お正月といえば、おせち料理ですね。
おせち料理の具材にはいろいろな種類がありますが、それぞれ意味や願いが込められているそうです。
今回は、おせち料理の種類とその意味や込められた願いを一覧にまとめてました。
おせち料理の由来と歴史についてもご紹介します。
おせち料理の歴史と由来
おせち料理は弥生時代(紀元前4世紀~紀元後3世紀中頃)に誕生したといわれています。
弥生時代に日本人は稲作をはじめ、お米を食べ始めました。
稲作をすることで、自然の恵みに感謝する習慣が生まれ、なにかあるごとに神様に感謝する行事をするようになったそうです。
そのころ、中国から季節の変わり目を「節(せち)」または「節日(せちにち)」とした暦が伝わり、日本人はこの日に合わせて料理を作るようになりました。
この料理は「節供(せちく・せっく)料理」と呼ばれ、これがおせち料理のはじまりと考えられています。
「節(せち)」は奈良時代(710年~794年)から平安時代(794年~1185年)のころになると、邪気を祓い不老長寿を祈願する「節会(せちえ)」という宮中行事となっていきました。
節会の中でも特に重要とされていたのが以下の「五節会(ごせちえ)」です。
日にち | 節会 |
1月1日 | 元日節会 (がんじつのせちえ) |
1月7日 | 白馬節会 (あおうまのせちえ) |
1月14、16日 | 踏歌節会 (とうかのせちえ) |
5月5日 | 端午節会 (たんごのせちえ) |
11月の辰(たつ)の日 | 豊明節会 (とよのあかりのせちえ) |
五節会で神様にお供えした食べ物を「御節供(おせちく)」といい、これが「おせち料理」の語源と言われています。
江戸時代(1603年~1868年)になると御節供の習慣が庶民に広がっていき、一年で最も重要でおめでたいとされる節日の正月に作る料理を「おせち料理」と言うようになりました。
おせち料理の種類と意味一覧 どんな願いが込められているの?
おせち料理は重箱に詰められますが、重箱にも意味があります。
おせち料理を重箱に詰めるようになったのは、明治時代(1868年~1912年)以降といわれています。
おせち料理を詰めるのに重箱に詰めるのは「福を重ねる」「めでたさを重ねる」という意味が込められているそうです。
重箱の数は地域や家庭によって異なりますが、四段重が正式な段数になります。
重 | 詰める料理 |
一の重 | 「祝い肴(いわいさかな)」でお酒のおつまみになるような料理を詰めます。 |
二の重 | 「口取り(くちとり)」でお菓子のような甘い料理を詰めます。 |
三の重 | 「焼き物」で海の幸を焼いた料理を詰めます。 |
与の重 | 「煮物」で野菜を煮た料理や山の幸を詰めます。 |
※四は「死」を連想させて縁起が悪いので「与」という字が使われています。
それではおせち料理のそれぞれの意味を見ていきましょう!
黒豆
家族が一年「まめ」に働けますようにという意味と、黒色が邪気を払って不老長寿をもたらしてくれるという意味があります。
数の子
粒の多いニシンの卵には、子孫繁栄の願いが込められています。
田作り(地方によっては「ごまめ」とも呼びます)
豊作祈願の意味があります。
海老
海老の外見が腰の曲がった老人をイメージさせることから「腰が曲がるまで元気に長生きできますように」という長寿への願いが込められています。
伊達巻(だてまき)
大事な文書や絵の巻物に似ているということで、知識が増え文化が発展するよう願いが込められています。
また、卵を使用して作られていることから「卵=子宝」という意味があり、子宝に恵まれますようにという願いが込められています。
紅白蒲鉾(こうはくかまぼこ)
紅は魔除け、白は清浄を表し、日本ではおめでたいことの組み合わせとして「紅白」が古くから使われてきました。さらに、蒲鉾は半円形をしていて日の出に似ていることから、新しい門出にふさわしいとされています。
紅白なます(こうはくなます)
人参を紅色、大根を白色として作り、紅白でおめでたさを表現します。
また、人参と大根を細く切ることで、お祝いごとで使われる紅白の「水引(みずひき)」に見立てているとも言われています。
栗きんとん
見た目が黄色いことから「黄金の塊」という意味があり、商売繁盛の願いが込められています。
れんこん
れんこんにはたくさん穴が空いていることから「将来の見通しが良くなりますように」という願いが込められています。
昆布巻き(こぶまき)
昆布を「喜ぶ(よろこぶ)」にかけた語呂合わせからきています。養老昆布という字をあてて「よろこぶ」と読み、長寿の意味を込めているとも言われています。
酢だこ(すだこ)
タコを「多幸」と書いて幸せが多い年でありますようにという願いが込められています。
また、タコは茹でると赤くなり、白い部分もあるので紅白になっておめでたいといわれています。
ごぼう
細く長く地中にしっかり根を張ることから、ごぼうは縁起の良い食材とされています。
軟らかく煮たごぼうを叩いて開く「たたきごぼう」は開運の願いが込められています。
棒鱈(ぼうだら)
「鱈腹(たらふく)食べられる」ということと「腹(ふく)=福(ふく)」という語呂合わせから「一年間食に困りませんように」という願いが込められています。
ぶり
出世魚(稚魚から成魚になるまで成長によって名前が変わる魚)の代表格であるぶりは、立身出世を願う縁起物とされています。
ナマコ
形が米俵に似ていることから、豊作への願いが込められています。
たけのこ
たけのこは成長が早く、天に向かって真っすぐ伸びることから、子どもがすくすく成長するようにという願いが込められています。
くるみ
硬い殻に覆われていることから、その硬い殻が家を守るという意味があります。
おせち料理を食べる意味は?
おせち料理をお正月に食べるのは、お正月くらいは女性たちに炊事仕事を休んでもらいたいからとか、正月三が日は、お店が休みで食材が手に入らないから・・・なんてよく聞きますよね。
ですが本来の意味は違ったようです。
お正月には、年神様(毎年お正月、各家にやってくる豊作や幸せをもたらす神様)をお迎えしますが、年神様をお迎えした後は、物音を立てたり騒がしくしないために、炊事仕事をすることは好ましくなく、料理をすることは控えていたそうです。
そのため、年末に日持ちがするおせち料理を作り、お正月に食べたのがもともとの意味なのだそうです。
おせち料理の中身は、ご家庭や地域によって異なります。
引っ越し先や嫁ぎ先で、今まで見たことのない材料に驚くこともあるかもしれませんが、どれもお正月らしい意味が込められています。
新しい年のはじまりに、家族みんなでおせち料理を食べながら、その年をどんな年にしたいのか抱負を語りあうのもいいかもしれませんね。
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