秋の虫の鳴き声一覧!鈴虫・マツムシ・コオロギの違い

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秋になると、いろいろな虫の鳴き声が聞こえてきますね。

リンリンリン、リーンリーン、コロコロコロコロ・・・どの虫の鳴き声かわかりますか?

秋の虫の鳴き声を一覧にしてみました!

また、日本人が虫の声を楽しんできた歴史や、唱歌「虫のこえ」の歌詞が昔と違うことや、秋の虫の代表格である鈴虫、マツムシ、コオロギの違いについても解説します。

 

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目次

秋の虫の鳴き声一覧!

唱歌「虫のこえ」に出てくる虫の鳴き声

虫の鳴き声といえば「虫のこえ」という唱歌があります。

歌詞は以下の通りです。

あれ 松虫(まつむし)が鳴いている

ちんちろ ちんちろ ちんちろりん

あれ 鈴虫(すずむし)も鳴き出した

りんりん りんりん りいんりん

秋の夜長を鳴き通す

ああ おもしろい虫のこえ

 

きりきり きりきり こおろぎや

がちゃがちゃ がちゃがちゃ くつわ虫

あとから馬おい(ウマオイ) おいついて

ちょんちょん ちょんちょん すいっちょん

秋の夜長を鳴き通す

ああ おもしろい虫のこえ

虫の鳴き声を文字にする場合、人によって聞こえ方や書き方に違いがあります。

そのため、「虫のこえ」に登場する虫の鳴き声は、実際には、以下のように聞こえることが多いです。

歌詞の鳴き声 実際の鳴き声
マツムシ 「ちんちろ ちんちろ ちんちろりん」 「チンチロリン」
「チンチーンチン」
「ピッ、ピリリ」
スズムシ 「りんりん りんりん りいんりん」 「リーン リーン」
「リリリリンリリリリン」
コオロギ 「きりきり きりきり」 「コロコロコロコロ リーリー」
「リッリッリッリッ」
くつわ虫 「がちゃがちゃ がちゃがちゃ」 「ガチャガチャガチャガチャガチャ」
ウマオイ
(ハヤシノウマオイ)
「ちょんちょん ちょんちょん すいっちょん」 「スイーチョン スイーチョン」

出典:国土交通省近畿地方整備局「桂川における鳴く虫の生息状況」新潟県愛鳥センター紫雲寺さえずりの里「マツムシの声を楽しむ会」公益財団法人東京都公園協会「秋の昆虫-多摩丘陵で出会える動物たち」

 

ほぼ同じ鳴き声もありますが、ほとんどは違うように聞こえるようですね。

 

そのほかの秋の虫の鳴き声

それ以外の秋の虫の鳴き声は以下の通りです。

鳴き声
キリギリス 「ギー チョン ギー チョン」
ツユムシ 「ジ ジ ジ ジジジジ」
モリオカメコオロギ 「リ リ リ リ リ」
ハラオカメコオロギ 「リリリリ リリリリ リリリリ」
ヒメギス 「ツルルルルルル」
アオマツムシ 「リーィ リィリィリィー」
「フィ・フィ・フィ」
カンタン 「ルルルルルルルルルルル」
カネタタキ 「チンチンチンチン」
ササキリ 「ジキジキジキジキ」

出典:兵庫県立人と自然の博物館「コオロギの一覧」兵庫県立人と自然の博物館「キリギリスの一覧」

 

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日本人と虫の声の歴史

日本では古くから、虫の声を楽しむ文化がありました。

 

平安時代 貴族が野に出て虫を捕った

平安時代(794年~1185年)には、殿上人(てんじょうびと)たちが秋に嵯峨野などへ出かけ、声のよい虫を捕らえて宮中に献上していました。この行事を「虫撰(むしえらみ)」といいます。

草むらで虫を捕る公家たちを描いた扇形の絵
出典:ColBase「虫狩図扇面」東京国立博物館蔵

 

殿上人とは、天皇が日常を過ごす清涼殿(せいりょうでん)の「殿上の間(てんじょうのま)」に上がることを許された貴族のことです。

上がることを許されない者は「地下(じげ)」と呼ばれ、はっきり区別されていました。

 

『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』には、堀河天皇が嘉保2年(1095年)8月12日に殿上人へ虫籠を与え、嵯峨野で虫を捕らえてくるよう命じた話が残っています。

人々は馬に乗って出かけ、月が出る前に内裏へ戻ると、虫籠を萩(はぎ)や女郎花(おみなえし)といった秋の七草で飾って中宮に献上しました。

捕らえた虫は、それぞれ好みの虫を籠に入れて鳴き合わせる「虫合(むしあわせ)」や、虫の歌を詠んで競う「歌合(うたあわせ)」にも使われました。

 

京都の下鴨神社(賀茂御祖神社)は、虫籠に鳴く虫を入れて八朔(はっさく・旧暦8月1日)に朝廷へ献上していました。この習わしは室町時代の1550年(天文19年)までさかのぼり、江戸時代にも続いて、明治の初めに途絶えました。

出典:国土交通省近畿地方整備局「桂川における鳴く虫の生息状況」11頁

 

江戸時代 「虫売り」と「虫聴き」が流行した

江戸時代(1603年~1868年)には、虫を売る商売が流行し、虫を観察したり、虫に関する本が出版されたりするようになりました。

17世紀の中ごろから京都や大阪に「虫売り」が現れ、庶民が鳴く虫を飼うようになります。

虫籠を差し出す虫売りと、それをのぞきこむ女性を描いた浮世絵
出典:ColBase「虫売り」喜多川歌麿筆・東京国立博物館蔵

 

虫籠も、ごく細い針金で編んだものや、竹でできたさまざまな形のものが作られました。螺鈿(らでん)や蒔絵(まきえ)をほどこした豪華な虫籠まであったそうです。

朝廷への献上に使われた虫籠の図は、『蒹葭堂雑録(けんかどうざつろく)』(1856年)に残されています。朝廷への献上に用いられた、飾りをほどこした台つきの虫籠の図
出典:『蒹葭堂雑録』(国立国会図書館蔵)/国土交通省近畿地方整備局「桂川における鳴く虫の生息状況」11頁

 

山野へ虫の声を聴きに出かける「虫聴き(むしきき)」も流行し、京都では建仁寺や相国寺の松林、嵯峨野などが名所として知られていました。

名所は虫の種類ごとにありました。

『怪談』で知られる小泉八雲(こいずみやくも・ラフカディオ・ハーン)は、マツムシなら嵐山や住吉、宮城野、スズムシなら小倉山や鈴鹿山、キリギリスなら嵯峨野や竜田川、といった名所を書き残しています。

出典:国土交通省近畿地方整備局「桂川における鳴く虫の生息状況」15〜16頁

 

虫の声を楽しむ文化は今も残っている

虫売りは明治・大正から昭和の初めまで続き、マツムシ、スズムシ、エンマコオロギ、カネタタキ、カンタン、ウマオイなど、多くの鳴く虫が売られていました。

いまでは鳴く虫を飼う習慣はほとんど見られなくなりましたが、スズムシを飼う人は残っています。京都市西京区の華厳寺(けごんじ)は一年を通してスズムシを飼っており、「鈴虫寺(すずむしでら)」と呼ばれています。

「華厳寺」と書かれた扁額が掛かる鈴虫寺の入り口と、石畳の参道
出典:国土交通省近畿地方整備局「桂川における鳴く虫の生息状況」16頁

 

スズムシは、飼育セットやマットが通信販売でも手に入ります。

 

地域で守る動きもあります。

宮城県仙台市は1971年の市民投票でスズムシを市の虫に決めました。長野県松川村は2010年に「安曇野松川村すずむし保護条例」を施行しています。

東京都墨田区の向島百花園(むこうじまひゃっかえん)では、明治時代から「虫ききの会」が続いています。

出典:国土交通省近畿地方整備局「桂川における鳴く虫の生息状況」16・17・31頁

 

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「虫のこえ」の歌詞は昔と違う

羽を立てて鳴いている秋の虫のイラスト

「虫のこえ」は明治43年(1910年)に「尋常小学読本唱歌」で初めて発表され、その時の歌詞は以下の通りでした。

明治43年『尋常小學讀本唱歌』(繰り返し記号を展開)

 

あれ松蟲(まつむし)が鳴いてゐる。

ちんちろちんちろ ちんちろりん。

あれ鈴蟲(すずむし)も鳴き出した。

りんりんりんりん りいんりん。

あきの夜長を鳴き通す

ああおもしろい蟲のこゑ。

 

きりきりきりきり きりぎりす。

がちゃがちゃがちゃがちゃ くつわ蟲。

あとから馬おひおひついて

ちょんちょんちょんちょん すいっちょん。

秋の夜長を鳴き通す

ああおもしろい蟲のこゑ。

出典:文部省『尋常小學讀本唱歌』明治43年、24〜25頁(国立教育政策研究所教育図書館 近代教科書デジタルアーカイブ)

 

二番目の歌詞に出てくる「きりぎりす」は古語で、現在の「こおろぎ」のことです。

 

昭和7年に「こほろぎや」に変わった

そして、昭和7年(1932年)に発表された「新訂尋常小学唱歌」では、以下のように改められました。

歌詞は、漢字や仮名遣いが違うだけで、現在と同じ歌詞になりました。

昭和10年訂正発行版の歌詞

 

あれ、松蟲が鳴いてゐる。

ちんちろちんちろ、ちんちろりん。

あれ、鈴蟲も鳴き出した。

りんりんりんりん、りいんりん。

秋の夜長を鳴き通す、

ああ、おもしろい蟲のこゑ。

 

きりきりきりきり、こほろぎや、

がちゃがちゃがちゃがちゃ、くつわ蟲、

あとから馬おひおひついて、

ちょんちょんちょんちょん、すいっちょん。

秋の夜長を鳴き通す、

ああ、おもしろい蟲のこゑ。

出典:文部省『新訂尋常小学唱歌 第三学年用』28〜29頁(広島大学図書館デジタルアーカイブ)

 

二番の「きりぎりす」が「こほろぎや」に改められたのがわかりますね。

なお、『新訂尋常小学唱歌』の奥付には「昭和七年四月六日發行」と「昭和十年六月十五日 訂正發行」の両方が記されており、差し替えの年を昭和7年とする説と昭和10年とする説があります。

出典:佐伯英人「昆虫の同定に関する児童・生徒の実態」『理科教育学研究』第50巻第3号、日本理科教育学会、2010年

 

昔の「キリギリス」は今のコオロギ

なぜ「きりぎりす」が「こほろぎや」に改められたのでしょうか?

平安時代のころは、コオロギのことを「キリキリキリキリ」と鳴くので「キリギリス」と呼んでいました。

 

また、現在の「キリギリス」のことを「ハタオリ(機織り)」と呼んでいました。これは、「ギー チョン ギー チョン」という鳴き声が、機織りの音に似ているからです。

 

さらに「コオロギ」は秋に鳴く虫の総称として使われていました。

 

まとめると以下のとおりです。

昔の呼び名 指していた虫
キリギリス いまのコオロギ
ハタオリ いまのキリギリス
コオロギ 秋に鳴く虫の総称

しかし、江戸時代中期に、賀茂真淵(かものまぶち・1697年~1769年)や新井白石(あらいはくせき・1657年~1725年)たち学者が、古い文献を調べ直しました。

和歌ではキリギリスは夜に鳴く虫として登場しますが、実際のキリギリスは昼に鳴く虫です。そこから、和歌の「キリギリス」は、いまのコオロギの言い方だということがわかりました。

 

たとえば松尾芭蕉の「無残やな甲の下のきりぎりす」という句のキリギリスも、辞書では「コオロギの古名」の例として挙げられています。

この呼び名は、平安時代前期(9世紀後半)の神楽歌にすでに見られます。

出典:デジタル大辞泉・精選版日本国語大辞典「螽蟖(きりぎりす)」(コトバンク)

 

「コオロギ」は秋に鳴く虫の総称として用いられていましたが、虫の呼び方を整理する中で「キリキリキリキリ」と鳴く虫に用いられるようになりました。

また、古語の「キリギリス」は和歌や古典文学に登場する有名な名前だったため、次第に「ハタオリ」のことを「キリギリス」と呼ぶようになりました。

「ハタオリ」は現在も、辞書に「キリギリス」の別名として載っています。

 

スズムシ・マツムシ・コオロギの違い

スズムシ、マツムシ、コオロギは、混同してしまう人も多いようです。

混同してしまう理由は、名前にあります。

 

混同される理由① 名前が入れ替わった

まず、スズムシとマツムシの名前についてです。

平安時代のころは、スズムシのことを「マツムシ」、マツムシのことを「スズムシ」と呼んでいました。

 

当時の人々は、

いまのスズムシの「リーン リーン」という鳴き声を、どこか寂し気で「松風(まつかぜ)」に似ていると感じ、「マツムシ(松虫)」と呼びました。

松風とは、松林に吹く風の音のことで、和歌などでは寂しい情景を表す言葉として用いられています。

逆に、いまのマツムシの「チンチーンチン」という鳴き声からは鈴を連想し、「スズムシ(鈴虫)」と呼びました。

 

江戸時代に虫の観察や研究が進むと、平安時代の人とは逆に「鈴の音に近いのは、いまのスズムシの方だ」と考えられるようになりました。こうして、マツムシとスズムシの名前が入れ替わったといわれています。

そのため、江戸時代以前の古典文学ではスズムシとマツムシは逆になっています。

 

たとえば、平安時代中期に書かれた紫式部(むらさきしきぶ・平安中期の作家、歌人)の「源氏物語」の「鈴虫」という巻で、主人公である光源氏が鈴虫の鳴き声を鑑賞するシーンがあります。

これは現在の「マツムシ」のことです。

また、同じ時代に清少納言(せいしょうなごん・歌人)によって書かれた「枕草子」には、鈴虫と松虫が登場しますが、「鈴虫=現在のマツムシ」「松虫=現在のスズムシ」のことです。

 

源氏物語と枕草子だけではなく、古典文学や和歌、書物を研究する中で、

  • 古典で「マツムシ」と書かれた虫(いまのスズムシ)の声は、松風にたとえて「きちきち」「りーんりーん」と表している
  • 古典で「スズムシ」と書かれた虫(いまのマツムシ)の声は、小さな鈴にたとえて「ちりちり」「ふりふり」と表している

    ということがわかりました。

    つまり、古典に

    • 「鈴虫」と出てきたら、それはいまのマツムシのこと
    • 「松虫」と出てきたら、いまのスズムシのこと

      になります。

      また、人によってはマツムシの「チンチーンチン」の方が鈴の音に聞こえることもあるため、現在でも呼び方が混乱してしまうようです。

       

      このような理由でスズムシ、マツムシを混同してしまう人が多いのですね。

       

      混同される理由② どれもコオロギの仲間

      次にコオロギについてです。

      コオロギといえば、日本では一般的に「エンマコオロギ」を指します。

       

      ただし「コオロギ」という言葉には、使い方が二とおりあります。

      エンマコオロギのように特定の虫を指す使い方と、姿や鳴き方の似た虫をまとめて「コオロギのなかま」として指す使い方です。

      スズムシもマツムシも、この広い方の使い方では「コオロギのなかま」に入ります。

      さきほどの鳴き声一覧のもとにした兵庫県立人と自然の博物館の「コオロギの一覧」にも、エンマコオロギと並んでスズムシとマツムシが載っています。

       

      つまり、スズムシもマツムシもコオロギも、まとめて「コオロギ」と呼ばれることがあるため、混同されてしまうのです。

       

      鳴き声・見た目・生息場所の違い

      スズムシ・マツムシ・コオロギの違いは以下の通りです。

       

      ●鳴き声が違う

      スズムシは、透きとおった金属音のような「リーン リーン」という鳴き声です。

      マツムシは、歯切れが良い「チンチーンチン」という鳴き声です。

      コオロギは、低音で響く「コロコロコロコロ リーリー」という鳴き声です。

       

      ●見た目が違う

      スズムシは、平たい体型で、黒褐色です。スズムシ。平たい体型で、黒褐色をしている

       

      マツムシは、細い体型で、淡い緑から黄褐色です。マツムシ。細い体型で、淡い黄褐色をしている

       

      コオロギは、丸い体型で、黒褐色です。エンマコオロギ。丸い体型で、黒褐色をしている
      出典:国土交通省近畿地方整備局「桂川における鳴く虫の生息状況」7頁

       

      ●生息場所が違う

      スズムシは、茂みや草むらの地表近く、日陰で湿った場所を好みます。

      マツムシは、ススキや木の上など、少し高い場所を好みます。

      コオロギは、畑や庭などの地表を好み、私たちの身近な場所に生息しています。

      月夜に、バイオリンや笛、トライアングルを演奏する虫たちのイラスト

      昔と今とでは、虫の呼び名が入れ替わっていたのですね!

      古典に「キリギリス」と出てきたら、いまのコオロギのこと、「スズムシ」と出てきたら、いまのマツムシのことです。

      古典文学を学ぶ際は、この二つに注意が必要です。

      暑い夏が終わる頃、夕方から夜に秋の虫たちが鳴き始め、秋の気配を感じることができます。

      虫の鳴き声が聞こえてきたら、なんの虫が鳴いているのか調べてみると楽しいかもしれませんね。

       

      関連:【俳句の季語一覧】小学生向け 春夏秋冬新年 月ごと(1月~12月)の季語

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