「半夏生」読み方は「はんげしょう」です。
農家の方にはとても大切な日ということですが、そうではない方にはあまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。
今回は「半夏生」という言葉の意味と一緒に、半夏生に食べると良いとされる行事食もご紹介します。
「半夏生」とは?
半夏生とは、「雑節」のひとつです。
雑節とは、二十四節気(1年間を24等分したもの)・五節句(端午の節句など)のほかに、季節の移り変わりをより適確に掴むために設けられた、特別な暦日のことです。
関連:『雑節』の読み方と意味とは?2025年の雑節の日付一覧と食べ物
「半夏生」は、半夏(ハンゲ・サトイモ科の植物であるカラスビシャク)という薬草が生える頃という意味があります。
しかし、この場合の「半夏生」は、カラスビシャクとは全く別の植物で、ハンゲショウ(ドクダミ科の多年生落葉草本植物)という毒草の花が咲く時期という意味です。
ハンゲショウは7月初旬ごろから花を咲かせるのですが、このときに葉の数枚の一部の表側だけが白くなることから
「半分化粧をしているように見える=半化粧=半夏生」
となったといわれています。
「半夏生」は、梅雨明け間近・梅雨明けすぐの頃の時期を指します。
そのため、米を作る農家にとって大切な節目の日とされ、半夏生より後はたとえ作業が遅れていたとしても、田植えをしないとされています。
半夏生を過ぎて田植えをすると、収穫が激減すると考えられているのです。
半夏生までに田植えを終わらせ、その後数日間は疲れを癒すために休みを取ることが、米を作る農家での習慣となっており、半夏生から5日間休みを取る地域もあるそうです。
2025年の半夏生はいつ?
半夏生は、夏至(げし・1年間を24等分した二十四節気のひとつ)から数えて11日目ごろとされており、毎年7月2日ごろに当たります。
夏至は太陽の動きを基準に決められるため、毎年決まった日ではありません。
2025年の夏至は6月21日(土)です。
そこから数えて11日目ごろなので、2025年の半夏生は7月1日(火)になります。
関連:2025年の夏至はいつ?夏至の食べ物とは?全国各地の風習・イベント
「タコ」「鯖」「うどん」を食べるのはなぜ?
タコ
半夏生に「タコ」を食べるのは、主に関西地方の風習です。
タコの足は、吸盤が付いており、海底の岩などに吸い付くようになっています。
このことから「植えた稲の根が、タコの足のように地面にしっかり張るように」という願いが込められているそうです。
鯖(サバ)
また、半夏生に「鯖(サバ)」を食べるのは、主に福井県の一部で残っている風習です。
江戸時代に、福井藩主が奨励したのが始まりといわれており、福井県では鯖は貴重なスタミナ源でした。
田植えが終わり厳しい夏が来るまでに体力をつけておこうという意味があり、現在も鯖の丸焼きを食べるそうです。
うどん
半夏生に「うどん」を食べるのは、主に香川県の風習です。
田植えが終わる半夏生の頃は、麦の刈り入れが終わる頃でもあります。
このとき収穫された麦を使ってうどんを打ち、作業を手伝ってくれた人に振舞って労をねぎらったことに由来しています。
1980年に、香川県製麺事業協同組合が7月2日を「うどんの日」に制定しています。
地域によって、半夏生に食べるものが異なるのですね。
ほかにも、長野県では「芋汁」、奈良県では「餅」などを食べるそうですよ。
半夏生は農業に携わっていない方にとってはあまり関係のない日のようですが、私たち日本人の食生活にお米は欠かせませんよね。
田植えを終えた農家の方を想いながら、今回紹介した行事食を食べるのもいいのではないでしょうか。
関連:行事食の意味と由来とは?春夏秋冬(1月~12月)季節の食べ物と旬の食材一覧
コメント