
着物や浴衣の時に小物として身につけたり、暑い時にあおいだり、みなさんも扇子やうちわを使ったことがありますよね。
扇子は日本発祥って本当なのでしょうか?
うちわとの違いや歴史、使い分けを解説します。
扇子とは?
読み方は「せんす」です。
扇子は、あおいで風を起こす道具で、折りたたんで持ち歩くことができます。

風を起こして涼むだけでなく、儀式や芸能、贈答品など幅広く使われています。
うちわとは?
うちわは、あおいで風を起こす道具です。

風を起こして涼むだけでなく、料理やイベントなどにも使われています。
扇子は日本発祥って本当?
扇子は日本発祥です。
平安時代(794年~1185年)初期に、扇子のルーツとなる「檜扇(ひおうぎ・ひおぎ)」が誕生します。
参考:日本大百科全書「扇」
檜扇とは、束ねた木簡(もっかん)や薄い板の端に穴を開け、紐でまとめた木製の扇です。

木簡とは、文字を書き記すために用いられた薄い短冊状の木の札です。
その片側に穴を開け、穴に紐を通して、何枚かの木の札を繋げたもので、広げると扇子の形になります。
檜扇を男性たちは、宮中の作法を書き留めたり、メモ帳として使っていたようです。
のちに檜扇に華やかな色や絵などの装飾を施すようになり、宮中の女性たちに普及しました。

檜扇は装飾品としても使われるようになり、「衵扇(あこめおうぎ)」と呼ばれました。
また、当時の女性はむやみに顔を見せないことがマナーとされていたため、顔を隠すときに重宝したようです。

その後、竹の骨組みの片面に和紙を張り付けた紙扇(かみおうぎ・かみせん)が誕生します。
紙扇を広げると蝙蝠(こうもり)のように見えるため、「蝙蝠扇(かわほりおうぎ)」と呼ばれ、現在の扇子に近い形をしています。

蝙蝠扇 中国扇博物館蔵(撮影:猫猫的日记本/CC BY-SA 3.0)
檜扇よりも軽い蝙蝠扇は、あおいで風を起こして涼をとる道具として広まりました。
平安時代の中期ごろから鎌倉時代(1185年~1333年)初期ごろに蝙蝠扇は中国に輸出されました。
中国では「倭扇(わせん)」と呼ばれ、高級品として扱われていました。
蝙蝠扇は中国で改良され、紙を両面に貼った扇に変化しました。
室町時代(1336年~1573年)ごろに「唐扇(とうせん)」として中国から逆輸入され、日本で普及し現在に至ります。

唐扇(19世紀・メトロポリタン美術館蔵)
関連:和紙の起源と歴史とは?どんな種類があるの?簡単な作り方
うちわの歴史は?

扇子のもととなったのは「うちわ」です。
うちわは、古代エジプトの壁画に描かれていたり、古代中国で使われていたという記録もあり、世界各地でそれぞれに発生していたと考えられています。
中国では紀元前3世紀ごろからうちわがあるといわれ、日本には、奈良時代(710年~794年)ごろに伝わったといわれています。
参考:日本大百科全書「団扇」

うちわで涼をとる女性 歌川豊広(1800年ごろ・メトロポリタン美術館蔵)
うちわの語源は「打つ翳(うつは)」だといわれています。
- 「打つ」は、虫や病気などの害を追い払う、打ち払う動作を意味します。
- 「翳(さしば)」は、鳥の羽や絹を張った大きなうちわ状のものに長い柄をつけた道具のことです。
つまり「打つ翳」とは、害を打ち払うためにかざす道具という意味になります。
翳は、貴族など身分の高い人が外出するときに、従者がさしかざして顔を隠すために使われていました。
「打つ翳」はやがて「打つ羽(うつは)」と書かれるようになり、「うちわ」と発音されるようになったようです。
平安時代ごろに、「打つ羽」は「団扇」へと書き方が変わりました。
中国語で、
- 「団」は、丸いことを意味します。
- 「扇」は、観音開きの扉を開閉するときに起る風を意味します。
つまり「団扇」は、「丸い形をした風を起こす道具」という意味になります。
そして、中国から入ってきた「団扇」という漢字に、日本語の「うちわ」という読みが当てられました。
扇子とうちわの違いは?
扇子とうちわはどちらも涼をとる道具という共通点がありますが、違いもあります。

橋の上でうちわと扇子を手に涼む人々 喜多川歌麿(1800年ごろ・メトロポリタン美術館蔵)
●構造の違い
扇子は折りたたむことができます。
うちわは折りたためません。
●発祥の違い
扇子は日本発祥です。
うちわは古代エジプトや古代中国など、いくつか発祥の地があります。
●風の違い
扇子はおだやかな風が起こります。
うちわは面積が広く強い風が起こります。
●使う場面の違い
扇子は冠婚葬祭や伝統芸能など、フォーマルな場で使います。
うちわは家庭やイベントなど、カジュアルな場で使います。
扇子とうちわの使い分けを解説
先ほど説明したように、扇子とうちわは使うシーンが異なります。
あおいで風を起こして涼む以外の使い方をご紹介します。
扇子を使う場面
●冠婚葬祭
結婚式やお祝いなど慶事に用いられる扇子は「祝儀扇(しゅうぎおうぎ・しゅうぎせん)」といいます。
金や銀、白を基調とした華やかなデザインです。
通夜や告別式など弔事に用いられる扇子は「喪扇(もおうぎ・もせん)」といいます。
喪に服していることを表す扇子で、黒一色や白や銀など落ち着いたシンプルなデザインです。
主に和装の装飾品として用い、手に持ったり帯に差すなどします。
●伝統芸能
能や狂言、歌舞伎、日本舞踊、茶道、落語などで、舞や所作を美しく見せたり、刀や盃などさまざまなものに見立てたり、重要な小道具として用いられています。

扇子を手にした歌舞伎の女形 歌川国貞(19世紀・メトロポリタン美術館蔵)
関連:茶道の歴史、道具と作法とは?流派の違いをわかりやすく解説
●縁起物
扇子は、開いた形が末広がりであることから、繁栄や招福などの象徴で縁起物とされています。
そのため、祝い事の飾りや贈り物、結婚式の引き出物や長寿のお祝いなどに用いられます。
関連:【縁起物一覧!】日本の縁起物の種類と意味とは?処分の仕方
うちわを使う場面
●家庭
料理を冷ます時やバーベキューの火起こしに使ったり、エアコンと併用したりします。
●イベント
お祭りや花火大会で浴衣を着る時にうちわを合わせ、夏らしさを演出する小物として使います。
ライブやフェスなどのイベントでは、応援グッズとして使われています。

うちわを持って夕涼みをする人々(1825年ごろ・メトロポリタン美術館蔵)
扇子は日本発祥だったのですね!
扇子は折りたためてコンパクトになるので、暑い季節はバッグに入れて持ち歩く人も少なくないと思います。
さまざまな柄や大きさの扇子がありますから、お気に入りのものを見つけてください。
家の中ではすぐに使えるうちわで涼むなど、扇子とうちわを使い分けるのも楽しいですね。
関連:【2026年】有名な夏祭り一覧!日本の伝統的な夏のお祭りといえば

コメント