古くから詠まれてきた「和歌」
貴族をはじめとする身分の高い人たちの間では、和歌はたしなみのひとつだったそうです。
多くの人が詠んだ和歌をまとめたものを和歌集と言います。
有名なの和歌集に
「万葉集」
「古今和歌集」
「新古今和歌集」
がありますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
わかりやすく解説します。
万葉集とは?
読み方は「まんようしゅう」です。
現存する日本最古の和歌集で、日本文学における第一級の史料といわれています。
誰がどのような目的で編纂(へんさん・いろいろな材料を集め書物などにまとめること)したのかなど、詳しいことはわかっていませんが、759年に成立したと考えられています。
天皇や貴族だけではなく、庶民の詠んだものまで、4500首以上もの歌が集められています。
また、方言による歌もいくつか収録されており、その出身地も記録されていることから、方言学の資料としても重要なものです。
ちなみに元号の「令和」は「万葉集(まんようしゅう)」の一首が由来となっています。
詳細は以下の記事をご覧ください。
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古今和歌集とは?
読み方は「こきんわかしゅう」です。
平安時代(794年~1185年ごろ)前期の勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう)です。
勅撰和歌集とは、天皇や上皇の命により編集された和歌集のことです。
日本で最初に編纂された勅撰和歌集であり、略称を「古今集(こきんしゅう)」といいます。
醍醐天皇の勅命(ちょくめい・天皇の命令)により、
・紀貫之(きのつらゆき)
・紀友則(きのとものり)
・凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
・壬生忠岑(みぶただみね)
の4人の撰者によって編纂され、905年に成立しました。
しかし、それ以降に詠まれた和歌も含まれていることから、のちに手が加えられたといわれ、実際の完成は912年ごろという説もあります。
1111首の歌が集められ、その4割ほどが詠み人知らずで、撰者4人の歌が2割以上を占めています。
また、繊細で優美な歌が多く、女性的ともいわれています。
新古今和歌集とは?
読み方は「しんこきんわかしゅう」です。
鎌倉時代(1185年~1333年)に編纂された勅撰和歌集で、略称を「新古今集(しんこきんしゅう)」といいます。
後鳥羽上皇の命により、
・藤原定家(ふじわらのさだいえ)
・藤原家隆(ふじわらのいえたか)
・堀川道具(ほりかわみちとも)
・藤原有家(ふじわらのありいえ)
・飛鳥井雅経(あすかいまさつね)
・寂蓮(じゃくれん)
の6人の撰者によって1205年に成立しました。
しかし、寂蓮は和歌を集めている最中に没しており、実際の作業は5人で行われたそうです。
万葉集やそれまでの勅撰和歌集に選ばれなかった和歌の中から1979首の歌が集められました。
古今和歌集を始まりとして新古今和歌集まで8つの勅撰和歌集が作られましたが、この8つの勅撰和歌集のことを「八代集(はちだいしゅう)」といいます。
八代集は以下のとおりです。
・古今和歌集
・後撰和歌集(ごせんわかしゅう)
・拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)
・後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)
・金葉和歌集(きんようわかしゅう)
・詞花和歌集(しかわかしゅう)
・千載和歌集(せんざいわかしゅう)
・新古今和歌集
新古今和歌集は八代集の最後を飾るものです。
そのあとも13の勅撰和歌集(十三代集)が作られ、八代集と十三代集をあわせて「二十一代集」と呼ばれています。
十三代集は以下のとおりです。
・新勅撰和歌集(しんちょくせんわかしゅう)
・続後撰和歌集(しょくごせんわかしゅう)
・続古今和歌集(しょくこきんわかしゅう)
・続拾遺和歌集(しょくしゅういわかしゅう)
・新後撰和歌集(しんごせんわかしゅう)
・玉葉和歌集(ぎょくようわかしゅう)
・続千載和歌集(しょくせんざいわかしゅう)
・続後拾遺和歌集(しょくごしゅういわかしゅう)
・風雅和歌集(ふうがわかしゅう)
・新千載和歌集(しんせんざいわかしゅう)
・新拾遺和歌集(しんしゅういわかしゅう)
・新後拾遺和歌集(しんごしゅういわかしゅう)
・新続古今和歌集(しんしょくこきんわかしゅう)
「万葉集」「古今和歌集」「新古今和歌集」の違い
それぞれの違いはわかりましたか?
簡単にわかりやすく説明すると、以下のような点になります。
●「万葉集」
759年に成立した日本最古の和歌集で、庶民の歌まで含まれ、4500首以上の歌が収められています。
●「古今和歌集」
905年に成立した日本最初の勅撰和歌集で、醍醐天皇の勅命により編纂され、1111首の歌が収められています。
●「新古今和歌集」
1205年に成立し、8つの勅撰和歌集である八代集の最後を飾るもので、後鳥羽上皇の命により編纂され、1979首の歌が収められています。
時代も違いますし、集められた歌の数や雰囲気も異なるようですので、興味のある方はそれぞれの和歌集をじっくり詠んでみるといいですね。
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