
抹茶は飲むだけでなく、和菓子や洋菓子の風味づけや色づけにも使われる、
馴染みのあるものです。
でも「抹茶と緑茶は何が違うの?」と聞かれて、答えられるでしょうか。
実は抹茶も緑茶の一種です。
ここでいう緑茶は、煎茶などのふだん飲んでいる緑茶のことで、抹茶とは育て方も作り方も飲み方も違います。
今回は抹茶とは何か、緑茶との違い、抹茶の歴史や種類について解説します。
抹茶とは?
読み方は「まっちゃ」です。
「抹」には「擦(す)る」あるいは「粉」という意味があります。
つまり、「抹茶」は、茶葉を粉末状にしたお茶という意味があります。

抹茶は、日本茶の一種です。
日本茶とは、日本で作られるお茶の総称です。
日本茶の原料は、ツバキ科ツバキ属の常緑樹である「チャの木」の葉です。

基本的に日本茶は、日光をたっぷり浴びて栽培した茶葉を摘んだ後、蒸して、揉みながら乾燥させます。
揉むとは、手や機械で茶葉を転がすようにして、茶葉をしっかり乾燥させることで、お茶の味や香りが良くなります。
抹茶は、碾茶(てんちゃ)を石臼で挽いて粉末にしたもので、揉まずに作られるお茶です。

碾茶とは、日本茶の茶園全体をヨシズやワラ等で覆い、日光を遮って栽培した茶葉を摘み、それを蒸し、乾燥させて茎や葉脈を取り除いたものです。

一般的に日本茶は茶葉を急須に入れてお湯を注いで抽出したものを飲みますが、抹茶は茶碗にお湯を入れ、茶筅(ちゃせん)という道具で泡立てて飲みます。

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抹茶の歴史とは?
日本に中国からお茶が伝わったのは平安時代(794年~1185年)です。

中国から伝わったのは「餅茶(もちちゃ・へいちゃ)」と呼ばれるもので、お茶の葉を蒸して団子状に固めたものを必要な量だけ切り取り、火であぶって細かく砕いて煎じたものを飲んでいたようです。
しかし、一部の人しか飲めなかったり、多くの人が知ることはなく、お茶の葉の栽培は長くは続きませんでした。
現在に続くお茶文化の始まりは、鎌倉時代(1185年~1333年)です。

栄西
臨済宗の開祖である栄西(えいさい・1141~1215年)が宋(そう・現在の中国)からお茶の種子を持ち帰りました。
栄西は、お茶を栽培し、お茶の粉末を湯の中に入れてかき混ぜる飲み方である「抹茶法」を広めました。
そして、お茶の栽培方法や抹茶法、種類、効能などを「喫茶養生記(きっさようじょうき)」に記しました。

喫茶養生記をきっかけに、貴族や武士の間で抹茶を飲む習慣が広がったことが、抹茶文化の始まりといわれています。
室町時代(1336年~1573年)中期以降になると大名や将軍の間で、抹茶法を取り入れた「茶の湯(現在の茶道)」が誕生しました。

また、三代将軍足利義満(あしかがよしみつ・1358年~1408年)が京都の宇治の抹茶を非常に気に入り、「宇治七茗園(うじしちめいえん)」として保護したことにより、宇治は抹茶の名産地として発展していきました。
宇治七茗園とは、特に品質の高い抹茶を栽培する7つの茶園を指し、将軍や天皇に献上されていました。
7つの茶園は以下の通りです。
- 宇文字園
- 川下園
- 祝園
- 森園
- 琵琶園
- 奥の山園
- 朝日園
宇治七名園は和歌でも詠まれています。
『森、祝、宇文字、川下、奥の山、朝日につづく琵琶とこそ知れ』(作者不詳)
その後、武野紹鴎(たけのじょうおう)を経て、戦国時代の茶人である千利休(せんのりきゅう・1522年~1591年)が茶道を完成させました。

千利休
江戸時代(1603年~1868年)には、茶道は武士にとって当然の嗜み(たしなみ)となりました。
明治時代(1868年~1912年)に武家社会が終わると、茶道は女学校の教養科目として取り入れられるようになり、女性を中心に庶民にも広く親しまれるようになりました。

平成ごろ(1990年代後半~2000年代)には、抹茶がケーキやアイスなどスイーツに使われるようになり、広まりました。

1996年に発売されたハーゲンダッツの抹茶アイスがきっかけの一つとされ、2001年にはスターバックスが「抹茶クリームフラペチーノ」を発売するなど、抹茶は次第に定番の味として広く認知されるようになりました。
その後、抹茶ラテや抹茶オレなどの抹茶飲料も多く販売され、手軽に抹茶を楽しめるようになっています。

また、抹茶は「MATCHA」として世界にも広まっています。2010年代半ばからアメリカで抹茶カフェが人気となり、ヨーロッパにも広がっていきました。
鮮やかな緑色の抹茶はSNSにも多く投稿され、世界中に知られるようになりました。
抹茶の栄養価にも注目が集まり、海外では「スーパーフード」としても人気があります。
スーパーフードとは、一般的な食品に比べて栄養価が高い、栄養バランスが優れている、健康に良いとされる食品のことです。
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抹茶の種類とは?
抹茶の種類は、用途、品種、産地・ブランドで分けることができます。
用途で分ける場合
●飲料用
茶碗に抹茶とお湯を入れ、茶筅で泡立てて飲みます。
●加工用
お菓子や料理向けで、風味や色を活かす目的で使われます。
品種で分ける場合
抹茶は他の日本茶と同じ「チャの木」が原料です。
以下の品種はいずれも日本茶(緑茶)の品種ですが、その中でも抹茶(碾茶)に適した品種で分けられます。
やぶきた
主に静岡県で栽培されている品種です。
日本のお茶の約7割はやぶきたといわれています。
煎茶に使われることが多いですが、抹茶として販売されている商品もあります。
渋み、苦み、甘み、旨みのバランスが良く、クセもなく飲みやすいです。
おくみどり
主に京都、愛知で栽培されている品種です。
「やぶきた」と「静岡在来16号」という品種を掛け合わせて作られたものです。
渋みや苦みが少なく、甘みや旨みが強く、抹茶に適した品種です。
さみどり
主に京都で栽培されている品種です。
上品な旨み、香りが強く抹茶に適した品種です。
ごこう
主に京都や三重で栽培されている品種です。
まろやかな味わいで玉露に使われることが多いですが、抹茶にも適している品種です。
摘み取りの期間が短く希少な品種です。
うじひかり
主に京都で栽培されている品種です。
玉露や抹茶に使われる品種です。
濃厚な甘みと旨み、程よい苦みが感じられます。
あさひ
主に京都で栽培されている品種です。
栽培面積が少なく、摘み取り期間が短いため希少性が高く高級品種です。
上品な旨みを感じられます。
産地・ブランドで分ける場合
宇治抹茶
京都府宇治市周辺で作られている抹茶です。
最初にほんのり渋みを感じ、あとからまろやかな甘みや旨みを感じるのが特徴です。
京都府・奈良県・滋賀県・三重県の4府県産の茶葉を、京都府内の業者が宇治地域に由来する製法で仕上げ加工したものが「宇治茶」と定義されています。
全国茶品評会のてん茶の部では、宇治市が産地賞を通算53回受賞しています。
出典:宇治市「祝!第77回全国茶品評会にて宇治市が「産地賞」!!」
和束茶
京都府和束町で作られている抹茶です。
正確には宇治抹茶の一種です。
渋みが少なく、あっさりした飲み口なのが特徴です。
和束町産の茶葉であることや品種、栽培、製造方法などの基準を満たした抹茶だけが「和束茶」と名乗ることを許されるブランド茶です。
西尾の抹茶
愛知県西尾市周辺で作られている抹茶です。
深みのある緑色をしており、濃厚なコクと甘み、旨みを感じられ、香りが強いのが特徴です。
愛知県西尾市、安城市で栽培加工した抹茶が「西尾の抹茶」と呼ばれるブランド茶です。
お菓子や加工用として有名です。
八女抹茶
福岡県八女市周辺で作られている抹茶です。
豊かな甘みと旨み、まろやかな味わいが特徴です。
八女地域の茶栽培と製茶の伝統に基づく抹茶が「八女抹茶」と呼ばれるブランド茶です。
飲料用のほか、お菓子や料理用としても人気です。
抹茶と緑茶の違いをわかりやすく解説!
先ほども説明しましたが、抹茶は他の日本茶と同じ「チャの木」が原料です。
同じ原料でも、以下のように抹茶と緑茶には違いがあります。
栽培方法が違う

抹茶は、茶園全体をヨシズやワラ等で覆い、日光を遮って栽培します。
緑茶は、日光をたっぷり浴びるように栽培します。
製法が違う

抹茶は、碾茶を石臼で挽いて微粉末にします。
緑茶は、茶葉を摘んだ後、蒸して、揉みながら乾燥させます。
飲み方が違う
抹茶は、茶碗に抹茶とお湯を入れ、茶筅で泡立てて飲みます。
緑茶は、茶葉を急須に入れてお湯を注いで抽出したものを飲みます。
栄養成分の摂取量が違う
抹茶と緑茶の栄養成分はほぼ同じで、
- 旨み・甘味成分の「テアニン」
- 緑色の成分の「クロロフィル」
- 渋み・苦み成分の「カテキン類」
- 苦み成分の「カフェイン」
などが含まれています。
抹茶は、茶葉を丸ごと粉末にして飲むので、栄養素をまるごと摂取できます。
緑茶は、茶葉から抽出したものを飲むため、お湯に溶けないものは茶葉に残ってしまい、抹茶よりも摂取できる量が少なくなります。

抹茶がどのようなものかわかりましたね。
和菓子や洋菓子などに多く使われ、抹茶ラテや抹茶オレなどの飲料も販売されており、とても身近なものとなっていますね。
一方で、茶筅を使って点てる本格的な抹茶を日常的に楽しむ方は少ないかもしれません。
この機会に、茶筅を購入して自宅で本格的な抹茶を味わってみてはいかがでしょうか。
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