
日本人は玄関で靴を脱ぎますが、世界を見渡すと靴を脱がない国が圧倒的に多いようです。
なぜ日本人は玄関で靴を脱ぐのでしょうか?
日本の玄関文化をわかりやすく解説いたします。
日本人が玄関で靴を脱ぐ理由とは?

日本人が玄関で靴を脱ぐ理由はいくつかあります。
気候が関係している
日本は一年を通して湿気が高く雨が多い、高温多湿の国です。
そのため、靴が濡れるのでそのまま室内を歩き回ると不衛生になりやすく、汚れがこびりついたりカビが発生したりします。
室内に汚れを持ち込まないために玄関で靴を脱ぎます。
日本の生活様式が関係している
日本では、畳や板の床に直接座ったり、布団を敷いたりして生活をするので、靴を履いたままだと清潔を保つことができなくなります。
そのため、玄関で靴を脱ぎ、土や汚れを家の中に持ち込まないようにしています。
日本人の古くからの概念が関係している
日本人は、「そと」と「うち」を分けて考えるためです。
家の外が「そと」で、家の中が「うち」です。
境界線となるのが玄関で、「そと」からの穢れ(けがれ)を落とし、「うち」に持ち込まないようにします。
この「穢れを落とす」という行為が、靴を脱ぐという動作という説があります。
穢れとは、病気や死、災いや苦しみ、怒り、悲しみなどによって心が乱れている状態を指します。
日本に玄関はいつからあるの?
では、日本の玄関はいつからあるのでしょうか?

玄関の歴史は鎌倉時代(1185年~1333年)に遡ります。
中国から日本に禅宗が伝わりました。
禅宗の「玄妙(げんみょう)なる道に入る関門」という言葉が「玄関」の由来になっています。
- 「玄妙」は、「奥深くて優れた」という意味があります。
- 「関門」は、入り口という意味があります。
つまり、「玄妙なる道に入る関門」とは、奥深い仏教の入り口を意味しており、修業に入るということになります。
これが転じて「玄関」は寺の入り口を指すようになりました。

寺以外の場所に作られた最初の玄関は、室町時代(1336年~1573年)の8代将軍足利義政(あしかがよしまさ・1436年~1490年)によって東山御所に設けられたといわれています。
現在の玄関とは違い、禅宗の客を迎えるための、格式ある特別な出入口でした。
「格式ある」といっても、豪華に飾ったという意味ではありません。
家族が普段使う出入口とは別に、大切なお客様を迎えるためだけに設けられた入口、ということです。
その後、貴族や武士の屋敷にも客を迎えるための特別な出入り口が作られるようになり、屋敷の入り口を「玄関」と呼ぶようになりました。

江戸時代(1603年~1868年)になると、玄関は、身分や格式を表すものとなりました。
玄関でその家の身分や立場がわかったため、庶民が武家などと同じような格式の高い立派な玄関を設けることは制限されました。
ただし、庶民が玄関を設けてはいけないということではなく、身分に見合った玄関を設けることはできました。
とはいえ、多くの農家などでは玄関がなく、土間から座敷へ上がる造りが一般的でした。
明治時代(1868年~1912年)に身分制度が廃止されると、自由に玄関を設けられるようになり、現在に至ります。
玄関で靴を脱ぐときのマナーは?

靴を脱ぐときのマナーは以下の通りです。
① 玄関から入り正面(室内)を向いたまま靴を脱ぐ
② 室内に一旦上がり、スリッパがあれば履く
③ 身体を少し斜めにして靴の方を向き、膝をつく
家の人に背中やお尻を向けることはマナー違反となるので、正面を向いたまま靴を脱ぎ、靴の向きを変える時は身体を少し斜めにします。
後を向いて(外を向いて)靴を揃えながら脱ぎ、そのまま家の中に入ることがマナーだと思っている人も多いようですが、それは間違いです。
④ 片手で靴の向きを180度回転させて、つま先を玄関(外)に向ける
⑤ 下座(しもざ)に靴を置く
玄関の下座とは、入り口(玄関ドア)に近い場所、飾りが置かれていない下駄箱側です。
玄関の上座は、玄関の中央、入り口(玄関ドア)から遠い場所、飾り棚として使われている下駄箱側です。
靴を置く場所は、玄関の中央を避け、下駄箱の上に飾りがなければ下駄箱側、飾があれば逆側と覚えておきましょう。
上座と下座の詳細についてはこちらをご覧ください。
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靴を脱ぐ文化がある国は?
靴を脱ぐ文化があるのは、日本だけではありません。
以下の国では靴を脱ぎます。
韓国、タイ、ベトナム、台湾などアジア諸国
高温多湿な気候や、床に座ったり寝転がる生活様式があるので、靴を脱ぐ地域が多いです。
日本のように玄関に段差を設けることは少なく、タイルの色やマットで玄関と室内を区別することが多いようです。
トルコ、イラン
イスラム教の教えや、絨毯を大切にする文化、家の中を清潔に保つために脱ぐことがあります。
日本の玄関とは異なり段差はありません。
入り口のホールや前室のような小さな空間が入り口と家の中を分ける場所として設けられており、そこで靴を脱ぎます。
ノルウェー、スウェーデン、カナダなど
北欧やカナダは雪が多い気候のため、雪や泥を家の中に持ち込まないようにするため、靴を脱ぎます。
日本の玄関とは異なり段差はありません。
コートやブーツを脱ぎ着しやすいスペースがあり、腰かけるためのベンチやコートをかけるためのフックが設置されています。
雪などで濡れたり汚れても掃除がしやすいタイルやコンクリートになっています。

日本人が玄関で靴を脱ぐ理由がわかりましたね。
私たちは日常生活の中で当たり前のように靴を脱ぎ履きしていますが、そうではない国も多くあります。
海外に行く際は、その国が靴を脱いで家に入るのかそうではないのか、調べてから行くと慌てずに済むかもしれませんね!
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