1月 食文化

お屠蘇を意味と由来とは?お屠蘇の作り方、飲み方の作法と飲む順番

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お正月に家族や親戚が集まって新しい一年の始まりをお祝いする人も多いと思いますが、その時に欠かせないものが「お屠蘇(おとそ)」です。

お屠蘇の意味と由来とはどんなものでしょうか?

お屠蘇の作り方、飲み方の作法と飲む順番などについてわかりやすく解説します。

 

 

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お屠蘇の意味と由来とは?

 お屠蘇の「屠」には「邪気を屠る(ほふる)」という意味があり、「蘇」には「魂を蘇(よみがえ)らせる」という意味があります。

お正月にお屠蘇を飲むことで、その年の邪気を払い、無病長寿を祈ります。

 

お屠蘇は、日本酒とみりんに5種類~10種類の生薬(しょうやく)を漬け込んで作る薬草酒のひとつで、正式には「屠蘇散(とそさん)」または「屠蘇延命散(とそえんめいさん)」といいます。

 

お屠蘇は、中国の三国時代(184年~280年)に魏の国の華佗(かだ)と言う名医が考案したもであり、三国志で有名な曹操に、体に良い生薬を酒に混ぜ、厄除けと長寿の目的で献上したものが由来といわれています。

 

日本には平安時代(794年~1192年ごろ)に唐(中国)から伝わり、宮中のお正月の行事としてお屠蘇を飲むことが定着しました。

一般庶民にも広まったのは江戸時代(1603年~1868年)といわれています。

 

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お屠蘇の成分は?

 お屠蘇には5種類~10種類の生薬が使われます。

地域や家庭によって使う生薬に違いがあり、「必ずこの生薬を使う」という決まりはないようですが、以下のものが一般的に使われます。

 
生薬作用
白朮(びゃくじゅつ)利尿作用、健胃作用
山椒(さんしょう)健胃作用、抗菌作用
桔梗(ききょう)鎮痛作用、咳や痰を鎮める
肉桂(にっけい)健胃作用、発汗作用など
防風(ぼうふう)抗炎症作用、発汗・解熱作用
陳皮(ちんぴ)吐き気防止
赤小豆(せきしょうず)解熱作用
茴香(ういきょう)健胃作用
紅花(べにばな)血行促進
 

 

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生薬によってお屠蘇の効能に違いはありますが、おおむね、健胃作用や、初期の風邪に効果が期待できるため、風邪予防の薬としても飲まれていました。

お正月は寒い時期ですし、普段より食べ過ぎ飲みすぎになりやすいため、邪気払い・無病長寿を祈るという意味でだけではなく、健康のために飲まれていたのですね。

 

お屠蘇の作り方

 お屠蘇を家で作るには、数種類の生薬を準備しなくてはいけない・・・と思ってしまいますが、大丈夫です。

ドラッグストアやスーパーなどで「屠蘇散(とそさん)」を購入することができます。

屠蘇散は使いやすいようにティーバッグに包まれて売られていることがほとんどで、300ml~500mlに一包使うことが一般的です。



屠蘇散

屠蘇散


お屠蘇の材料は、

●屠蘇散一包

●日本酒

●本みりん

です。

 

 

作り方は以下のとおりです。

 
①日本酒と本みりん、合計300mlに屠蘇散を浸します。

日本酒と本みりんの割合は好みです。

日本酒が多ければ辛口な仕上がりに、本みりんが多ければ甘口の仕上がりになります。

 

 
②屠蘇散の説明書きの抽出時間を参考にしてください。

一般的には5時間~8時間浸します。

 

 
③抽出時間が長すぎると、濁ったり沈殿物が出ることがあります。

抽出が終わったら、屠蘇散を取りだして出来上がりです。

 

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飲み方の作法と飲む順番

 お屠蘇を飲む前に必ず若水(わかみず・元日の早朝に汲んだ水)で手を清め、神棚や仏壇を拝んだ後、家族そろって新年の挨拶を行います。

その後、おせち料理をいただく前にお屠蘇を飲みます。

 

お銚子と三段重ねの盃

お銚子と三段重ねの盃


お屠蘇は、朱塗りのお銚子(ちょうし)と三段重ねの盃(さかずき)を使いますが、ない場合はご家庭で一番お正月にふさわしそうな器を選んでください。

 
■飲み方の作法と飲む順番
家族全員で東(日の出)の方角を向きます。
最年長者が最年少者にお屠蘇を注ぎます。その時、飲む人の右側から注ぎます。
正式には三段重ねの盃に1杯ずつ注ぎ、小盃→中盃→大盃の順でそれぞれ1杯ずつ3回に分けて飲みます。
略式で行う場合は、中盃かお正月にふさわしい器1つに3回に分けて注ぎ、3回に分けて飲み干します。
最初に最年少者が飲みますが、飲む前に「一人これを飲めば一家病無く、一家これを飲めば一里病無し」と唱えます。
子供やお酒が飲めない人は、口をつけて飲む真似をします。
飲み終わった最年少者が2番目に若い人に注ぎます。
同様に年少者から年長者へ順に進めます。これは若者の精気を年長者に渡すという意味があり、毒見の名残でもあるようです。
厄年の人がいる場合、他の人に厄を祓う力を分けてもらうため、最後に飲みます。

お屠蘇の飲み方の作法と飲む順番をご紹介しましたが、地域や家庭によって飲み方は様々で、必ずしもこの飲み方が正解というものはありません。

最近は簡略化されており、お屠蘇ではなく日本酒を飲んだり、また各自で盃を持って家族全員で同時に乾杯をする家庭も増えています。

正式な作法だと敷居が高く感じるならば、まずは略式から初めてみるのも良いでしょう。

 


 

お正月にお屠蘇を作って飲むご家庭は、少なくなっており、お正月に飲む日本酒を「お屠蘇」と思っている方も少なからずいらっしゃるようで、この記事を読んだ方はその違いをわかっていただけたのではないかと思います。

お正月は日本に古くから伝わる風習がたくさんあります。

みんなで楽しく過ごしながら、その風習の由来や意味などを話し、後世に伝えていけるといいですね。

 

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