「帯祝い」という言葉を聞いたことはありますか?
昔から続く日本の風習のひとつですが、日時が決まっていたり、年齢が決まっているわけではないので、馴染みのない言葉かもしれません。
文字だけを見ても、どういう内容なのか想像することができませんが・・・帯祝いとはどういうものなのでしょうか?
いつ、どこで、何をするものなのかわかりやすく解説します。
帯祝いとは?
「帯祝い」の読み方は「おびいわい」です。
別名、
「戌(いぬ)の日のお祝い」
「着帯式(ちゃくたいしき)」
ともいいます。
帯祝いとは、妊娠して胎児が順調に発育をし、流産の心配がぐっと減る妊娠5か月目に入る「安定期」といわれる時期に、妊娠したことをお祝いし、お産の軽い犬にあやかり無事に出産できるよう戌(いぬ)の日に安産祈願をすることです。
帯祝いはいつするの?
「戌(いぬ)」は、十二支(じゅうにし)のひとつです。
十二支は
・子(ね)
・丑(うし)
・寅(とら)
・卯(う)
・辰(たつ)
・巳(み)
・午(うま)
・未(ひつじ)
・申(さる)
・酉(とり)
・戌(いぬ)
・亥(い)
のことで、年月日や方角を表すために用いられています。
日に当てはめると1日ごとに十二支が順番で変わっていくので、12日に一回巡ってきます。
帯祝いは妊娠5か月に入り、最初の「戌の日」にするのが一般的です。
地域によっては、妊娠7か月、9か月で帯祝いを行うこともあるようですので、事前に確認しておくと安心ですね。
ただし、昨今は生活スタイルの多様化で戌の日にこだわらない人も多くなっているそうですよ。
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帯祝いはどこでどんなことをするの?
帯祝いでは、安産祈願のできる神社やお寺に参拝し、お祓いと祈祷を受け、「岩田帯」という帯を妊婦のお腹に巻きます。
岩田帯(いわたおび)とは、さらしの腹帯(はらおび・お腹に直接巻く帯)のことです。
お腹の冷えを予防したり、お腹になにかがぶつかったり、転倒した時にお腹を保護する役目があります。
「岩のようにたくましく、元気な赤ちゃんが産まれますように」という願いが込められています。
帯祝いで岩田帯を巻く風習は江戸時代(1603年~1868年)には行われていたとされいます。
語源は、妊婦のお腹の肌に直接帯を結ぶ「結肌帯(ゆはだおび)」や、安産祈願を神社やお寺でしたときに、不浄なものを避ける意味でしてもらった「斎肌帯(いはだおび)」がいつのまにか「いわたおび」に変化し、「岩田帯」という漢字が当てられたといわれています。
妊娠5か月目に入ると、少しずつお腹が目立ってきます。
この時期に帯祝いをし、岩田帯でお腹を守ったり冷えを防止したりする目的で普段からお腹に巻いておきます。
岩田帯はさらしの腹帯ですから、普段から巻くのはちょっと大変ですよね。
現在は、腹巻タイプやパンツタイプの腹帯などいろいろなものが販売されていますので、妊婦さんが使いやすいものを選ぶと良いでしょう。
帯祝いの際は、妊婦さんが普段から使っているものを持参すると良いのですが、
「岩田帯しかお祓いや祈祷はしない」
「腹巻タイプやパンツタイプなど岩田帯以外でもお祓いや祈祷をする」
というように、神社やお寺によって対応が異なりますので、事前に確認をしておくと安心ですよ。
岩田帯は、昔は妊婦の実家から贈られることが多かったそうですが、現在は特に気にせず神社やお寺で購入する人もいます。
普段は妊婦自身が巻きますが、帯祝いのときは、夫や妊婦の母親が、妊婦のお腹に巻くことが多いようです。
岩田帯を巻いたら、両家の両親を交えて祝い膳を囲み、お祝いをします。
また、地域や身内のしきたりで、仲人を招くこともあるようです。
帯祝いの服装は?
神社やお寺でお祓いと祈祷を受けるので正装が望ましいのですが、最近は「ラフすぎない平服」でも良いとされています。
平服とは、普段着・日常的に着る服という意味です。
スーツやワンピースなどのように堅苦しい格好をする必要はありませんが、神社やお寺でお祓いや祈祷をしていただくことを考慮し、素足、短パンやミニスカートなど肌の露出が多いものや、スパンコールやラメなど派手なものも避けましょう。
女性の場合は、長袖シャツやブラウス、カーディガン、スカート、ワンピースなどを着用すると良いのですが、妊婦は体を締め付けない、ゆったりとした服装を選んだり、足腰が冷えないようにパンツスタイルにするなど、身体の調子を第一に考えましょう。
男性の場合は、長袖シャツやポロシャツ、コットンパンツやスラックスを着用したり、ジャケットを羽織っても良いでしょう。
お腹に新しい命を宿したお母さんとその家族は、お腹の赤ちゃんが無事に成長し、無事に出産が終わることを願いますよね。
新しい命の誕生は、いつの時代も喜ばしいことです。
帯祝いが終わると、胎動も感じるころでしょうから、ますますお腹の赤ちゃんの存在を感じることができる時期でもありますね。
妊娠中の行事ですから、安定期とはいえ、体のことを第一に考えて無理のない範囲で行いましょう。
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