お仏壇や仏像の前で「南無阿弥陀仏」や「南無妙法蓮華経」と唱えることがありますよね?
ご自身が唱えたことは無くても「おばあちゃんが毎朝仏壇の前で唱えていたよ!」とか「法事の時に聞いたことがあるよ!」という人は多いのではないでしょうか。
今回は「南無妙法蓮華経」と「南無阿弥陀仏」の違いやそれぞれの意味について解説します。
「南無阿弥陀仏」とは?
読み方は「なむあみだぶつ」または「なもあみだぶつ」です。
「南無阿弥陀仏」は、「念仏(ねんぶつ)」のひとつです。
「念仏」とは、仏に祈ること、または仏を心に思い浮かべることです。
念仏には、
「法身念仏(ほっしんねんぶつ)」
「観念念仏(かんねんねんぶつ)」
「称名念仏(しょうみょうねんぶつ)」
などの種類があります。
念仏 | 念じていること |
法身念仏 | 仏の理法(りほう・道理にかなった法則のこと)を念じることです。 |
観念念仏 | 仏の功徳(くどく)を念じることです。 功徳とは、人が行うべき行動、善行のことで、唱えることで理解が深まり、功徳が積まれるといわれています。 |
称名念仏 | 仏の名前を念じることです。 今回の「南無阿弥陀仏」がこれにあたります。 |
「南無阿弥陀仏」は、仏教の浄土宗、浄土真宗、天台宗、時宗など、ご本尊を阿弥陀如来(あみだにょらい・すべてのものを極楽浄土へ導くといわれている)とする宗派が唱えます。
「ご本尊」とは、最も大切な信仰の対象のことです。
「南無阿弥陀仏」の意味。唱えるとどうなるの?
では「南無阿弥陀仏」の意味ついてみていきましょう。
「南無(なむ)」はサンスクリット語の「ナモー」を漢字に当てたもので「わたしは帰依(きえ)します」という意味になります。
「帰依」とは、尊いものに対して全身全霊で信じ、拠り所にすることを意味します。
また、「阿弥陀仏(あみだぶつ)」は阿弥陀如来のことで、サンスクリット語の「アミターバ(無量の光明)」または「アミターユス(無量の寿命)」を漢字に当てたものです。
「無量」とは、はかりしれない、限りのない、などの意味です。
ですので「南無阿弥陀仏」は、 「阿弥陀如来の教えを全身全霊で信じ、拠り所にし、教えに従って生きます」という意味になります。
「南無阿弥陀仏」と唱えることで、阿弥陀如来への信仰があるかないかに関わらず、 阿弥陀如来が極楽浄土へ導いてくださるといわれています。
「南無妙法蓮華経」とは?
読み方は「なむみょうほうれんげきょう」または「なんみょうほうれんげきょう」です。
「南無妙法蓮華経」のことを「題目(だいもく)」といい、仏教の日蓮宗と日蓮正宗などが唱えます。
「題目」とは、「法華経(ほけきょう)」という大乗仏教の経典(きょうてん・仏の教えを記したもの)の真理を表したものです。
仏教の開祖は仏陀(ブッダ)ですが、「南無妙法蓮華経」は仏陀の教えにはなく、日蓮宗の開祖である日蓮(にちれん・1222年~1282年)が作った物だといわれています。
「南無妙法蓮華経」の意味。唱えるとどうなるの?
では「南無妙法蓮華経」の意味についてみていきましょう。
「南無(なむ)」は、先ほど説明しましたが、サンスクリット語の「ナモー」を漢字に当てたもので「わたしは帰依します」という意味になります。
「妙(みょう)」は真理を意味します。
「法」は仏教の開祖である仏陀(ブッダ)の教えを意味しています。
「蓮華経(れんげきょう)」は、サンスクリット語の「サッダルマプンダリーカ・スートラ」という言葉を翻訳したもので「白蓮華のごとき正しい教え」という意味があります。
「白蓮華(しろれんげ)」とは、植物の蓮(はす)のことです。
蓮は泥の中でも清浄で美しい花を咲かせるため、仏教では仏の智慧や慈悲の象徴とされています。
法華経の中で蓮は「白蓮華」と表現され、「白蓮華のごとき正しい教え」とは「最も清浄で美しい花のように最高の教えである」という意味になります。
ですので「南無妙法蓮華経」は 「法華経の教えを全身全霊で信じ、拠り所にし、教えに従って生きます」という意味になります。
「南無妙法蓮華経」と唱えることで、 法華経を信じることができ、現在の世界で救われると考えられています。
「南無阿弥陀仏」と「南無妙法蓮華経」との違いとは?
南無阿弥陀仏と南無妙法蓮華経の違いは以下のとおりです。
宗派が違う
「南無阿弥陀仏」は浄土宗、浄土真宗などが唱えます。
「南無妙法蓮華経」は日蓮宗や日蓮正宗などが唱えます。
念仏か題目かの違い
「南無阿弥陀仏」は仏の名前を念じる「念仏(称名念仏)」です。
「南無妙法蓮華経」は法華経の真理を表す「題目」です。
帰依の対象が違う
「南無阿弥陀仏」は阿弥陀如来という仏様に帰依します。
「南無妙法蓮華経」は法華経の教えに帰依します。
救われるタイミングが違う
「南無阿弥陀仏」は死後に救われるもので、阿弥陀如来によって極楽浄土へと導かれます。
「南無妙法蓮華経」は現在の世界で救われます。
「南無妙法蓮華経」と「南無阿弥陀仏」の違いがわかりましたか?
簡単に言ってしまうと、同じ仏教でも宗派が異なるから、唱える言葉も異なるということになりますね。
自分がどちらを唱えたら良いかわからない場合は、お世話になっているお寺のお坊さんに教えていただきましょう。
宗派によって唱える言葉が異なりますが、どちらも意味をきちんと理解し、信じて唱えることで救われるのかもしれませんね。
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