解消される一方、多くの人が職を失うことが懸念されています。
また、意志を持つようになったAIと人間の間で戦争が起こるのではないかと考える人もいます。
2048年問題
読み方:にせんよんじゅうはちねんもんだい
概要:
海産物の乱獲や温暖化による海水温の上昇、海洋プラスチックなど海洋汚染により、食用の魚介類が絶滅する、地球上からいなくなるといわれています。
魚介類を餌としている鳥も絶滅の危機にさらされ、その鳥を餌にしている他の動物へも影響が出るなど、生態系が崩壊するといわれています。
2050年問題
読み方:にせんごじゅうねんもんだい
概要:
少子高齢化が進むことで、働く人が減少し、地方では人口が減って過疎化が進みます。
その結果、道路や公共施設などのインフラを維持するのが難しくなり、財政の負担が増えて経済活動が停滞するおそれがあります。
このまま進むと、日本がこれまでのような技術力や生活水準を保てず、先進国の地位を失う可能性があると懸念されています。
先進国とは、経済が大きく発展し、技術や生活水準が高い国々のことで、日本は1970年代前半に先進国の仲間入りをしています。
先進国に対し、経済等が未発達な国々を発展途上国といいます。
2053年問題
読み方:にせんごじゅうさんねんもんだい
概要:
現在の日本の人口およそ1億2433万人(2024年時点)を維持するためには合計特殊出生率が2.07必要です。
合計特殊出生率とは、1人の女性が生涯で出産をする数です。
1947年の4.54をピークに下がり続けており、2024年は過去最低の1.15でした。
合計特殊出生率が1.15のままだと想定すると、2053年には日本の人口が1億人を下回るといわれています。
2070年問題
読み方:にせんななじゅうねんもんだい
概要:
地球温暖化が現在の速度で進んだ場合、2070年には世界の人口の3分の1が年間平均気温29℃以上の地域で暮らすことになるといわれています。
年間平均気温が29℃以上というのは、現在の地球上では1%未満で、そのほとんどはサハラ砂漠です。
2070年には29℃の地域が地球上の5分の1になると予想されています。
そのような環境で人間が生活できるのかという問題はもちろん、生態系の崩壊、食料や水の問題、など様々な問題が生じるといわれています。
2088年問題(平成100年問題)
読み方:にせんはちじゅうはちねんもんだい
概要:
2088年は平成100年に当たります。
そのため、2025年の「昭和100年問題」と同じ問題が起こると考えられており、「平成100年問題」とも呼ばれています。
平成と2桁の数字で管理しているコンピューターは、「平成100年」を「平成00年」と認識し、システムが誤作動する可能性があると懸念されています。
2100年問題
読み方:にせんひゃくねんもんだい
概要:
閏年とは4年に一度、2月が1日増える年のことです。
これにはルールがあり、
①:西暦年数を4で割り切れる年は原則として閏年
しかし、例外があり、
②:例外として、西暦年数が100で割り切れる年は閏年ではない
③:さらに例外として、西暦年数が400で割り切れる年は閏年
というルールがあります。
つまり、2100年は①の4で割り切れ、②の100で割り切れ、③の400で割り切れないため、閏年にならないのです。
そのため、コンピューターに「①:西暦年数を4で割り切れる年は原則として閏年」というプログラムだけを導入していた場合、2100年を閏年と勘違いするのではないかといわれています。
直近だと、2000年の場合、①の4で割り切れて、②100でも割り切れ、③の400で割り切れました。
そのため、2000年に①だけをプログラムに導入していたとしても閏年になるため、問題になりませんでした。
関連:【2026年】閏年の意味とは?4年に1度ではない?誕生日が2月29日の人の年齢

過去から未来まで、多くの社会問題がありますね。
日本だけの問題もあれば、地球全体で深刻な問題が起こる可能性があるといわれているものもあります。
過ぎてしまったものをどうこうすることはできませんが、未来の社会問題はこれからの私たち次第です。
今の若い世代やこれから生まれてくる子供たちのために、ひとりひとりが考えなければならないのではないでしょうか。

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