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月待ちの意味とは?月待信仰・月待ち講とは?月待塔って何?

日本には、古くから続く民間信仰がたくさんありますね。

民間信仰は、日々の生活の中で生まれたものです。

「トイレには神様がいる」というのを聞いたことがある人は多いと思いますが、これも民間信仰のひとつで、トイレには「厠神(かわやのかみ)」がいらっしゃるということで、妊婦さんが掃除をするとキレイな子どもが生まれるとか、お産が軽く済むと言われていました。

「月待ち」も、民間信仰のひとつなのですが、どういうものかご存知ですか?

今回は、月待ちについていろいろ調べてみたいと思います。

 

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月待ちの意味とは?

「月待ち」の読み方は「つきまち」です。

 

「月待ち」とは特定の月齢(げつれい)の日に仲間が集まり、飲食をともにしながら月が出るのを待ち、経などを唱えて月を拝み、悪霊を追い払う行事で、月待信仰や月待ち講ということもあります。

※月待信仰や月待講については後ほど説明いたします。


 

月齢とは、月の満ち欠けの状態を知るための目安になる数字のことで、新月を起点にしています。

新月を月齢0とし、月齢15でほぼ満月となります。

旧暦では、新月を毎月1日としており、満月が毎月15日になります。(月の満ち欠けは15日に必ず満月になるわけではなく、場合によっては14日や16日が満月になるなど、多少前後します。)

そして、旧暦の15日の夜(月齢15)を十五夜、13日の夜(月齢13)を十三夜、23日の夜(月齢23)を二十三夜と呼びます。

 

月待ちは、江戸時代(1603年~1868年)中期から後期にかけて多く行われていたそうです。

十三夜、十五夜、十七夜、十九夜、二十三夜、二十六夜などに行われ、毎月行う地域もあれば、1月、5月、9月、11月などに行う地域もあります。

 

月待信仰・月待ち講とは?

月待信仰とは、特定の月齢の月を鑑賞したり拝んだりする民間信仰です。

 

月待信仰は、月の満ち欠けへの畏(おそ)れから生まれたという説があります。

月の満ち欠けは、昔の人たちは自分たちの知らない力が変化させていると考えたようです。

月の満ち欠けによって見える月が仏様に見えたり、月が三つに見えたりしたという伝承も残っています。

 


 

月待ち講(こう)の「講」は、宗教行事を行う結社のことです。また、行事や会合の意味もあります。

「月待ち講」は、「月待ち信仰の仲間の集まり」というとわかりやすいですね。

 

月待ち講は、集まる人によって行事の内容が異なったようです。

 

たとえば、高齢者が集まる時は念仏などを唱え、女性たちが集まるときは安産祈願や話し合いの場になり、若い男性たちが集まるときは飲み会のようになり、子どもたちが参加するときはお菓子を出したりしたそうです。

月待ち信仰は娯楽としての要素もありながら、次第に多くの人が信仰するようになっていきました。

 

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月待塔って何?

「月待塔」の読み方は「つきまちとう」です。

 

月待塔は、月待ち講(月待ち信仰の仲間たち)が、記念として建てた石塔のことで、月待信仰塔(つきまちしんことう)ともいいます。

二十三夜が古くから最も盛んに行わていたため、「二十三夜塔」「三夜待」「三夜供養」などの文字を刻んだ塔は全国で多く見られます。

 

月待塔は文字のほかにも仏様のお姿が彫られた塔もあり、月と仏様を結び付けて信仰していたようです。

また、日本神話に出てくる月読(つくよみ・月の神)の名を彫ったものもあります。

 

月待塔は、以下の種類があります。

 

十三夜塔

旧暦9月13日の十三夜に行う月待ちの記念として建てられた塔。

文字のほかに、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)が彫られた塔もある。

 

十五夜塔

旧暦8月15日の十五夜に行う月待ちの記念として建てられた塔。

文字のほかに、大日如来(だいにちにょらい)、観音菩薩(かんのんぼさつ)などが彫られた塔もある。

 

十六夜塔

旧暦16日の月待ちの記念として建てられた塔。

栃木県、茨城県、群馬県などで月待ちが行われた。

文字のほかに、阿弥陀如来(あみだにょらい)、地蔵菩薩(じぞうぼさつ)などが彫られた塔もある。

 

十七夜塔

旧暦17日または旧暦8月17日の十七夜に行う月待ちの記念として建てられた塔。

茨城県、千葉県、新潟県、岐阜県、静岡県、愛知県、兵庫県、山口県、愛媛県、福岡県、佐賀県、鹿児島県などで月待ちが行われた。

文字のほかに、如意輪観音(にょいりんかんのん)が彫られた塔もある。

 

十八夜塔

旧暦1月、5月、9月、11月の18日に行う月待の記念として建てられた塔。

東北地方で月待ちが行われた。

文字のほかに、如意輪観音が彫られた塔もある。

 

十九夜塔

旧暦19日に行う月待ちの記念として建てられた塔。

十九夜講は女性が多かったそうで、安産祈願を行っていた。

文字のほかに、如意輪観音が彫られた塔もある。

 

二十夜塔

旧暦20日の月待ちの記念として建てられた塔。

文字のほかに、聖観音(しょうかんのん)、如意輪観音などが彫られた塔もある。

 

二十一夜塔

旧暦21日の月待ちの記念として建てられた塔。

文字のほかに、如意輪観音が彫られた塔もある。

 

二十二夜塔

旧暦22日の月待ちの記念として建てられた塔。

文字のほかに、如意輪観音(にょいりんかんのん)が彫られた塔もある。

 

二十三夜塔

旧暦23日の月待ちの記念として建てられた塔。

ほかの月待塔は地域によっては無いこともあるが、二十三夜塔は全国各地にある。

文字のほかに、勢至菩薩(せいしぼさつ)が彫られた塔もある。

 

二十六夜塔

旧暦26日の月待ちの記念として建てられた塔。

文字のほかに、愛染明王(あいぜんみょうおう)が彫られた塔もある。

 

 

月待ちがどういうものかわかりましたか?

現在は、月の満ち欠けがなぜ起こるのか、月の見え方がどうなるのかなど、科学の力によって解明されていますが、昔は月の満ち欠けは不思議な出来事だったのかもしれません。

そこに神秘的なものを感じたご先祖さまたちは、月と神様を結びつけて信仰したのかもしれませんね。

 

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