女の子の健やかな成長を祈るためひな祭りに雛人形を飾るご家庭も多いでしょう。
昨今の住宅事情で、一段飾り、二段飾りのお内裏様とお雛様だけのコンパクトなひな人形も増えていますが、五段飾りや七段飾りではたくさんの人形が飾られます。
今回は、そんな雛人形の中の五人囃子についてわかりやすく解説します。
ひな人形の五人囃子の意味や由来は?
読み方は「ごにんばやし」です。
「囃子(はやし)」とは、日本の伝統文化である能や狂言、歌舞伎などで拍子をとったり、雰囲気を盛り上げたりするための音楽のことで、主に笛や太鼓打楽器で構成されています。
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能の場合、囃子は、
「シテ方」
「ワキ方」
「地謡(じうたい)」
「囃子方(はやしかた)」
で構成されます。
■シテ方とは?
主人公、主人公を演じる者のこと。
■ワキ方とは?
脇役、脇役を演じる者のこと。
■地謡(じうたい)とは?
8~10人で構成されるコーラスグループ
場面や情景を描写し、物語の進行を語る役割がある。
■囃子方(はやしかた)とは?
笛、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)という楽器担当者のこと。
しかし、雛人形の五人囃子は能の構成とは異なり、
「謡(うたい)」が一人
「囃子方」が四人
合計五人で構成されています。
「謡(うたい)」とは能の声楽部分のことで、シテ方、ワキ方、地謡のセリフを含めて声で謡(うた)われるもの全体のことを指します。
「囃子方(はやしかた)」は、能の構成と同様、
●笛
●小鼓(こつづみ)
●大鼓(おおつづみ)
●太鼓(たいこ)
の楽器当者のことです。
五人囃子の役割とは?
ひな人形は、お内裏様とお雛様の結婚式を表しています。
結婚式というおめでたい席を、音楽で盛り上げるのが五人囃子の役割です。
五人囃子は元服(げんぷく・11歳~17歳に行う現在の成人式)前の少年たちで、よく見ると髪の毛を結ばずおかっぱ頭で、侍烏帽子(さむらいえぼし)をかぶっています。
雛人形の五人囃子は、結婚式を音楽で盛り上げお祝いするため、幼いころから稽古してきたことを結婚式で披露している場面を表しているそうです。
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楽器の並び順、飾り方は?
ひな人形を正面から見て、
右から
「謡(うたい)」
「笛」
「小鼓(こつづみ)」
「大鼓(おおつづみ)」
「太鼓(たいこ)」
という並び順です。
五段飾り、七段飾りの場合、上から三段目が五人囃子になります。
謡(うたい)
能の声楽部分を担当します。
飾るときは右手に扇を持たせます。(何も持たない場合もあります)
笛
竹でできた横向きの笛です。
五人囃子の中で唯一、メロディを奏でます。
飾る時は、左右の手に笛を通します。
小鼓(こつづみ)
桜の胴に、表裏2枚の馬の革を置き「調緒(しらべお)」という麻紐で締め上げた楽器です。
左手で調緒を持ち、右肩にかついで右手で打ち、音を出します。
飾る時は、右の手のひらを上に向けている人形の左手に小鼓を持たせ、左手に紐をかけます。
大鼓(おおつづみ)
小鼓がひとまわり大きくなったものです。
左手で持って左ひざに置き、右手で打ち、音を出し、「ヤー」「ハー」という掛け声も担当します。
飾る時は、右の手のひらが横向きの人形の左手に大鼓を持たせ、左手に紐をかけます。
太鼓(たいこ)
構造は基本的に小鼓とかわりませんが、牛革でできていて、補強用に鹿革を張ることが多いです。
能で太鼓が入る場合は、基本的に死者の霊や鬼畜が登場する曲のみです。
飾る時は、左右の手にバチを持たせ、太鼓を前に置きます。
ひな人形を飾る時、
「五人囃子はどういう順番だったかしら?」
「何を持たせればいいのかしら?」
と毎年悩んでしまう方も少なくないと思います。
並び方は「右から左へ音が大きくなっていく」と覚えるといいかもしれませんね。
また、五人囃子はそれぞれ手の位置や向きが異なります。
担当している楽器を持ちやすいように作られていますので、飾る時は一人一人がどんな楽器のお稽古に励んだのか想像すると楽しいですね。
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