「梅雨」と言えば、6月ごろの雨続きの日々のことをいいます。
では、「菜種梅雨」という言葉をご存知でしょうか?
一般的な「梅雨」とは時期が違うそうです。
今回は「菜種梅雨」の読み方や意味についてわかりやすく解説します。
また、いつの季語なのでしょうか?菜種梅雨を使った俳句をご紹介します。
「菜種梅雨」の読み方と意味とは?いつ頃の時期に降る雨のこと?
読み方は「なたねづゆ」または「なたねつゆ」です。
菜種とは菜の花(またはアブラナ)の別名です。
菜種梅雨とは、 菜種が咲いている時期の3月下旬~4月上旬ごろに曇りや雨が続くことを意味します。
くもりや雨が続く日数などに明確な定義はありません。
菜種梅雨は、
「春の長雨」
「春雨(はるさめ)」
「催花雨(さいかう)」
「春霖(しゅんりん)」
ともいいます。
「春雨(はるさめ)」という食べ物がありますが、細く静かに降る春の雨の様子から名づけられたそうです。
「催花雨(さいかう)」には「花が開花を催す(もよおす)」という意味があります。
春になり花が咲く季節がやってきて、雨が「早く花よ咲け」とせきたてるように降ることから名づけられたそうです。
「春霖(しゅんりん)」の「霖」という文字はそれだけで「長雨」という意味があります。
どんな原因で降るの?
菜種梅雨は主に太平洋沿岸の関東より西の地域で起こる現象です。
原因は、太平洋沿岸に前線が停滞するためです。
前線とは、暖かい空気(高気圧)と冷たい空気(低気圧)の境目のことです。
日本列島は冬の間、高気圧に覆われていますが、春になるとその高気圧が北上します。
そのため、日本列島の南側(太平洋側)に前線が停滞しやすくなります。
前線が停滞するとくもりや雨が続きます。
菜種梅雨は6月頃の梅雨とは異なり、雨ばかりが続くわけではなく、期間も比較的短めで、毎年起こるとは限りません。
梅雨の種類
梅雨の種類は菜種梅雨以外に「梅雨」「山茶花梅雨」「すすき梅雨」があり、全部で4種類あります。
詳細は以下の記事を御覧ください。
関連:梅雨の4種類「梅雨」「菜種梅雨」「山茶花梅雨」「すすき梅雨」とは?いつの季語?
菜種梅雨はいつの季語?
「菜種梅雨」は菜種が咲いている時期ということで、俳句では春の季語として用いられます。
菜種梅雨を使った俳句
有名な俳句は以下のものがあります。 ※いずれも意味を調べてもわかりませんでした
●森川暁水(もりかわぎょうすい)
ぬれがほを鏡に妻や菜種梅雨
(ぬれがおを かがみにつまや なたねづゆ)
●野村喜舟
幻に建つ都府楼や菜種梅雨
(まぼろしに たつとふろうや なたねづゆ)
●田中冬二
・菜種梅雨あかるく暗く先斗町
(なたねづゆ あかるくくらく ぽんとちょう)
時候の挨拶で使われる「菜種梅雨」
「菜種梅雨」は、時候の挨拶としても使用されます。
手紙などの時候の挨拶の場合は、3月下旬~4月上旬ごろまで使います。
時候の挨拶の例:
「菜種梅雨も明け、暖かい日差しが降り注ぐようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか」
「菜種梅雨も明け、日に日に暖かくなって参りました。」
「菜種梅雨の季節となりましたが、お元気でお過ごしでしょうか」
「菜種梅雨の候、〇〇様にはますますご多忙のことと拝察いたします」
「菜種梅雨の候、〇〇様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」
菜種が咲く季節の長雨だから「菜種梅雨」とは、風流な呼び方だと思いませんか?
雨が続くとじとじとするし、洗濯物は干せないし・・・困るのよね~という人も多いかもしれませんが、この時期は寒い季節が終わり、少しずつ暖かくなり、雨に催されて花が次々に咲いていきます。
冬が終わり、春がやってくるのだと思うと、気持ちも晴れやかになりますね!
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