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日本はなぜ火葬?いつから始まった。その起源と歴史とは?

      2019/07/27

現在、日本では、火葬するのが当たり前になっていますが、昔は土葬が一般的だったそうです。

火葬はいつから始まったのでしょうか?

今回は、日本の火葬の起源と歴史について調べてみました。

 


火葬とは?

「火葬(かそう)」とは、遺体を焼却することで、遺体の焼却を含む葬儀全体を指すこともあります。

焼却後の遺骨や遺灰は、納骨堂や墓地に納めたり、海や山に散骨したり、自宅で保管したりといろいろな方法があり、地域やご遺族・故人の考えによって異なります。

 

土葬とは?

「土葬(どそう)」とは、遺体をそのまま埋葬することです。

 

日本の火葬の起源と歴史とは?

日本の火葬の始まりがいつからなのか、はっきりしたことはわかりませんが、縄文時代(紀元前14000年頃~紀元前10世紀頃)の遺跡から、火葬された遺骨が出土しています。

また、古墳時代(3世紀中頃~7世紀頃)後期の古墳には火葬の跡があり、古くから火葬が行われていたと考えられていますが、火葬されるのは特別な人だけで、一般的には土葬だったようです。

 

火葬は、飛鳥時代(592年~710年)に伝来した仏教とともに、日本中に広まったという説が有力です。

これは、仏教の開祖である仏陀(ブッダ・目覚めた人という意味、本名はゴータマ・シッダルータ)が火葬されたことにちなんでいるそうです。

 


 

最古の記録は、日本書紀(にほんしょき・720年)で700年に奈良の元興寺の開祖である道昭(どうしょう・629年~700年)が火葬されたと記されています。このころは特別な人しか火葬されなかったようです。

 

平安時代(710年~794年)になると、皇族や貴族、僧侶などが火葬されるようになりますが、まだ一般的ではなく、土葬が主流でした。

これは、儒教の教えで遺体を傷つけることは罪であるという考え方があったことと、火葬をするための燃料や時間、費用が必要だったためといわれています。

 

火葬をする割合は仏教の広まりとともに増えていったようですが、庶民にも火葬が広まるのは、江戸時代(1603年~1868年)の終わり頃です。

しかし、簡単な作りの小屋を火葬場としていたため、臭いや煙などが近隣住民の健康を害していると問題になったことや、一部の神道の人たちからの「火葬は仏教の埋葬法だから廃止すべきだ」という主張によって、明治6年(1873年)に火葬禁止令が出されてしまいます。

 


 

日本には古来より神道がありましたが、仏教の伝来によって神仏習合(しんぶつしゅうごう・神と仏を一緒に祀ること)の考え方が広まり、神社とお寺が一緒に建てられることがありました。

しかし、江戸時代になると神仏分離(しんぶつぶんり・神と仏は別々に祀ること)によって、神社とお寺がはっきりと区別されるようになり、明治時代に明治政府が出した神仏判然令によって神仏習合が禁止されました。

長年に渡って仏教から圧迫を受けていたと考えた神職者たちは、仏像や仏具、寺などの破壊、仏教そのものを攻撃するようになり、火葬の廃止も訴えました。そして、明治政府が神道の主張を受け入れた結果、火葬禁止令が出されました。

 

その後、人口が急増したことで土葬をする場所の確保が難しくなり、埋葬料が高騰するなどしたことから埋葬が不可能になるなど混乱が起こりました。

政府内部からも火葬禁止令を反対するという意見が出て、明治8年(1875年)に火葬禁止令が廃止されました。

明治政府は、火葬に関して宗教的な視点を排除し、公衆衛生面を考えた結果、伝染病によって亡くなった人は火葬することを義務付け、人口の多い地域などを土葬禁止とし、土葬用墓地の拡張や新設に厳しい規制を設けました。

 

 

大正時代(1912年~1926年)になると、地方自治体が積極的に火葬場設営を行った結果、火葬場の設備が整い、臭いや煙を減らすことができるようになりました。

さらに、土葬より火葬の方が人手や費用が少なくてすむということで、火葬の割合が日本各地で高まっていき、現在の火葬は亡くなった人のほぼ100%の割合になっています。

「ほぼ100%」なのは、宗教上の理由で土葬をする人、土葬の習慣が根強く残る一部地域(奈良県や山梨県など)の人、大規模な災害によって火葬場が使用できず土葬する場合があるなどの理由があります。

火葬は法律で義務付けられていませんし、土葬が禁止されているわけでもありませんが、土葬が許可されている墓地は限られており、公衆衛生面の問題もあるため、特別な理由もなく土葬を希望するのは難しいといえます。

 


海外では火葬をしているの?

◆アメリカやヨーロッパなど、キリスト教徒が多い国では?

アメリカやヨーロッパなど、キリスト教徒が多い国では土葬が主流でした。

キリスト教では、死者が復活すると信じられているため、遺体を火葬すると死者が復活できなくなってしまいます。

しかし、土葬する土地の不足などを理由に、ヨーロッパでは70%ほどが火葬しているようです。

アメリカは土地が広いため、40%ほどが火葬です。

 


 

 

◆中国や韓国では?

中国や韓国など、先祖を大切にするという儒教の教えが強い国では、火葬をすることは遺体を傷つけ、魂が帰る場所を無くす親不孝な行為と考えているため、土葬が主流です。

しかし、土葬する土地の不足や、若い世代を中心に儒教の教えが薄れていることなどから、火葬をする人も増えており、中国では70%ほど、韓国では50%ほどが火葬をしているようです。

 

◆インドでは?

インドはヒンズー教徒がほとんどのため、火葬が主流です。

ヒンズー教では、人が亡くなると肉体から解放され、次の世界へ生まれ変わると信じられており、聖なる河であるガンジス川に遺骨や遺灰を流すことで、解脱(げだつ)できるといわれています。

そのため、火葬後は遺骨や遺灰をガンジス川に流しますが、火葬の費用がない人や、妊婦や子ども、自然死ではない人などは火葬をせずにそのままガンジス川に流すこともあります。

解脱とは、輪廻転生から抜け出すことで、解脱すると、苦しみや悩みがなく、幸福に満たされた理想郷に生まれ変わることができるといわれています。

輪廻転生(りんねてんせい・りんねてんしょう)とは、肉体が滅びても魂は滅びず、生死を繰り返すことです。

 


 

いずれの国も、国内でひとつの宗教だけが信仰されているわけではありませんし、他国から移住してきた人もいるため、火葬100%や土葬100%にはなりません。

時代劇など昔の日本を舞台にしたものを見ていると、大きな樽に遺体を入れて墓地へ運ぶシーンがありますが、あれは土葬だったのですね。

庶民の間にも火葬が広まったのは明治時代以降のことですから、私たちの3つか4つ前のご先祖様は土葬だったのかもしれません。

日本ではほぼ100%火葬ですから、海外もそうなのかと思っていましたが違いましたね。

国ごとに違うのではなく、宗教によって考え方が異なると思った方が良いのかもしれません。

 

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