「修二会」とは奈良県にある東大寺二月堂で毎年行われる伝統行事で、通称「お水取り」と言われており、奈良の人々にとっては「お水取りが終わらないと春が来ない」とも言われ、欠かすことのできない行事なのだそうです。
1250年以上続く伝統行事ということですが、どういうものなのでしょう?
今回は、修二会についてわかりやすく解説します。
また、2023年の日程も掲載しておきます。
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修二会・お水取りとは?
修二会の読み方は「しゅにえ」、お水取りの読み方は「おみずとり」です。
修二会とは、仏教の寺院で行われる法会(ほうえ・仏法を説くためや供養を行うために僧侶や人々が集まること)のひとつです。
旧暦の2月がインドでの正月に当たるため仏への供養を行うための法会が起源だといわれており、旧暦の2月1日から2月14日まで行われていた行事で、二月に修する法会ということから「修二会」と呼ばれています。
新暦(グレゴリオ暦・太陽暦)になってからは月遅れの3月1日から3月14日まで行われています。
また、修二会は現在では日本でしか行われていないそうです。
修二会は、東大寺二月堂の通称「お水取り(おみずとり)」が大規模で有名ですが、ほかにも薬師寺、法隆寺西円堂、長谷寺などでも行われています。

十一面観音菩薩
修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」と言います。
「十一面」は「十一面観音菩薩(じゅういちめんかんのんぼさつ)」のことで、「悔過(けか)」とは、私たちが過去に犯してきた様々な過ちを、仏様の前で告白し許しを請うことです。
つまり、「十一面悔過」とは「十一面観音菩薩にこれまでの過ちを告白し許しを請う」ということになります。
修二会では、東大寺二月堂のご本尊(ごほんぞん・そのお寺の信仰の対象となる仏様)である十一面観音菩薩に私たち一般の人々の代わりに僧侶が苦行を行い、懺悔をし、天下泰平や五穀豊穣を祈ります。
東大寺の修二会は、3月13日の午前1時半ごろに若狭井(わかさい)という井戸から「お香水(おこうずい・観音さまにお供えする水)」を汲み上げる儀式が行われることから「お水取り」と呼ばれるようになり、修二会の通称となったようです。
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お松明って何?
読み方は「おたいまつ」です。
東大寺二月堂の舞台で火のついた松明を振り回すことです。
このお松明は、本来は行を始める際に練行衆(れんぎょうしゅう・修二会を行う11人の僧侶のこと)の道灯りとして焚かれたもので、一人の童子(どうじ・練行衆を補佐する人のこと)が松明をかざし、その後に一人の練行衆が続き、入堂されたあとにその松明を舞台で振り回します。
お松明の火の粉を浴びると健康になる、幸せになると信じられており、燃えかすを護符(ごふ・お守り)の代わりにする信者も多いそうです。
お松明は期間中毎日行われますが、12日は「籠松明(かごたいまつ)」といわれる長さ8m、重さ約70㎏の大きな松明が使われます。
普通の松明の長さ7m、重さ約40㎏です。
2023年の日程は?
練行衆といわれる僧侶や、童子など、実際に行をする方たちは下記の日程以外にもさまざまな行を行っていますが、われわれ一般人がお松明やお水取りを見ることができる日程を掲載します。
※新型コロナウイルスの感染状況によっては、直前に中止になったり規模を縮小する可能性があります。事前にご確認ください。
通常のお松明(おたいまつ)
3月1日(水)~3月11日(土)及び3月13日(月)・・・毎日19時から約20分間。
最終日の3月14日(火)・・・18時半から約10分間。
籠松明(かごたいまつ)といわれる特に大きなお松明
3月12日(日)・・・19時半から約45分間。
お水取り
3月13日(月)・・・午前1時半から30分程度
お香水の頒布(はんぷ・希望者に無料で配ること)があります。
※日程の中で特に混雑するのは、テレビで取り上げられることで有名な籠松明と一度しかないお水取りです。
※安全確保のために交通規制や入場規制をするため、時間に余裕を持って早めに行動したほうが良いようです。
修二会は1250年以上も続く伝統行事です。
宗教儀式ですので歓声や拍手は禁止されており、カメラのフラッシュも厳禁とのことです。
とはいうものの全国から集まる観光客の中には修二会の本当の意味よりも、火を使った派手なお松明や籠松明についつい歓声をあげたり拍手をしてしまうそうです。
われわれのさまざまな過ちを代わりに懺悔してくださっているということを忘れずに寒い季節のことですから防寒対策もしっかりして見に行きたいものですね。
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