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引っ越しの時にそばを食べるのはなぜ?その由来とは?

      2019/10/04

みなさんは、引っ越しをした時にそばを食べますか?

「引っ越したから、引っ越しそばを食べよう!」と、引っ越し当日の夕飯はそば屋さんに行ったり、出前を頼んだりする人は多いのではないでしょうか?

では、なぜ引っ越しの時にそばを食べるのかはご存知ですか?

今回は引っ越しそばについて調べてみました。


引っ越しそばとは?

「引っ越しそば」とは、本来は近隣に引っ越しの挨拶としてそばを配る習慣のことです。

現在は、引っ越しをしてきた人が新居でそばを食べることを「引っ越しそば」と呼んでいますが、昔は引っ越しをしてきた人が近隣に「今後、お世話になります」と挨拶をしながらそばを配っていたのです。

引っ越しの挨拶として近隣にタオルやお菓子、洗剤、お茶などを配る人も多いと思いますが、昔はそれがそばだったのです。

 


 

そばを配る範囲は「向こう三軒両隣」といわれています。

「向こう三軒両隣」とは、自分の家の向かいにある三軒と、自分の家の両隣のことで、ここに大家さんや管理人さんなどが加わります。

現在は集合住宅もありますので、自分の家の上下や斜め上下、世帯数が少ない集合住宅ならすべての世帯などしますが、地域やご家庭によって考え方は様々です。

 

引っ越しの時にそばを配るのはなぜ?

引っ越しの時にそばを配る習慣は、江戸時代(1603年~1868年)中期頃に江戸で広がったといわれています。

それ以前は、近所に餅や小豆粥(あずきがゆ)を配っていたそうですが、そばのほうが安価だったので、代用にそばを配るようになったようです。

小豆粥や餅を配る理由やはじまりは定かではありませんが、新築や転居の祝いに作る粥のことを「家移り粥(やうつりがゆ)」といい、江戸時代より以前からあった習慣だといわれています。

 

そばを配る由来として「末永くお側(そば)に」や「お側(そば)に引っ越してきました」という洒落や、「そばのように細く長く切れないお付き合いをお願いします」という意味があるといわれていますが、後付けではないかという説もあるようです。

また、そばを配るようになった一番の理由は「餅や小豆粥よりもそばは手軽で安いから」ということのようです。


引っ越しの時にそばを食べるのはなぜ?その由来とは?

大正時代(1912年~1926年)ごろになると、そばそのものを配るのではなく、そば屋で使える「そば切手」という今でいう食事券または商品券のようなものを配るようになりました。

「そば切手」は、もらった人がそばを食べたい時に自由に使うことができ、お店に食べることも、出前で使うこともできました。

そば切手は発行したそば屋で、記載された値段分しか使用できないなどの制限があり、現在の食事券や商品券と同じような仕組みだったようです。

 

そして、「そば切手」をそば屋で購入する際に、自分たちが新居で食べるそばを出前で注文する人が増え、次第に「引っ越しそばは引っ越しをした自分たちが新居で食べるもの」という考えが広まっていきました。

そして、昭和(1926年~1989年)の初め頃になると、引っ越しそばを近隣に配る習慣は廃れ始め、そばの代わりにタオルや洗剤などの生活用品を配るようになったようです。

 

 

現在は引っ越し専門業者が数多くありますが、引っ越しの専門業者が出来たのは昭和50年ごろ(1970年代)だといわれています。

それまでは引っ越しというと自分たちで行うもので、親戚や友人に手伝いをお願いしていました。

引っ越しが無事に終わり、手伝いに来てくれた人たちへのお礼として引っ越しそばを振る舞い、自分たちも一緒に食べていたようです。

その結果、引っ越し後の新居でそばを食べる習慣が定着し、次第に、引っ越しをした本人が新居で食べるものを「引っ越しそば」と言うようになったのではないかといわれています。

 

 

「引っ越しそば」というと、引っ越したその日に食べるものという人が多いですが、本来はご近所さんに配るものだったのですね。

現在はそばアレルギーや好き嫌いの問題もあり、食べ物を配ることは難しくなりましたので、本来の意味で引っ越しそばを配る際には注意が必要ですね。

引っ越し当日は荷解きも終わらず、家の中も片付かず、疲れているから夕飯なんて作っていられない!という状況になりますので、本来の意味とは違っていても、そばの出前を頼んだり、お店まで食べに行くのもいいのではないでしょうか。



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