
日本には八百万の神様がいて、私たちが住んでいるそれぞれの地域に神様がいます。
地域の神様の呼び方である氏神、産土神、鎮守の違いとはなんでしょうか?
自分の氏神の調べ方と、引っ越したらどうなるのかについても解説します。
氏神・産土神・鎮守とは?
氏神、産土神、鎮守がそれぞれどのようなものか、解説します。
氏神
読み方は「うじがみ」です。
氏神様(うじがみさま)ともいいます。
自分自身が住んでいる地域を守護する神様のことです。
氏神の祀られている神社を氏神神社といい、その周辺に住む人を氏子(うじこ)といいます。
そのため、引っ越しによって住む地域が変わると、新しい地域の氏神が自分の氏神となります。

氏神は、もともと同じ氏姓(しせい)をもつ一族が祀(まつ)った祖先神や守護神を指しました。
昔は一族がまとまって暮らし、祖先神と居住地との結びつきも強かったため、氏神は一族の守り神という性格をもっていました。
それが次第に特定の地域を守る神様という意味で使われるようになりました。
出典:コトバンク「氏神」
氏姓は「氏(うじ)」と「姓(かばね)」のことです。古代日本で、氏と姓によって豪族の身分や職務を表したしくみを、氏姓制度(しせいせいど)といいます。
氏は、血のつながりを中心にまとまり、職務や住む土地とも結びついた豪族の集団の名前です。
氏には、本拠地の地名に由来するものや、王権での職務に由来するものがありました。
姓は、朝廷(天皇)から与えられた世襲の称号であり、一族の職務や王権との関係、政治的ランクなどを示す称号でもありました。
氏姓の例は以下のとおりです。
●蘇我臣(そがのおみ)
「蘇我」が氏、「臣」が姓です。
蘇我は本拠地の地名に由来する氏で、臣は、地名を氏の名とする豪族に与えられた姓です。
●大伴連(おおとものむらじ)
「大伴」が氏、「連」が姓です。
大伴は朝廷での職務に由来する氏で、連は、職務を受け継いで朝廷に仕える豪族に与えられた姓です。
●物部連(もののべのむらじ)
「物部」が氏、「連」が姓です。
物部も職務に由来する氏で、大伴と同じく連を与えられました。
臣と連は特に重んじられた姓で、臣や連の豪族の中から大臣(おおおみ)・大連(おおむらじ)が選ばれ、天皇を助けて政治を担ったとされています。
また、日本を代表する民俗学者の柳田国男(やなぎたくにお・1875年~1962年)は、氏神様を単なる「地域の守り神」ではなく、祖先の霊が長い時間を経て神となり、子孫や土地を守る存在になったものとして捉えました。
つまり、亡くなった人の霊は、子孫に供養されるうちに、三十三回忌などを区切りに一人ひとりの区別がなくなってご先祖様の霊としてひとつにまとまり、それが氏神様になる、という考え方です。
出典:コトバンク「祖霊」

柳田国男 出典:Wikimedia Commons
氏神神社と合わせて知っておきたいのが、崇敬神社です。
氏神神社が「自分が住んでいる地域の神社」であるのに対し、土地や血縁とは関係なく、個人が特別に信仰する神社のことを「崇敬神社(すうけいじんじゃ)」といいます。
崇敬は、神様や神社を、尊い存在として深く敬い、信仰することです。
氏神神社や崇敬神社の御神札を神棚にお祀りする方法は、こちらで紹介しています。
関連:神棚の扉は開けっ放しにしていい?閉めたほうがいい?半開きがいい?
産土神
読み方は「うぶすながみ」です。
- 産土(うぶすな)
- 産土の神(うぶすなのかみ)
- 産土神様(うぶすながみさま)
ともいいます。
特定の神様の名前ではなく、自分自身が生まれた土地を守護する神様のことです。
「産土」は「生まれた土地」や「生まれ育った土地」という意味があります。
出典:コトバンク「産土神」

粉河産土神社(和歌山県) 出典:Wikimedia Commons
産まれる前から死んだ後まで守護する神様といわれており、引越しなどでその土地を離れてもずっと守護してくれると信じられています。
鎮守
読み方は「ちんじゅ」です。
- 鎮守神(ちんじゅがみ)
- 鎮守様
ともいいます。
村や町などの土地や、神社や寺、城など建物を守護するために祀られた神様のことです。
鎮守の祀られている神社を「鎮守社(ちんじゅしゃ)」といいます。
すべての土地や建物に鎮守が祀られているわけではないため、鎮守社のない土地や建物もあります。

鎮守も、神様の名前ではなく、土地や建物を守る神様の呼び方です。
たとえば、村の人々が村全体を守る神様として神社に祀った神様は「村の鎮守」と呼ばれます。
寺院を守るために祀られた神様であれば、その寺院の鎮守神です。
出典:コトバンク「鎮守」
氏神・産土神・鎮守の違い
氏神、産土神、鎮守の違いは、守護する対象です。
簡単にまとめると、
- 氏神は、自分自身が住んでいる地域を守護する神様
- 産土神は、自分自身が生まれた土地を守護する神様
- 鎮守は、土地や建物を守護する神様
ということです。
このように、厳密にはそれぞれ守護する対象が異なります。
しかし、いつしか混同され、はっきり区別することが難しくなっています。
氏神は、鎌倉時代(1185年~1333年)ごろから、その土地を守る鎮守や産土神と混同されるようになったといわれています。
例えば、生まれた村で一生を過ごす人にとっては、その村の鎮守が、生まれた土地の神様である産土神でもあり、住んでいる地域の神様である氏神でもあります。
こうして、同じ神社を氏神とも産土神とも鎮守とも呼ぶようになり、次第に3つの言葉はほぼ同じ意味で使われるようになったのです。
自分の氏神様の調べ方は?
自分の氏神様を調べる方法はいくつかあります。
●神社庁に問い合わせる
まず、日本の神社の多くは、神社本庁という組織に属しています。
神社本庁は、伊勢神宮を全国の神社の中心として仰ぎ、全国約8万の神社をまとめている宗教法人です。
その地方機関として、各都道府県にそれぞれ神社庁が置かれています。
出典:コトバンク「神社本庁」

神社本庁(東京都渋谷区) 出典:Wikimedia Commons
自分が住んでいる都道府県の神社庁に問い合わせることで、氏神様を教えてもらうことができます。
また、神社庁によっては公式HPで検索することもできます。
たとえば、岡山県神社庁のホームページでは、住所から氏神様を調べられます。
神奈川県神社庁のホームページでは、市区町村から神社を探せます。
●近所の神社に問い合わせる
近所の神社にいらっしゃる神職に問い合わせると、教えてもらうことができます。

家から一番近い神社でも氏子地域に該当しないケースもありますので、自分の判断だけで「この神社が氏神様」と決めない方が良いです。
●ご近所さんに聞いてみる
昔から住んでいるご近所さんの場合、その地域がどこの氏子なのか知っていることがあります。
引っ越したらどうなる?
産土神は、生まれた土地との関係で結びつく神様です。
そのため、引っ越しによって生まれた土地を離れても、産土神との関係は変わらないと考えられています。

一方、氏神や鎮守は、現在住んでいる土地との関係が深い神様です。
そのため、引っ越しをすると、これまで住んでいた土地の氏神や鎮守との関係が変わり、新しい居住地の氏神や鎮守をお参りすることになります。
引っ越しの前後には、これまでお守りいただいた氏神や鎮守に、お礼の挨拶をすると良いでしょう。
引っ越し後には新しい居住地の氏神や鎮守に挨拶に行きますが、引っ越しの片づけが終わって落ち着いてからでも良いですし、初詣の時でも構いません。
御神札とは、神社が発行するお札のことです。
御神札(ごしんさつ・おふだ)をいただいている場合に返納するか、引っ越し後もお祀りするかは、神社ごとに対応が異なるため、授かった神社に相談しましょう。
産土神との関係は引っ越し後も続くと考えられていますが、産土神の御神札も、氏神や鎮守と同じように、授かった神社に扱いを確認すると安心です。

御神札(ごしんさつ・おふだ)
お守りは、引っ越しをしたからといって返さなければならない決まりはありません。1年ほどを目安に、授かった神社の古札納め所に納めるのが一般的で、遠くに引っ越した場合は、近くの神社に納める方法もあります。

いかがでしたでしょうか?
現在、氏神様、産土神、鎮守は「地域の守り神」として区別せずに使われることが多くなっています。
みなさんのお住まいの地域では、氏神様・産土神・鎮守を区別して呼んでいますか?
自分の氏神様がわかったら、ご挨拶に行くとよいでしょう。
決まった時期はないので、初詣などに合わせて、自分の都合のよいときにお参りすれば十分です。
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