『天橋立』は、京都府北部の宮津にある観光名所で日本三景の一つです。
日本三景とは、江戸時代の儒学者、林春斎が『日本国事跡考』に記した、丹後の『天橋立』、陸奥の『松島』(宮城県)、安芸の『宮島』(広島県)3箇所の景勝地のことです。
いずれも海岸沿いの風光明媚(ふうこうめいび 自然が美しく清らかであること)な景色を称えたものです。
天橋立は見どころの多い京都の中でも特に人気のスポットで、京都市に次いで観光客が多く訪れる名所となっています。
今回は天橋立について調べてみました。
天橋立の名前の意味と由来とは?
天橋立の読み方は「あまのはしだて」で、京都北部の宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる砂州のことです。
全長約3.6km、幅20~170m、道には5000本を超える松の木が植えられており、白砂青松(はくしゃせいしょう 白い砂浜と青々とした松)の美しい景色を楽しむことができます。
天橋立は南側で途切れ、開閉橋(回転橋)で連結しています。ですので、徒歩で約50分、自転車で約20分で、対岸まで渡ることができます。
「丹後風土記(たんごふどき)」によると、日本を作った神様のイザナギノミコトが天界と下界をつないだハシゴが、天橋立(天の椅立(はしだて))だったということです。天橋立の「橋」は、もともとは「椅(ハシゴ)」を意味していたのですね。
イザナギノミコトが眠っている間に、そのハシゴが倒れてしまい、現在の天橋立の姿になったと言い伝えられています。
丹後風土記には、天橋立以外にも、浦島太郎で有名な浦島伝説や天女の羽衣伝説などが記されています。
股のぞきとは?
天橋立の景観をさらに楽しむ方法として、「股のぞき」があります。股のぞきとは、文字通り股の間から天橋立をのぞくことです。
まず天橋立に背中を向けて立ち、前屈の姿勢を取って股の間から天橋立を眺めます。
直立して眺めるのとは違った体勢から眺めることで脳が錯視を起こし、遠近感や大きさが変わって見えるので、また別の風景を楽しむことができるのです。

古くから股のぞきによって、妖怪や幽霊を見分けたり、未来を見たり、異国世界を見ることができるという伝承が各地に残っています。
天橋立の場合には、神々の住まう天上界がのぞけるそうです。
天上界をのぞくことで、神気に触れて運気も上がるということですので、是非試してみてください!
股のぞきをできるスポットは、天橋立の両岸にあり、それぞれ見え方が異なります。
1.天橋立傘松公園
天橋立の北側に位置する「天橋立傘松公園」は、海抜130mの高台にあります。
ケーブルカーでは4分、リフトでは6分で傘松公園に辿り着きます。乗り場はいっしょなので、行きはケーブルカーで帰りはリフトというように、両方を楽しんでみるのも良いですね。
この場所から股のぞきをすると、海面が空のように見えて、海と海を隔てる天橋立が空中に一直線に掛かる橋のように見えます。これが天橋立の語源だとも言われいるようです。
リフトケーブルカー降り場から3分ほど山を登ると、「股のぞき発祥の地」に辿り着きますよ。
案内の看板も出ているので、すぐに分かります。ぜひ発祥の地からの眺めを試してみてください。
外部リンク:傘松公園に行こう! - 天橋立傘松公園
2.天橋立ビューランド
天橋立の南側には「天橋立ビューランド」があります。
こちらでの股のぞきは、天橋立が直線ではなく天空を泳ぐ龍のように見えることから、「飛龍観」と呼ばれています。
天橋立ビューランドは天橋立駅から近く、遊園地のような施設があるので、お子様連れで行かれる方には特におすすめです。
ビューランドの入園料には、リフト・モノレールの往復乗車券がセットになっています。リフトでは6分、モノレールでは7分ほどで展望台に辿り着きます。(モノレールは20分置きの発車です。ペットを同伴の場合、リフトのみ乗車可能となります。)
外部リンク:日本三景 天橋立ビューランド
かわらけ投げとは?
厄(やく)落としの一環で、かわらけ投げ(かわら投げ)という風習が現代でも残っています。
「かわらけ」は漢字では”土器”と書き、素焼きや日干しした土器や皿を投げることで、魔を払おうとするものです。
日本各地のお寺や観光地で行われていますが、発祥の地は京都とのことです。
天橋立の場合には、ビューランドや傘松公園といった展望台の周辺で、かわらけ投げを実際に行うことができます。
円盤状のかわらけを投げることで厄が落とせるだけでなく、投げた時に設置されている福輪の中を通すことができれば、「願い事が叶う」と言われています。
運試しのような感覚で、挑戦してみてはいかがでしょうか?

願いの鍵とは?
傘松公園の展望台では、天まで願いを届ける意味で、願いの鍵を掛けることができます。
叶うことを祈りながらしっかりと掛けられた鍵は、外れることのない思いの強さを表しています。
あなただったら、この場所で何を願いますか?

雪舟「天橋立図」
日本が創られた頃からの伝承が今も残っている地ということで、興味をそそられますね。
また、小倉百人一首の中にも、天橋立が詠まれています。
『大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天橋立』 小式部内侍
天橋立は年間200万人以上の観光客が訪れる、人気スポットです。今では国内だけではなく、海外からの観光客も多いそうですよ。
車ならば京都や大阪から1時間半、列車やバスでも2時間~2時間半ほどで、行くことができます。
股のぞきで天上世界をのぞくと、ご利益があるかもしれませんね。
あなたもぜひ、天橋立で股のぞきを試してみてくださいね!
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