日本酒には、「純米」「吟醸」「大吟醸」など、いろいろな種類のものがありますね。
ですが、あまり日本酒に詳しくなかったり、日本酒を嗜み始めたばかりの方にとっては、それらがどう違うのかわからないかもしれません。
今回は、日本酒の種類やそれぞれどう違うかについてわかりやすく解説します。
日本酒とは?
日本酒とは、日本特有の製法で造られた日本に古来からある酒のことです。
主に、次のものを原料にしています。
●日本産の米
●日本産の米麹(こめこうじ・穀物に、食品を発酵させるためのカビや微生物を繁殖させたもの)
●水
一般的に「日本酒」と「清酒(せいしゅ)」は同じ意味で使われていますが、厳密には異なります。
清酒とは、昭和28年(1953年)に施行された「酒税法(しゅぜいほう)」で以下の要件を満たしたものと決められています。
●米、米麹および水を原料として発酵させて、濾(こ)したもの
●米、米麹、水および清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、濾したもの
●清酒に清酒かすを加えて、濾したもの
この要件の中で「米」や「米麹」は外国産のものも含まれます。
そのため、「清酒」の中でも日本産の米や米麹で作られたものが「日本酒」ということになります。
「清酒」という大きなジャンルの中に「日本酒」があると考えるとわかりやすいですね。
そして、平成18年(2006年)に酒税法が改正され、上記にプラスして「アルコール度数が22度未満のもの」という要件を満たしたものが清酒という扱いになりました。
このように清酒と日本酒は厳密には違いますが、この先は馴染みのある「日本酒」で説明していきます。
酒税法改正以前はアルコール度数が46度に達する日本酒が存在し、日本一アルコール度数が高い日本酒として販売されていたそうです。
純米?吟醸?大吟醸?種類や違いとは?
日本酒は原料や製造過程の違いで種類が分けられています。
その際の基準となるのが「精米歩合(せいまいぶあい)」で、製造過程でどれだけお米が削られたによって種類が分けられる・・・というものです。
精米歩合とは、精米して残った米の割合を%で表したものです。
たとえば、「精米歩合60%」とは、精米する前のお米を100%とすると、40%のお米を削り、残ったお米が60%ということになります。
なぜ削るかと言うと、お米は中心にいくほど香り高いので、精米歩合が低ければ低いほど日本酒特有の香りが、現れやすく、雑味のないスッキリした味わいが出るからです。
また、精米歩合が低いほど高価になります。
日本酒の中には、精米歩合が8%というものもあるそうです。
これは、お米の92%を削ってしまうということで、とってもぜいたくなものですね。
酒税法では原料や製法が一定の基準を満たす日本酒を「特定名称酒(とくていめいしょうしゅ)」と呼び、代表的なものとして、
「吟醸酒」
「純米酒」
「本醸造酒」
があります。
特定名称酒は高品質で、日本酒全体のおよそ30%といわれ、条件に合わない70%の日本酒は「普通酒」または「一般酒」と呼ばれています。
特定名称酒は、原料や製造方法の違い、精米歩合によってさらに以下のように8種類に分類されます。
吟醸酒
精米歩合が60%以下の白米、米麹および水、醸造アルコールを原料とし、吟醸造りによって製造した日本酒のことです。
吟醸造りとは、磨いたお米を通常よりも低い温度で長時間発酵させる方法で、フルーティで華やかな香りが生まれます。
大吟醸酒
吟醸酒の中でも、精米歩合が50%以下のものを指します。
精米歩合が50%以下なので、透明感やみずみずしさを感じさせるお酒です。
純米酒
白米、米麹および水のみを原料として造られているものを指します。
精米歩合の制限はありませんが、米麹は白米全体の15%以上で、3等以上に格付けされた玄米もしくはこれに相当する玄米が使われていることが条件です。
お米本来のうまみ、ふくよかなお米の香りを楽しむことができる、日本酒の王道ともいわれるお酒です。
特別純米酒
純米酒の中でも、精米歩合が60%以下で香りや味、色などが特に良好なものを指します。
蔵元独自の基準で、仕込みの回数を増やしたり、精米歩合を研究するなどの工夫がみられるお酒です。
純米吟醸酒
純米酒の中でも、吟醸造りで製造され、精米歩合が60%以下のものを指します。
お米のあじわいを楽しみたい人に人気があります。大量生産が難しいので、高価格のものが多いです。
純米大吟醸酒
純米酒の中でも、吟醸造りで製造され、精米歩合が50%以下のものを指します。
お米を半分以上削ることになります。蔵元によってはさらにお米を削ることもあり大量生産が非常に難しく、日本酒の中でも純米大吟醸は最高級品といえます。
本醸造酒
精米歩合が70%以下の白米、米麹、水、さらに醸造アルコールを原料としたものです。
燗(かん・酒を加熱すること)でも冷酒でも美味しく飲めるのが特徴で、飲み方の幅が広く、毎日飲む日本酒として人気です。
特別本醸造酒
本醸造酒の中でも、精米歩合が60%以下で特に香りや味、色などが良好なものを指します。
銘柄によって味わいなどに様々な違いがあり、シャープですっきりとした味わいのものや、滑らかな口当たりを追求しているものなどがあり、蔵元の個性を楽しむことができます。
すべての種類を把握するのはなかなか難しいですが、精米歩合の数値の見方を知るだけでも、日本酒選びの幅が広がりますね。
それでも、悩んだ時はお店の方に尋ねるといいですね。
産地や銘柄も数えきれないほどありますので、いろいろな日本酒を試してみて、自分好みの日本酒をみつけてくださいね!
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