わたしたち日本人の食生活に、お箸は欠かすことができませんよね。
小さい頃からお箸を使ってきたと思いますが、その使い方は本当に正しいですか?
自分で気づいていないだけで「それ、タブーだよ!」と言われている使い方をしているかもしれません。
この記事では、箸の使い方のマナーとタブーをご紹介します。自分は大丈夫かな?と確認してみてくださいね。
また、箸の起源や歴史、由来についてもわかりやすく解説します。
箸の起源や歴史、由来とは?
箸の起源は定かではありません。
人類が火を使うようになったのは20万年~170万年前といわれていますが、その際、火を使って調理したり、熱いものを食べるときに木の枝を箸のように使ったのではないかと推測されています。
しかし、箸の素材はほとんど木などの植物性なので腐りやすく、遺跡から発掘されたとしてもそれが箸なのか、ただの木なのか判別できないため、いつごろから使われているのか明確なことはわからないそうです。
弥生時代(紀元前4世紀ごろ~紀元後3世紀ごろ)末期の遺跡で、細く削った竹を半分に折り曲げたトングのような形の「折箸(おりはし)」が出土していますが、普段は手掴みで食事をし、折箸は祭祀(さいし・神や祖先を祀ること)や儀式の際に用いていたと考えられています。
その当時、中国で書かれた歴史書「魏志倭人伝(ぎしわじんでん・紀元後3世紀末)」では、日本人は手掴みで食事をしていたことが記されています。
一方、日本の「古事記(こじき・712年)や「日本書紀(にほんしょき・720年)」では神代(かみよ・神の時代という意味)の頃から箸は存在したという記述があります。
これらの記述が異なるのは、祭祀や儀式の際には箸を使い、普段は手掴みで食事をしていためではないかと考えられています。
その後、日本人が普段の生活で箸を使うようになったのは聖徳太子がきっかけだといわれています。
607年に遣隋使として派遣された小野妹子たちが、随(現在の中国)から箸と匙(さじ・スプーンのこと)のセットを持ち帰りました。
その箸を聖徳太子が朝廷の儀式や食事に取り入れ、身分の高い人たちは普段の生活で箸を使うようになったそうです。
庶民が箸を使うようになるのは、平安時代(794年~1185年)になってからといわれています。
当時は、竹で作られた箸が主流でしたが、その後、いろいろな素材で作られるようになり、江戸時代(1603年~1868年)の中頃に漆を塗った「塗り箸(ぬりばし)」が作られるようになりました。
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江戸時代の終わりごろになると、酒樽の端材(切れ端)を利用した「割り箸(わりばし)」が登場しました。
明治時代ごろに「塗り箸」が全国的に広まり、大正から昭和の始め頃に割り箸が大量生産されるようになりした。
現在は、何度も洗って使える「塗り箸」と、使い捨ての「割り箸」を使い分けて使うことが多いです。
箸の語源
箸の語源には諸説あります。
●2本の棒の端(はし)でつまむので「はし」になったという説
●鳥の嘴(くちばし)に似ていたからという説
●役割の「挟む(はさむ)」から転訛し、「はし」というようになった説
●「橋」や「柱」など、見た目の形から「はし」になったという説
箸の使い方のマナー
正しい箸の使い方は、人差し指と中指で上の箸を挟み、薬指と親指の付け根で下の箸を支え、上の箸だけを動かして物を挟みます。
また、箸の先端、1.5cm~3cmを使うようにし、3cmより上は汚さないようにします。
箸の使い方のタブー
お箸の使い方のマナー違反は「嫌い箸」「忌み箸」「禁じ箸」といわれ、縁起が悪いのでタブーとされています。
マナー違反は以下のようなものがあります。
迷い箸
どの料理に手を付けるか迷って箸をあちこちに動かすこと
あげ箸
箸を口より上に上げながら食べること
移り箸
一度箸をつけた料理を食べずに戻し、別の料理に移ること
押し込み箸(込み箸)
口に入りきれなかった料理を箸で口に押し込むこと
押しつけ箸
茶碗の中のご飯を箸で押し付けて固めること
違い箸
種類の違う箸を使うこと
拾い箸(箸渡し・合わせ箸・移し箸)
お箸とお箸で食べ物のやりとりをすることです。
遺骨を拾うときに箸から箸へと遺骨を渡すことから食事の際はタブーとされています。
二人箸
二人で同じ料理をつかむこと、または、同時にお皿に箸を入れることです。
寄せ箸
箸を使って食器を自分の方に寄せること
かき箸(かき込み箸)
食器に直接口をつけ、箸で食べ物をかき込むこと
掻き箸
箸で頭を掻くこと
かみ箸
箸先を噛むこと
くわえ箸
箸をくわえたまま他のことをすること
指し箸(振り上げ箸)
箸で人を指したり、振り上げること。
探り箸
食べ物の器や汁物の椀をかき混ぜて中身を探ること
刺し箸(突き箸)
料理を箸で突き刺して食べること
重ね箸(箸なまり)
同じ料理を食べ続けること
逆さ箸
箸を逆さに持って大皿などから料理を取り分けること
直箸(じかばし)
取り箸を使わずに自分の箸で取り分けること
たたき箸
箸で食器を叩くこと
楊枝(ようじ)箸(せせり箸)
箸を爪楊枝代わりにすること
ちぎり箸
箸を片手に1本ずつ持ち料理を刻むこと
涙箸
醤油や汁物料理の汁などを箸で垂らすこと
立て箸
ご飯に箸を突き立てること。仏箸ともいいます。
ねぶり箸
箸先を舐めること
握り箸
箸を手のひらで握って食べること
振り箸
箸に付いた醤油や汁を振って落とすこと
持ち箸
箸を持った手で同時に茶碗などを持つこと
渡し箸
箸を器などに渡して置くこと
回し箸
汁物を何度もかき回すこと
横箸
一膳の箸を揃えて持って、スプーンのように箸で料理をすくい乗せること
ほじり箸
料理をほじくり出すこと
クロス箸
箸を交差させて持つこと
もぎ箸
箸についた料理を口でもぎ取ること
今、世界では約3割の人がお箸、3割の人がナイフ・フォーク・スプーン、4割の人が手で食事をしているそうですよ。
普段はお箸を使わない外国人観光客が、日本でお箸を器用に使って食事をする姿も多く見かけます。
郷に入っては郷に従えといいますが、使い慣れないお箸を使って食事をするのも、日本を旅する楽しみの一つなのかもしれませんね。
私たち日本人は、そんな外国人観光客のお手本になれるように、美しいお箸使いができるよう心掛けたいですね。
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