日本の食卓に欠かせない「豆腐(とうふ)」。
お豆腐は、消化が良くカロリーを抑えることができるのでダイエットに用いられたり、栄養豊富で美容にも良いなど、健康にもとてもいい食品です。
ところで、豆腐には木綿豆腐と絹ごし豆腐がありますが、その違いや使い分けはどうなっているのでしょうか?
豆腐の日や豆腐の起源についてもご紹介します。
豆腐の起源とは?
豆腐は、大豆の搾り汁をにがりなどの凝固剤で固めたもので、東アジアや東南アジアの広い地域で古くから食されている大豆加工食品です。
豆腐の起源は諸説あります。
漢時代が起源という説
16世紀に編纂(へんさん)された「本草網目(ほんぞうこうもく)」という中国の本に「豆腐は、漢の准南王劉安に始まる」という記録があります。
これは、「紀元前2世紀の漢時代に、准南王(わいなんおう・王の呼び方)の劉安(りゅうあん・前漢の皇族・学者)が豆腐を発明し、部下に作らせたのが始まり」という意味です。
しかし、それ以降、豆腐についての記録が唐の時代(618年~907年)までないため、真偽が明らかではなく、信憑性はあまりないといわれています。
唐時代が起源という説
最も有力な説が、8世紀~9世紀にかけての唐時代中期だといわれています。
6世紀の「斉民要術(せいみんようじゅつ)」という、農業や牧畜、衣食住について書かれた本では、醤油についての記述はありますが豆腐の記述はないため、この頃はまだ豆腐はなかったと考えられています。
しかし、10世紀の「清異録(せいいろく)」という書物で「豆腐」という言葉が登場していることから、唐時代の中期(8世紀~9世紀)には豆腐が作られていたと考えられています。
北方遊牧民との交流によって、牛乳などを使った「乳腐(にゅうふ)」と呼ばれるチーズなどの代用品として豆腐が発明されたのではないかと考えられています。
日本への伝来
日本への伝来も諸説あり定かではありませんが、最も有力なのは奈良時代(710年~784年)に遣唐使(けんとうし)が伝えたというもので、遣唐使の一員であった空海(くうかい・真言宗の開祖)が伝えたという説もあります。
日本で、豆腐が記録として初めて登場したのは、平安時代(794年~1185年)末期の奈良春日大社の神主の日記といわれており、「唐符(とうふ)」を神前にお供えしたという記載があるそうです。
「唐符」は、漢字は異なりますが、現在の「豆腐」の語源だという説があります。
また、他に鎌倉時代(1185年~1333年)に中国から帰化した僧侶が、豆腐を伝えたという説もありますが詳細は不明です。
日本に伝わった豆腐は、最初は、僧侶たちの精進料理として普及し、武家や貴族に伝わり、室町時代(1393年~1572年)に全国へ広まりました。
庶民の間でも通常の食材として食べられるようになったのは江戸時代(1603年~1868年)といわれています。
当初食べられていた木綿豆腐だけだったそうです。
江戸では豆腐が評判で、店頭で販売するだけではなく、毎日豆腐を売り歩く商人がいたそうです。
1782年には「豆腐百珍(とうふひゃくちん)」という、豆腐料理を100種類紹介している本がベストセラーとなり、当時の人々が豆腐をいろいろな調理法で食べていたようです。
料理屋では、硬く型崩れしにくい木綿豆腐を使った豆腐田楽が人気メニューで、庶民に親しまれていたそうです。
戸時代中期になると絹ごし豆腐が登場します。
元禄四年(1691年)に、後西天皇(ごさいてんのう・第111代天皇)の親王(しんのう・天皇の子である男子)である上野の宮様のお供で、京(現在の京都)から江戸(現在の東京)に移ってきた玉屋忠兵衛(たまやちゅうべえ)が初めて絹ごし豆腐を作りました。
上野の宮様は絹ごし豆腐を召し上がり「笹の上に積もりし雪の如き美しさよ」と賞賛され、「笹乃雪(ささのゆき)」と名付けられ、玉屋忠兵衛はそれを屋号としたそうです。
「笹乃雪」というお店は現在も続いている老舗です。
外部リンク:笹乃雪のホームページ
木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いとは?
木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いは、作り方です。
木綿豆腐は、大豆を水に浸し柔らかくしてから搾(しぼ)り、豆乳を抽出し、にがりなどの凝固剤を混ぜて一度固めたものをくずし、木綿の布を敷いた型に流し込み、上から重石を乗せ、圧力をかけて余分な水分を切って作ります。
味が濃く、堅く、型崩れしにくいのが木綿豆腐の特長です。
木綿豆腐という名前の由来は、製造工程で木綿の布を用いるからです。
絹ごし豆腐も、木綿豆腐同様、大豆を水に浸し柔らかくしてから搾り、豆乳を抽出します。
そして、木綿豆腐よりも濃い豆乳を凝固剤と混ぜて型に入れ、重石は乗せずに固まるのを待ちます。
そのため、たっぷりの水分を含んでおり、柔らかい豆腐になります。
木綿豆腐よりも味は薄いですが、なめらかなのが絹ごし豆腐の特長です。
絹ごし豆腐という名前の由来は、絹のように細かくなめらかな舌触りだといわれています。
製造工程が異なるため、栄養価にも違いがあります。
豆腐100gとして見て行きましょう。
栄養価 | 木綿豆腐 | 絹ごし豆腐 |
カロリー | 72kcal | 56kcal |
タンパク質 | 6.6g | 4.9g |
脂質 | 4.2g | 9.0g |
炭水化物 | 1.6g | 2.0g |
糖質 | 1.6g | 2.0g |
マグネシウム | 31mg | 44mg |
カルシウム | 120mg | 43mg |
カリウム | 140mg | 150mg |
亜鉛 | 0.6mg | 0.5mg |
鉄分 | 0.9mg | 0.8mg |
葉酸 | 12μg | 11μg |
ビタミンK | 13μg | 12μg |
ダイエットでは糖質やタンパク質を気にすることも多いですから、木綿豆腐がダイエットに向いているといえますし、女性に不足がちな鉄分やカルシウムを取りたい場合も木綿豆腐が向いているようです。
しかし、どちらの豆腐も低カロリー高たんぱくで、カルシウムやカリウムなどのミネラルも含まれていまので、ダイエット中に食事制限をする場合は、豆腐を食事に取り入れることでカロリーを抑えつつ、栄養をバランス良く摂ることができますよ。
木綿豆腐と絹ごし豆腐の使い分けとは?
木綿豆腐と絹ごし豆腐は口当たりが違いますので、料理によって使い分けます。
木綿豆腐は硬く型崩れしにくいので、 煮る、焼く、炒める、揚げるなどの調理法が適しており、以下のようなものがあります。
●白和え
●豆腐ハンバーグ
●すき焼き
●麻婆豆腐
●ゴーヤチャンプルー
●揚げ豆腐 など
絹ごし豆腐は柔らかく口当たりが良いので、 そのまま料理が適しており、以下のようなものがあります。
●冷奴
●サラダ など
木綿豆腐と絹ごし豆腐どちらも適しており、好みで使い分けると良い料理は以下のようなものがあります。
●みそ汁
●けんちん汁
●もつ鍋
●キムチ鍋
●水炊き
●湯豆腐 など
10月2日は豆腐の日
いろいろな料理に使える豆腐ですが、「豆腐の日」と記念日があります。豆腐の日は2つあり、年に一度ともの、月に一度のものがあります。
年に一度の「豆腐の日」は、日本豆腐協会が1993年に「もっと豆腐を食べてもらいたい」という願いを込め、「10(とう)月2(ふ)日」という語呂合わせで10月2日を豆腐の日に制定したものです。
また、月に一度の「豆腐の日」も日本豆腐協会が1993年が制定したもので、「10(とう)2(ふ)=12日」という語呂合わせから毎月12日が豆腐の日になっています。
豆腐に関するイベント
豆腐の日には特にイベントはありませんが、豆腐に関するイベントをご紹介します。
うそつきとうふの日
鳥取県米子市の「白鳳の里」では、毎年12月8日に近い土曜日に「うそつきとうふの日」というイベントを行っています。
嘘を言って商売をしていた商人が12月8日に「誓文開き」と称して豆腐汁を食べたことに由来しており、12月8日に豆腐を食べると1年間の嘘を白紙にできるといわれています。
特製豆腐鍋やうどんの振る舞いがあるほか、「一筆箋(いっぴつせん)」という小さい便箋に、白紙にしたい嘘を書くと、数日後に近所の日吉神社で焼却してくれるそうです。
外部リンク:うそつきとうふの日イベント
大山とうふまつり
神奈川県伊勢原市の大山では、毎年3月中旬に「大山とうふまつり」を開催しています。
直系4mの仙人鍋で湯豆腐をつくり振舞ったり、手作り豆腐体験や豆腐早食い大会など、30種類を超えるイベントが行われているそうですよ。
外部リンク:伊勢原市観光協会 大山とうふまつり
木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いは柔らかさだけかと思っていましたが、作り方がそもそも違うのですね。
木綿豆腐と絹ごし豆腐を上手に使い分けて、いろいろな豆腐料理を味わってくださいね!
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