【漆器・漆塗り】意味と歴史とは?どんな種類があるの?英語でjapan?

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「漆器(しっき)」「漆塗り(うるしぬり)」・・・日本では、古くから食器や櫛、花器などの日用品として使われてきました。

昔は、壊れにくい、長持ちする、と愛用されていたようですが、現在は安価に大量生産できる日用品が増え、漆器を使う人が減ってきているようです。

今回は、そんな漆器や漆塗りの意味と歴史、種類などについてご紹介します。

また、英語ではなんというのでしょうか?

 

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目次

漆器の意味とは?

読み方は、「漆器(しっき)」です。

 

「漆器」とは、漆(うるし)を塗り重ねた木の器(うつわ)のことをいいます。

また、木の器以外の櫛(くし)や箸置き、箸など、漆を塗り重ねたものも幅広く「漆器」というのが一般的です。

「漆」は、ウルシ科ウルシ属の落葉高木の「ウルシ」から採れる樹液を加工したものです。

木の器などに、漆を塗り重ね、3040もの工程を経て漆器を仕上げていきます。

漆はウルシの木の年代や産地で成分が異なり、乾く時間や粘り気などが異なります。

この性質を把握し、使用目的に適した塗り重ね方をすることで、美しく、丈夫で長持ちする漆器が出来上がります。

以前は日本各地で漆が採られていましたが、現在は90%以上が中国から輸入されたものだそうです。

そのため、日本産の漆は希少で価格も高いので、主に神社仏閣の補修に使われているそうです。

 

漆塗りの意味とは?

読み方は、「漆塗り(うるしぬり)」です。

 

「漆塗り」とは、漆を木の器などに塗ることですが、漆器そのものを指すこともあります。

また、漆を塗る職人のことを「塗師(ぬし)」といいます。

 

漆はウルシの木の年代や産地で成分が異なり、乾く時間や粘度の性質が異なります。

この性質を把握し、使用目的に適した塗り重ね方をすることで、美しく、丈夫で長持ちする器物が出来上がります。

 

漆器や漆塗りの歴史とは?

漆の歴史は古く、2011年に北海道垣ノ島遺跡(かきのしまいせき)で漆を使った縄文時代前期(紀元前14000年ごろ~数世紀)の装飾品発見されたことから、今からおよそ9000年前には漆が使われていたと考えられています。

弥生時代(紀元前数世紀~3世紀中頃)になると武器類に漆を塗るようになり、古墳時代(3世紀中頃~7世紀頃)になるとさまざまなものに漆加工が用いられ、漆が塗られた棺などが見つかっています。

平安時代(794年~1185年)に、宮廷内での漆器の使用が日常化し、朝廷直轄の漆工芸が始まりました。

鎌倉時代(1185年~1333年)から室町時代(1336年~1573年)には「蒔絵(まきえ)」の技法が誕生し、数多くの豪華な名品が生まれました。

蒔絵とは、漆で模様や絵を描きそこへ金粉や銀粉を蒔く技法です。

蒔絵

鎌倉時代には、「平蒔絵(ひらまきえ)」「高蒔絵(たかまきえ)」「研出蒔絵(とぎだしまきえ)」という現代に伝わる蒔絵の手法が確立されました。

 

平蒔絵とは

漆で模様や絵を描き、そこへ金粉や銀粉を蒔いて、その上に漆を塗り、乾いたあとに透明の漆を塗り、研いで磨いて仕上げる技法です。

蒔絵を施した部分と、施していない部分は少しだけ高低差が生まれます。

一般的に「蒔絵」といったら「平蒔絵」を指します。

 

高蒔絵とは

蒔絵を施す部分に下地となる漆を塗って高く盛り上げ、乾燥させてから平蒔絵を施すことで立体的な絵にする技法です。

 

研出蒔絵とは

途中までは平蒔絵と同じです。

金粉や銀粉を蒔いて絵を描いた後、全面に漆を塗り、漆が乾いてから全面を研ぐ技法です。

平蒔絵と違って、蒔絵を施した部分と施していない部分が同じ高さになりなめらかに仕上がります。

 

室町時代には将軍の庇護のもとで多くの名工が活躍し、肉合蒔絵(ししあいまきえ)等の新技法が誕生し、数多くの名品が生まれました。

肉合蒔絵は、高蒔絵と研出蒔絵を併用する技法で、豪華な蒔絵に仕上がります。

 

安土桃山時代(1573年~1603年)になると、西洋の文化が日本に伝わるようになり、欧風モチーフの作品も作られるようになりました。

江戸時代(1603年~1868年)には庶民の間でも漆器は日用品として普及し、16世紀後半ごろに諸外国に輸出されるようになり、欧州の王侯貴族から高い評価を得ました。

 

大正(1912年~1926年)から昭和(1926年~1989年)にかけて、皇室が海外の国賓にお土産として漆器を用いるようになったことで、輸出品の重要項目となりました。

それと同時に、輸入品として漆器よりも安価で大量生産できる器物も入ってきて、庶民の生活から漆器が遠のいてしまったといわれています。

 

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漆器にはどんな種類があるの?

伝統工芸品に指定されている漆器の産地は20以上あります。

その中のいくつかをご紹介します。

 

津軽塗(つがるぬり)

青森県弘前市周辺で作られている漆器です。

丈夫で実用性が高い一方で、外見がとても美しいのが特徴です。

 

輪島塗(わじまぬり)

石川県輪島市で作られている漆器です。

漆器や漆塗りといえば「輪島塗」を思い浮かべる人も多いでしょう。

輪島塗は、漆を何度も塗り重ねることで丈夫な下地となり長持ちします。

蒔絵の技法を用いた美しい模様が特徴です。

 

山中漆器(やまなかしっき)

石川県加賀市の山中温泉地区で作られている漆器です。

主にお椀や茶托など丸い物が作られています。

木目の美しさを生かしているのが特徴です。

 

会津塗(あいづぬり)

福島県会津地方で作られている漆器です。

縁起の良い模様や多彩な加飾(かしょく・絵付けの彩色)の美しさが特徴です。

会津塗に用いられる松竹梅と破魔矢を組み合わせたデザインは「会津絵」と呼ばれています。

 

紀州漆器(きしゅうしっき)

和歌山県海南市の黒江地区を中心に作られている漆器です。

産地の名前から「黒江塗り(くろえぬり)」とも呼ばれています。

丈夫でシンプル、日常生活で気軽に使える実用的な漆器です。

 

越前漆器(えちぜんしっき)

福井県鯖江市周辺で作られている漆器です。

漆の落ち着いた光沢や上品な華やかさが特徴です。

「業務用漆器」は、越前漆器が全国8割のシェアを占め、日本一の産地です。

 

木曽漆器(きそしっき)

旧木曽郡楢川村である長野県塩尻市とその周辺で作られている漆器です。

長く使用するほど温もりのある艶が増し、しっかりと壊れにくくなるのが特徴の漆器です。

 

琉球漆器(りゅうきゅうしっき)

沖縄県で作られている漆器です。

加飾の技術が多種多様なのが特徴です。

沖縄は漆の生産地として気候条件に恵まれており、産地としての好条件と職人の努力によって独自の地位を確立しています。

このように、北は青森県、南は沖縄県まで、日本各地に漆器の産地があります。

 

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英語でjapanの意味は?

英語で「Japan」というのは、日本のことですよね。

しかし、すべて小文字で「japan」と書くと、その意味は「うるし」のことになります。

ほかにも、うるしは「Japan lacquer」と書くこともあります。

 

江戸時代に漆器が輸出されるようになり、欧州の王侯貴族から高い評価を受け、日本は積極的に漆器を輸出するようになりました。

数多くの漆器を輸入するようになった欧州では日本の漆器を「japan」と呼ぶようになり、一般的にも広がったといわれています。

 

11月13日は「うるしの日」

文徳天皇

文徳天皇

平安時代に文徳(もんとく)天皇の第一皇子・惟喬(これたか)親王が京都嵐山の法輪寺に参籠(さんとう)し、満願の日の11月13日に漆の製法を菩薩から伝授された伝説が由来となっています。

参籠とは、神社や仏堂など一定の期間の昼夜、引き籠って神仏に祈願することです。

「うるしの日」は1985(昭和60)年に日本漆工芸協会によって制定された記念日です。

毎年11月13日は昔から漆関係者の祭日であり、親方が職人に酒や菓子などを配り労をねぎらう日だったそうです。

 

 

日本の漆や漆器の歴史がとても古いことがわかりましたね。

2011年に北海道でおよそ9000年前の漆器が出土するまで、最古のものは中国で発掘されたおよそ7000年前のもの・・・といわれていました。

9000年、7000年、どちらも気が遠くなりそうなほど昔の話ですよね。

現在はあまり日用品として使われていませんが、長い歴史を持った漆器は、見た目も美しく丈夫で長持ちすると愛用されていた時代もあったのです。

みなさんの生活の中にも、漆器を取り入れてみてはいかがでしょうか?

 

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