
2026年7月17日、皇室典範が改正されました。
なぜ改正されたのでしょうか?
そもそも皇室典範とは、なんでしょうか?
皇位継承(意味は後で説明します)のルールと、今回の皇室典範改正の内容を、小学生でもわかるように解説いたします。
皇室典範とは?
読み方は「こうしつてんぱん」です。
省略して「典範(てんぱん)」と呼ぶこともあります。
- 「皇室(こうしつ)」とは、天皇や皇族(こうぞく・天皇の家族や親族)のこと
- 「典範」とは、規範となる事柄や、手本となる決まり
つまり皇室典範とは、皇室の決まり、ルールということです。
昭和22年(1947年)に制定された天皇や皇族のための特別な法律で以下のことが決められています。
●天皇や皇族の身分に関するきまり
- 誰が皇族にあたるのか
- 皇族の呼び方はどうするのか
- 結婚するときはどうするか
●皇位継承権(こういけいしょうけん)
- 誰が継承するのか
- 継承順位はどのように決まっているのか
皇位継承のルールを小学生でもわかるように解説
皇位継承とは、簡単にいうと「天皇の位を、次の人が引く継ぐこと」です。
すでに説明したとおり、そのルールは、皇室典範で決められています。
皇室典範の第1章第1条では、
「皇位(こうい)は皇統(こうとう)に属する男系の男子が、これを継承する」
となっています。
- 皇位とは、「天皇の位」のこと
- 皇統とは、「天皇の血統(天皇の血を引くこと)」のこと
- 男系とは、「父親をたどると天皇に繋がる子孫」のこと
- 男系男子とは、「父親をたどると天皇に繋がる男子」のこと
簡単にわかりやすくいうと
「天皇の位は、天皇の血を引く男系の男子が継承する」
ということです。
なぜ男系男子であることがそれほど重要視されているのでしょうか。
日本の天皇は、初代の神武天皇(じんむてんのう)からずっと、「お父さんから子へ」という繋がりだけで受け継がれてきたとされています。
たとえば、今の天皇陛下から見て、お父さん、そのまたお父さん、そのまたお父さん……というように、ずっと父親だけをたどっていくと、神武天皇に行き着くとされています。
このように、一度も途切れることなく続いてきた血筋のことを「万世一系(ばんせいいっけい)」と呼び、世界でも例のない伝統として大切にされてきました。

ちなみに、女性が天皇になること自体は、この「万世一系」を崩すわけではありません。
過去にも「男系の女性天皇」が8人いました(全員、お父さんが天皇の血筋の方でした)。
このうち2人は、一度天皇をやめたあと、もう一度天皇にもどっているので、人数は8人でも「代」で数えると10代になります。
関連:女性が天皇になれないのはなぜ?女系と女性の違いとは?過去の歴代女性天皇
ただし、この8人は全員、生涯独身か、即位する前に皇族の方と結婚していた方ばかりで、即位した後に結婚したり子どもを産んだりした方は1人もいませんでした。
つまり、女性天皇のお子様が次の天皇になるという場面は、日本の歴史上一度も実際には起きていません。
女性天皇8人の次の天皇は、その女性天皇ご自身のお子様ではなく、皇室の別の男系の血筋の方が継いでいます。
女性天皇は、男系男子が見つかるまでの間、一時的に皇位につく「中継ぎ」の役割だったと考えられています。
もし仮に、女性の皇族の方が一般の方と結婚してお子様が生まれ、そのお子様が天皇になったとしたら、そのお子様は「女系天皇」ということになります。
そのお子様のお父さんは一般の方であり、お父さんをたどっても天皇には繋がらないからです。お母さん経由では繋がっていても、それは「男系」には当てはまりません。
もしこうした形で天皇が即位すれば、神武天皇から続いてきた「お父さんから子へ」の繋がりは、そこで初めて途切れることになります。
ちなみに、遺伝子・血のつながりという意味では、女系天皇であっても神武天皇の血は受け継がれています。
「男系」というのは、血のつながりの強さではなく、「お父さんから子へ」という一本の線だけを正式な基準とする、伝統的なルールです。
このルールにこだわるべきかどうかは、今も専門家の間で意見が分かれています。
今の皇室典範第1条は「男系」に加えて「男子であること」も条件にしているため、たとえ男系であっても女性は今の法律上、皇位を継ぐことができません。
皇室典範第2条第1項では、皇位継承順位(次の天皇になる人の順番)が決められています。
順位は以下のとおりです。
●1位
皇長子(こうちょうし・天皇の長男)
●2位
皇長孫(こうちょうそん・天皇の長男の長男)
●3位
その他の皇長子の子孫
●4位
皇次子(こうじし・天皇の次男)とその子孫
●5位
その他の皇子孫(こうしそん・天皇の子孫)
●6位
皇兄弟(こうきょうだい・天皇の兄弟)とその子孫
- 秋篠宮皇嗣殿下は今上天皇の弟なので、ここに当てはまります。
- 悠仁さまは秋篠宮皇嗣殿下のご長男なので、ここに当てはまります。
●7位
皇伯叔父(こうはくしゅくふ・天皇の伯父叔父)とその子孫
- 上皇陛下の弟の常陸宮さまは今上天皇の叔父なので、ここに当てはまります。
以上に当てはまる皇族がないときは、なるべく近い系統の皇族が継承することになります。
さらに、次の3つの考え方によって順位は決められています。
●直系優先
天皇に子供や孫の男子がいれば、その男子を優先します
●長系優先(兄弟では年長者を優先)
兄弟の中ではお兄さんを優先します。
●近親優先(天皇から血縁が近い者を優先)
天皇に男子がいない場合、天皇と血縁が近い人(兄弟やおじさんなど)を優先します。
この「近親優先」の考え方にあてはめると、同じ6位の中でも、天皇の弟である秋篠宮皇嗣殿下の方が、天皇の甥にあたる悠仁さまよりも天皇に血縁が近いため、秋篠宮皇嗣殿下が先になります。
よって、現在の順位は、
1位 秋篠宮皇嗣殿下
2位 悠仁さま
3位 常陸宮さま
ということになります。
また、皇室典範第8条では、
「皇嗣(こうし)たる皇子(みこ・おうじ)を皇太子という。皇太子のないときは、皇嗣たる皇孫(こうそん)を皇太孫(こうたいそん)という」
と定めています。
- 皇嗣とは、「皇位継承順位第1位の皇族」
- 皇子とは、「天皇の息子」
- 皇孫とは、「天皇の息子の息子(孫)」
つまり、簡単にいうと、
「皇位継承順位第1位は天皇の息子で、その人を皇太子と呼ぶ。皇太子がいない場合は、天皇の孫が皇位継承順位第1位となり、その人を皇太孫と呼ぶ」
ということです。
では、皇位継承順位第1位の方が、天皇の息子でも孫でもない場合はどうなるのでしょうか。
この場合は「皇太子」にも「皇太孫」にも当てはまらないため、単に「皇嗣」と呼ばれます。
現在、秋篠宮皇嗣殿下は、今上天皇の弟であり、天皇の息子でも孫でもないため、「皇太子」ではなく「皇嗣」という呼び方をされているのです。
よって、皇位継承に関するルールを簡単にまとめると、
「次の天皇になるのは天皇の血を引く男系の男子で、その中で皇位継承順位が第1位の人を「皇嗣」と呼ぶ。皇嗣が天皇の息子であれば「皇太子」、天皇の孫であれば「皇太孫」と呼ばれる」
ということです。
皇室典範の改正について小学生でもわかるように解説
令和8年(2026年)7月17日、皇室典範が改正され、次の内容が盛り込まれました。
- 女性皇族が結婚後も皇族のままでいられるようにする
- 旧宮家から養子を迎える
改正に至った背景には、いくつかの問題があったからです。
理由①
まずひとつは、御公務(ごこうむ)を行う皇族の人数が問題となっています。
御公務とは、天皇や皇族が国や国民のために行う仕事のことです。
たとえば、被災地を訪問して困っている人を励ましたり、式典に出席してあいさつをしたり、世界の国々と交流して仲良くしたりすることです。
そのような御公務を行う皇族の数が減っています。
皇室典範第12条では、女性皇族は結婚したら皇室を離れて民間人となると決められていました。
現在、未婚の皇族は女性5人、男性1人です。
このままだと皇族の人数が減りすぎて、御公務の数を減らさなければならなくなったり、ひとりあたりの負担が大きくなってしまいます。
そのため2026年6月に、結婚後も女性皇族が皇族のままでいられるようにする皇室典範の改正案が、国の会議(閣議)で決められ、国会に提出されました。
7月には衆議院・参議院で可決され、令和8年(2026年)7月17日に成立しました。
出典:首相官邸「皇室典範改正の法案成立等についての会見」(令和8年7月17日)
その後、令和8年(2026年)7月24日に公布され、同年10月24日から施行されます。
「公布」とは、法律ができたことを国民に知らせることです。
「施行」とは、その法律が実際に使われ始めることです。
つまり、新しいルールが使えるようになるのは10月24日からです。
そして、「結婚後もご本人が希望されれば、皇族としての身分を維持する」という内容で、結婚後も御公務を行うことができるようになります。
ただし、結婚相手やお子様は、一般の国民として扱われます。
また、結婚のときに「皇室を離れる」という選択もできます。
皇族に残るかどうかは、ご本人が決められます。
理由②
次に、次の天皇の候補となる方が、将来いなくなってしまうのではないかという問題があります。
先ほども説明しましたが、「天皇の位は、天皇の血を引く男系の男子が継承する」というルールがあります。
2026年7月の皇室典範改正時点で、皇位継承権をお持ちの方の年齢はそれぞれ以下の通りです。
- 秋篠宮皇嗣殿下(1965年11月30日生まれ・改正時点60歳)
- 悠仁さま(2006年9月6日生まれ・改正時点19歳)
- 常陸宮さま(1935年11月28日生まれ・改正時点90歳)
若い世代の男系男子は、悠仁さまおひとりです。
今後も「男系男子が継承」というルールを守り続けるとしたら、将来的に誰も引き継ぐ人がいなくなってしまうかもしれないという心配があります。
しかし、これまで皇室典範第9条では、皇族が養子を迎えることが禁じられていました。
そこで、皇室典範第9条を改正し、旧宮家(きゅうみやけ)から15歳以上の男系男子を養子として迎えられるようにしたのです。
旧宮家とは、昭和22年(1947年)に皇族を離れて民間人となった11の宮家のことです。宮家とは、簡単にいうと、天皇の親戚にあたる家族です。
但し、養子となったご本人には皇位継承権は与えられません。
しかし、将来的に、その方が結婚して男のお子様が生まれれば、そのお子様は天皇の血を引く男系男子ということになり、皇位継承権を持つことになるのです。
なぜ養子となったご本人には権利がなく、そのお子様には権利があるのでしょうか。
これは、「一度皇族でなくなった人は、二度と皇族に戻らない」という明治時代からの原則が関係しています。
養子になった方ご本人は、元は旧宮家の出身で一度は皇族でなかった方なので、この考え方に基づいて権利を持ちません。
しかし、そのお子様は皇族として新しく生まれてくるため、この考え方とは関係なく、皇位継承権を持つのです。

いかがでしたでしょうか?
天皇家は長い間「男系男子」で引き継がれてきましたが、少子化もあり、このままでは皇室を維持できなくなる危険性がありました。
そこで今回の改正で、女性皇族が結婚後も皇族に残れるようにし、旧宮家から養子を迎えられるようにすることで、皇族の人数を確保しようとしています。
今後、どう変化していくのか見守っていきましょう。
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