みなさんのお家に、床の間はありますか?
昨今の住宅事情で床の間のない家も増えていますが、昔ながらの日本家屋には必ずといっていいほど床の間がありました。
では、床の間とは何のためにあるのでしょうか?
また、どのように使えばいいのでしょうか?
今回は床の間の意味、置くと良いものは何か、床の間の使い方とタブーについてわかりやすく解説します。
床の間とは?
読み方は「とこのま」です。
「床(とこ)」が正式な名称で、「床の間」は俗称といわれています。
床の間は、座敷の床を一段高くした場所のことです。
また、「とこしえ(永久・永遠)」という意味もあり、その家の繁栄を象徴する場所として和室の一番良い場所に位置しています。
床の間の歴史
「床(とこ)」という言葉は、奈良時代(710年~794年ごろ)には、「座する場所」「寝る場所」という意味で用いられていました。
室町時代(1336年~1573年)になると、部屋を一段高くした「上段の間」と呼ばれる部屋が造られ、高貴な人や主君を迎えるための部屋として使うようになり、そこを「床(とこ)」と呼ぶようになりました。
安土桃山時代(1573年~1603年)になると「書院造(しょいんづくり)」という住宅様式が完成し、その装飾のひとつとして「床」を小さくしたものが「床の間」です。
書院造とは、書院を建物の中心にした武家住宅の形式のことで、書院とは書斎を兼ねた居間のことです。
書院造の住宅が武家の間で広まっていくうちに床の間は次第に豪華になり、その家の力を示す役割を担うようになっていきました。
江戸時代になると千利休(せんのりきゅう・1522年~1591年)が簡素簡略の境地である「わび」の精神を重んじた「わび茶」を浸透させたことで、床の間の規模は縮小され、一部の庶民の住宅にも床の間が作られるようになりました。
明治時代になると、庶民の家でも床の間が作られることが一般的になり、家の主人(家長や当主のこと)がいるところに掛け軸や生け花、美術品など装飾を施すことで、主人の権威を演出したといわれています。
昭和になっても和室に床の間を設ける家が一般的でしたが、平成になると和室がない家が増えたため床の間は減っていきました。
また、和室はあっても床の間そのものが省略されることがく多なり、以前と比べると床の間は廃れてしまっています。
床の間の使い方とタブー
一般的に、床の間は客間に設けられています。
お客様をお迎えする際は客間の一番良い場所として床の間を背にする場所が上座になります。
床の間には、
掛け軸
季節の花
美術品
などを飾るのが一般的です。
また、
ひな人形
五月人形
羽子板
など、子どもの節句に関するものも、一番良い場所である床の間に飾るのが適しているといわれています。
また、神様がいらっしゃる空間という考え方もあることから、神事や仏事に関するものを置いたり、仏壇を置いたりすることもあるようです。
そのため、床の間に上がったり、座ったり、物置(ペットのケージやトイレなどを置く)として使うのはタブーとなりますので気をつけましょう。
また、「床の間を丁寧に扱わない=家の主を蔑ろにする」という考え方がありますので、普段から清潔にして絵画や花などを飾ると良いようです。
床の間に置くと良いもの・悪いもの
風水的に見て、床の間に置くと良いもの・置かないほうが良いものをご紹介します。
床の間に置くと良いものは?
その家の主人が好きな掛け軸
主人が好きなものを置くことで、主人の出世運や金運がUPします。また、家族全員の運気もUPするそうです。
盛り塩
神聖な床の間には悪い運気が集まることもあり、その結果、家全体の運気が下がってしまいます。それを避けるために盛り塩をすると良いそうです
観葉植物
観葉植物は自然のパワーを満たし、運気をUPするといわれています。
干支の置物
干支の置物は縁起物でもあります。干支の組み合わせによっては相性が悪いこともあるため、その年の干支の置物だけを飾るようにしましょう。
床の間に置かない方が良いものは?
人形やぬいぐるみ
人形やぬいぐるみは、さまざまな運気やパワーを吸収するといわれています。良い運気やパワーも吸収してしまうため、神聖な床の間には置かないようにしましょう。
電化製品
電化製品は磁場が発生しているため、気を乱すと考えられています。その結果、家全体の運気を乱すことになるので、床の間には電化製品を置かないようにしましょう。
ほかの場所に収納しきれなかった荷物
床の間は神聖な場所なので「ほかの場所に収納しきれなかったから」と荷物を置くことは運気が下がる原因となってしまいます。
床の間の向き
また、床の間の向きや使い方で避けた方が良いとされることがありますので、床の間を作る際には以下を参考にしてみてください。
良い向き
東向きの床の間
南向きの床の間
東南向きの床の間
神聖な床の間は太陽を向くようにすることで日差しが入り、風通しも良く、自然と調和する配置となるため、大吉の向きといわれています。
悪くはないが注意が必要な向き
西向きの床の間は、夕方になると西日が射しこんでしまいます。
床の間に飾ったものに西日が当たって劣化したり変色したりすることがありますので注意が必要です。
避けた方が良い向き
北東向きの床の間
南西向きの床の間
北東は鬼門(きもん)で、南西は裏鬼門(うらきもん)になっており、邪気が出入りする方角なので避けた方が良いです。
「床の間」がどのようなものかわかりましたね。
床の間をどのように扱えば良いのか悩んでしまう人もいるかもしれませんが、厳密なルールはありませんので、ご家族で相談して飾りたいものを飾って楽しむのも良いかもしれませんね。
中には、お子さんが保育園や学校で作った物や絵、書き初めを飾る人もいるそうです。
また、昨今の住宅事情で、床の間のある部屋を普段使いする場合もあると思いますが、そのような場合は、思い切って床の間を取り払いクローゼットにリフォームする人もいるようですよ。
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