挨拶 食文化

引っ越しそばを配ったり、食べたりする理由と由来とは?食べるタイミングはいつ?

みなさんは、引っ越しをした時にそばを食べますか?

「引っ越したから、引っ越しそばを食べよう!」と、引っ越し当日の夕飯はそば屋さんに行ったり、出前を頼んだりする人は多いのではないでしょうか?

では、なぜ引っ越しそばを食べるのかその理由や由来をご存知でしょうか?

また、もともと引っ越しそばは、食べるものではなく配るものだったそうです。

今回は引っ越しそばについてわかりやすく解説します。

 

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引っ越しそばとは?

「引っ越しそば」といえば「引っ越し当日に新居で食べるそば」または「引っ越し当日に出前を頼んだりお店に食べに行くそばのこと」と思っている人が多いようですが、本来は引っ越しの挨拶として、近隣に「今後、お世話になります」と挨拶をしながらそばを配る習慣のことをいいました。

江戸時代(1603年~1868年)に江戸(東京)で生まれた風習で、しばらくは関東だけの習慣でしたが、いつの間にか日本各地に広まったようです。

現在は引っ越しの挨拶ギフトとして近隣にタオルやお菓子、洗剤、お茶などを配る人も多いと思いますが、昔はそれがそばだったのです。

 


 

そばを配る範囲は「向こう三軒両隣」といわれています。

「向こう三軒両隣」とは、自分の家の向かいにある三軒と、自分の家の両隣のことで、ここに大家さんや管理人さんなどが加わります。

現在は集合住宅もありますので、自分の家の上下や斜め上下、世帯数が少ない集合住宅ならすべての世帯などしますが、地域やご家庭によって考え方は様々です。

 

引越しそばを配った理由と由来とは?

引っ越しの時にそばを配る習慣は、江戸時代(1603年~1868年)中期頃に広まったといわれています。

江戸の庶民たちは隣近所との付き合いをとても大事にしていて、引っ越しの挨拶として引っ越しそばを配るようになったそうです。

 

引っ越しそばを配る以前は、「餅」「小豆粥(家移り粥(やうつりがゆ)といいました)」を作り、引っ越しの手伝いをしてくれた人や、引っ越し先のご近所さんに挨拶として配る風習があったといわれています。

しかし、餅や小豆は決して安いものではなかったため、安価で喜ばれるそばが代用として配られるようになったそうです。

 


 

またそばを配るのは、「末永くお側(そば)に」「お側(そば)に引っ越してきました」という洒落や、「そばのように細く長く切れないお付き合いをお願いします」という縁起物としての意味があるといわれています。

 

大正時代(1912年~1926年)ごろになると、関東ではそばそのものを配るのではなく、「そば切手」というものを配るようになりました。

「そば切手」は、そば屋が発行する食事券や商品券のようなもので、そばを食べたい時にお店で使ったり、出前で使うこともできました。

 

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引っ越しの時にそばを食べる理由と由来とは?

その後、引っ越しの挨拶として配る「そば切手」をそば屋で購入するついでに、自分たちが新居で食べるそばを出前で注文する人が増え、次第に「引っ越しそばは自分たちが新居で食べるもの」という考えが広まっていきました。

 

また、昭和(1926年~1989年)の初めごろになると、引っ越しそばを近隣に配る習慣は廃れ始め、そばの代わりにタオルや洗剤などの生活用品を配るようになっていきました。

また、引っ越しの専門業者が出来たのは昭和50年ごろ(1970年代)だといわれています。

 

それまでは引っ越しというと自分たちで行うもので、親戚や友人に手伝いをお願いしていました。

引っ越しが無事に終わり、手伝いに来てくれた人たちへのお礼として引っ越しそばを振る舞い、自分たちも一緒に食べていたようです。

その結果、引っ越し後の新居でそばを食べる習慣が定着し、次第に、引っ越しをした本人が新居で食べるものを「引っ越しそば」と言うようになったのではないかといわれています。

 

引っ越しそばを食べるタイミングはいつ?

引っ越しそばを食べるタイミングに決まりはありませんが、引っ越し後に昼食や夕食として食べるのが一般的です。

引っ越し先で土地勘などが無い場合、そばをどこで買うか悩んでしまう人もいるかもしれませんが、そばを買ってきて家で調理をするよりも、出前を頼んだり、外食で済ます人も多いです。

 

引っ越しそばのお返しは?

「引っ越しそば」は引っ越しの挨拶として配っているので、貰った場合のお返しは必要ありません。

また、それ以外の挨拶ギフトを貰った場合も、お返しは必要ありません。

 

引っ越しの挨拶ギフトを送る場合は、「粗品」として熨斗(のし)をつけます。

その際の熨斗は、「何度あってもおめでたい」という意味のある赤白の水切りを蝶結びしたものを選びます。

また、乾麺の引っ越しそばを挨拶ギフトにする場合も同様「粗品」として熨斗をつけます。

 

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「引っ越しそば」というと、引っ越したその日に自分たちが食べるものという人が多いですが、本来はご近所さんに配るものだったのですね。

現在はそばアレルギーや好き嫌いの問題もあり、食べ物を配ることは難しくなりましたので、本来の意味で引っ越しそばを配る際には注意が必要ですね。

引っ越し当日は荷解きも終わらず、家の中も片付かず、疲れているから夕飯なんて作っていられない!という状況になりますので、本来の意味とは違っていても、そばの出前を頼んだり、お店まで食べに行くのもいいのではないでしょうか。

 

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