雛人形には、お内裏様とお雛様だけの一段飾りのほかに、三段飾り、五段飾り、七段飾りなどがあり、数が増えれば増えるほど、お人形やお道具が増えていきます。
今回は、三段飾り、五段飾りには登場しないこともありますが、七段飾りでは必ず登場する「仕丁」と呼ばれるお人形について解説します。
ひなまつりの定番曲でもある「うれしいひなまつり」にも登場しない「仕丁」ですが、どういった役割があるのでしょうか?
仕丁の読み方と意味とは?
読み方は「しちょう」または「じちょう」です。
仕丁は上から五段目に飾られており、三人います。
それぞれの表情を見てみると、怒ったり、泣いたり、笑ったりしています。
これは、仕丁という立場を表しているといわれています。
仕丁は、平安時代(794年~1185年)以降、身分の高い人のもとで雑務に従事した人のことで、地方から出てきて無報酬で働いていたそうです。
50戸につき2人が、3年交代で勤務することが決められており、その間の食料などは故郷の負担となったそうです。
宮中では位の低い存在で、雛人形の中では唯一の庶民です。
仕丁の表情は、様々な事情で宮中へ来ることになったことを表現しており、怒ったり泣いたりするほど辛い立場ではありますが、喜びもあることがわかります。
雛人形の仕丁の表情が豊かなのは、表情豊かな子に育ちますように・・・という願いが込められているそうです。
役割や持ち物は何?
仕丁の持ち物は、地域や雛人形によって異なるそうです。
三人がそれぞれ宮中の雑務をするときの掃除道具を持っていたり、お内裏様が外出するときのお道具を持っていたりします。
掃除道具を持っている場合は、
・箒(ほうき)
・ちりとり
・熊手(くまで)
外出するときのお道具を持っている場合は、
・立傘(たちがさ・雨傘のこと)
・沓台(くつだい・靴を置くための台)
・台傘(だいがさ・日傘のこと)
です。
飾り方、並べ方は?
仕丁は上から五段目に飾ります。
向かって右から・・・
笑っている人形(右)
持ち物は箒または立傘
立傘が外側(向かって右側)を向くように、両手の間に竿を通して持たせます。
笑い上戸ともいわれています。
泣いている人形(中央)
持ち物はちりとりまたは沓台
両手の上に沓台を載せます。
泣き上戸ともいわれています。
怒っている人形(左)
持ち物は熊手または台傘
台傘が外側(向かって左側)を向くように、両手の間に竿を通して持たせます。
怒り上戸ともいわれています。
仕丁は、庶民だったことがわかりましたね。
故郷を離れ、宮中に3年交代で勤務することが決められ、おそらく、断ることができない立場だったのでしょう。
その感情が、お人形の表情になっているのですね。
ほかのお人形はみんな身分が高い人たちです。
喜怒哀楽を顔に表すことがあまりない人たちの中で、仕丁の三人は思いっきり表しているので、庶民である私たちが一番親しみやすいお人形かもしれませんね。
関連:雛人形の三人官女の意味や違い、役割とは?持ち物や道具の並び順、飾り方
関連:雛人形の五人囃子の意味や由来、役割とは?楽器の並び順と飾り方
関連:【2025年】雛人形を出す日はいつ?いつ飾るのが良い?
関連:【2025年】雛人形を片付ける日はいつ?遅れると婚期が遅れる理由とは?
コメント