ふくよかな女性のお面「おかめ」と、口をすぼめている男性のお面「ひょっとこ」は、古くから縁起物とされてきました。
どちらも怖い表情ではなく、笑っているような、笑わせているような表情ですよね。
そんな「おかめ」と「ひょっとこ」は対で扱われることが多いのですが、夫婦なのでしょうか?
今回は「おかめ」と「ひょっとこ」について調べてみましょう。
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Contents/目次
「おかめ」とは?

「おかめ」とは、古くから存在する広い額、低い鼻、丸い顔の女性のお面です。
「おかめ」という名前の語源は
●「顔の形が瓶(かめ・水などを入れる容器)に似ている」
●「室町時代の巫女の名前からきている」
などの説があります。
漢字で「お亀」「阿亀」と書きます。
「おかめ」は、日本神話に登場する「天宇受売(あまのうずめ)」という日本最古の踊子(おどりこ)が起源だといわれています。

天宇受売は神楽などを行う女官(にょかん・宮廷に仕える女性)です。
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また、「おかめ」のほかに以下のように様々な呼び方があります。
●「おたふく」
●「おふく」
●「おと」
●「おとこぜ」
など
おたふく
「おたふく」という名前の語源は
●「福が多いという意味を込めている」
●「おと、おとこぜの発音が変化した」
などの説があります。
漢字で「お多福」「阿多福」と書きます。
おふく
「おふく」の語源は不明です。
漢字で「お福」「御福」と書きます。
おと、おとこぜ
「おと、おとこぜ」の語源は不明です。
漢字で「乙(おと)」「乙御前(おとこぜ)」と書きます。
これらの呼び方は、活躍するシーンごとに異なるようです。
おかめ(お亀、阿亀) | 里神楽(さとかぐら・神様に奉納するために行う舞や歌、民間の神楽)で、ひょっとこと対で、人々を楽しませる道化のような役割があります。 |
おと、おとこぜ(乙、乙御前) | 狂言(きょうげん・日本の古典芸能で一般庶民の日常生活や、人間の滑稽な部分を題材にした喜劇)で、男に逃げられる醜女(しゅうじょ、しこめ)の役割で用いられることが多い。若くかわいらしい女性の役割もあります。 |
おふく(お福、御福) | 文楽人形(ぶんらくにんぎょう・日本の伝統芸能である浄瑠璃を人形で演じるもの)で、滑稽な役、道化としての役割があります。 |
おたふく(お多福、阿多福) | 「福が多い」という意味で、商売繁盛や夫婦円満の縁起物とされています。 |
「ひょっとこ」とは?
「ひょっとこ」は、口をとがらせおどけた表情の男性のお面で「潮吹き面(しおふきめん)」ということもあります。
舞楽(ぶがく・舞をともなった音楽)に登場する滑稽な役を演じる役の面が、神楽(神様に奉納するために行う舞や歌)の道化へ移行したものがひょっとこのはじまりと考えられています。
左右の目の大きさが違ったり、頬被りをしていることもあります。
ひょっとこという名前の語源は、
●竈(かまど)の火を竹筒で吹く「火男(ひおとこ)」がなまったという説
●口が徳利のようなので「非徳利(ひとっくり)」からきているという説
があります。
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「おかめ」と「ひょっとこ」のお面や踊りの由来や意味とは?

「おかめ」と「ひょっとこ」は神楽で道化(どうけ・わざとおかしな行動をとり周囲を楽しませるもの)として用いられます。
「おかめ」は太った福々しい女性を表現しています。
日本では古来、太って福々しい女性は災厄の魔除けになると信じられており、神楽などでの「おかめ」の役どころは「厄払い」や「魔除け」になり、「福を招く神様」です。
ひょっとこは、竈(かまど)の火を竹筒で吹くことから「火を守る神様」または「竈神」です。
このように、おかめは「福を招く神様」、ひょっとこは「火を守る神様」または「竈神」ということで、二人合わせて家庭円満の神様として扱われることもあります。
「おかめ」と「ひょっとこ」の関係は?夫婦なの?
「おかめ」と「ひょっとこ」は、神楽で対で用いられますが、夫婦というわけではないようです。
しかし、二人揃って家庭円満の神様とされたり、夫婦茶碗や湯飲みなどの絵柄に使われれ縁起物と扱われるため夫婦と思ってしまうのですね。
「おかめ」と「ひょっとこ」はいつも一緒にいるので夫婦だと思っていましたが、そういうわけではないようですね。
おどけた表情のふたりは、神楽などでほかの登場人物とは違う、とてもコミカルな動きをしますので注目してみてください!
二人は美男美女ではありませんが、周囲の人々を楽しませ笑顔にすることができるのはとても素敵なことだと思いませんか。
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