「梅雨」といえば、一般的に夏の前に訪れる梅雨を思い浮かべますよね。
しかし梅雨には4つの種類があります。
一般的な「梅雨」のほか「菜種梅雨」「山茶花梅雨」「すすき梅雨」というのがあります。
それぞれどのような梅雨で、いつの季語なのでしょうか?
また他にも「梅雨」に関連するいろいろな言葉がありますのでご紹介します!
梅雨の種類とは?
梅雨は大きく分けると春夏秋冬、4種類あります。
春は「菜種梅雨」
読み方は「なたねづゆ」「なたねつゆ」です。
菜種(なたね)が咲く時期(3月下旬~4月上旬ごろ)に曇りや雨が続くことが「菜種梅雨」という名前の由来です。
菜種とは、アブラナ科の「菜の花」の別名です。
菜種梅雨の時期は花の咲く時期と重なるため「催花雨(さいかう)」ともいいます。
菜種梅雨は、太平洋沿岸に前線が停滞することが原因で起こり、主に太平洋沿岸の関東より西の地域で起こる現象です。
前線が停滞することで雨や曇りの日になりますが、夏の「梅雨」と比べると期間が短めで、毎年起こるとは限りません。
前線とは、高気圧(暖かい空気)と低気圧(冷たい空気)の境目のように、性質が異なる気団がぶつかる場所のことです。
菜種梅雨の詳細については以下をご覧ください。
関連:菜種梅雨の読み方と意味とは?いつの季語?菜種梅雨を使った俳句
夏は「梅雨」
一般的な「梅雨(つゆ)」のことです。
梅雨は、オホーツク寒気団と小笠原気団がぶつかったところに梅雨前線(ばいうぜんせん)ができて停滞することが原因で起こる現象です。
梅雨前線が停滞することで、5月から8月にかけて雨や曇りの日が続きます。
梅雨の詳細については以下の記事をご覧ください。
関連:「梅雨入り」「梅雨明け」の定義と平年値はいつ?誰が決めているの?
秋は「すすき梅雨」
読み方は「すすきつゆ」「すすきづゆ」です。
すすきが見られる時期(8月下旬~10月下旬ごろ)の長雨のことです。
「秋の長雨(あきのながあめ)」
「秋霖(しゅうりん)」
「秋雨(あきさめ)」
ともいいます。
すすき梅雨は、亜熱帯高気圧と寒帯高気圧がぶつかったところに秋雨前線(あきさめぜんせん)ができて停滞することが原因で起こる現象です。
秋雨前線は、8月下旬~9月にかけて北海道と東北地方など北日本で起こりやすく、その後少しずつ南下し、10月下旬ごろには本州の南の方まで南下し、次第に弱まり消滅します。
そのため、西日本よりも東日本の方が、雨量が多くなりやすいです。
冬は「山茶花梅雨」
読み方は「さざんかづゆ」「さざんかつゆ」です。
山茶花(さざんか)が咲く時期(11月下旬~12月上旬ごろ)に太平洋側で降る長雨のことです。
山茶花梅雨は、秋から冬にかけて移動性高気圧が北に偏り前線が本州南海上に停滞することが原因で起こる現象です。
その他の梅雨がつく言葉
春夏秋冬の梅雨のほかにも「梅雨」がつく言葉がたくさんありますのでご紹介します。
空梅雨
読み方は「からつゆ」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)の時期に雨が少ないことです。
照り梅雨
読み方は「てりつゆ」です。
先ほどの「空梅雨」と同じ意味です。
筍梅雨
読み方は「たけのこつゆ」です。
筍(たけのこ)が出る時期(4月~5月)に降る長雨のことです。
もともとは伊勢や伊豆地方の船乗りが使っていた古い言葉で、筍が出る時期に吹く東南風のことを指していましたが、その時期の長雨を「筍梅雨」と言うようになりました。
青梅雨
読み方は「あおつゆ」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)の別名です。
新緑の季節であるので、木々の葉に降る雨ということで「青梅雨」といいます。
走り梅雨
読み方は「はしりつゆ」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)になる少し前に、梅雨のような天気が続くことです。
「迎え梅雨」や「梅雨の走り」と呼ぶこともあります。
走り梅雨についての詳細は以下をご覧ください。
関連:「走り梅雨」「卯の花くたし」の意味とは?いつの時期の俳句に使われる季語?
送り梅雨
読み方は「おくりつゆ」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)が明けるころの大雨のことをいいます。
雷を伴うことが多く、集中豪雨になることもあります。
戻り梅雨
読み方は「もどりつゆ」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)が明けたあとに、再び梅雨のような状態に戻ることです。
蝦夷梅雨
読み方は「えぞつゆ」です。
蝦夷とは北海道のことです。
梅雨がないといわれている北海道で、6月に雨や曇りの日が多くなることをいいます。
陽性梅雨
読み方は「ようせいばいう」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)の後半に訪れることが多いです。
短期間に激しく降ってすっきり晴れる天気のことで、天気の変化が激しく、気温が高くなることが多いようです。
陰性梅雨
読み方は「いんせいばいう」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)の前半に訪れることが多いです。
しとしとと雨が長く続き、曇りや弱い雨が続く天気のことで、気温が低くなることが多いようです。
ほかに梅雨がつく言葉は以下のとおりです。
梅雨葵
読み方は「つゆあおい」です。
立葵(たちあおい)の別名です。
立葵とは、アオイ科の多年草で、一般的な梅雨(5月から8月にかけて)の時期に咲く花です。
梅雨晴れ
読み方は「つゆばれ」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)が終わって晴れることや、梅雨の期間中の晴天のことです。
梅雨寒
読み方は「つゆざむ」です。
一般的な梅雨(5月から8月にかけて)に訪れる、季節外れの肌寒い日のことです。
梅雨・菜種梅雨・山茶花梅雨・すすき梅雨はいつの季語?
それぞれの梅雨は、いつの季語なのでしょうか?
「菜種梅雨」は春の季語
厳密には「晩春」の季語です。
春は以下のように分けられています。
初春(しょしゅん)
仲春(ちゅうしゅん)
晩春(ばんしゅん)
それぞれの期間は以下のとおりです。
初春は、立春(2月4日ごろ)~啓蟄(3月6日ごろ)の前日まで
仲春は、啓蟄(3月6日ごろ)~清明(4月5日ごろ)の前日まで
晩春は、清明(4月5日ごろ)~立夏(5月5日ごろ)の前日まで
「梅雨」は夏の季語
厳密には「仲夏」の季語です。
夏は以下のように分けられています。
初夏(しょしゅん)
仲夏(ちゅうしゅん)
晩夏(ばんしゅん)
それぞれの期間は以下のとおりです。
初夏は、立夏(5月5日ごろ)~芒種(6月6日ごろ)の前日まで
仲夏は、芒種(6月6日ごろ)~小暑(7月7日ごろ)の前日まで
晩夏は、小暑(7月7日ごろ)~立秋(8月7日ごろ)の前日まで
「すすき梅雨」は季語ではない
季語は歳時記(さいじき)という書物にまとめられているのですが、「すすき梅雨」は歳時記に載っていません。
一般的に歳時記に載っていないものは季語ではないと考えます。
しかし、載っていなくても季節を想像できるものは季語とする考え方もあり、その場合は、すすき梅雨は「秋」の季語になります。
「山茶花梅雨」は季語ではない
「山茶花梅雨」も歳時記(さいじき)に載っていません。
「すすき梅雨」と同じく、歳時記に載っていないので季語ではありません。
但し、先ほどのすすき梅雨と同様に季語と考える場合は、山茶花梅雨は「冬」の季語になります。
関連:【俳句の季語一覧】小学生向け 春夏秋冬新年 月ごと(1月~12月)の季語
梅雨の種類は春夏秋冬にあり、「梅雨」がつく言葉はたくさんあることがわかりましたね
春夏秋冬それぞれに梅雨があり、その季節に関する名前がついていますが、どれも植物が関係していますね。
菜の花、梅、すすき、山茶花をみつけたら、これらに関する梅雨があることを思い出してくださいね!
関連:梅雨はなぜ「梅」という漢字を使うの?なぜ「つゆ」と読むの?梅雨の別名
関連:「梅雨入り」「梅雨明け」の定義と平年値はいつ?誰が決めているの?
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