福岡と博多の違いとは?なぜ福岡駅ではなくて博多駅なの?

  • URLをコピーしました!

福岡と博多の違いとは?

みなさんは「福岡」「博多」の違いをご存知ですか?

「福岡市と博多市という、市区町村の違いじゃないの?」とか「同じ場所だけど呼び方が違うだけでしょう?」という声が聞こえてきそうですね。

福岡空港からほど近く、新幹線の停車駅でもある「博多駅」はなぜ「福岡駅」ではないのでしょうか?

今回は「福岡」と「博多」の違いについて解説します。

スポンサーリンク

目次

「福岡」と「博多」の歴史とは?

「福岡」よりも「博多」の方が歴史は古く、2000年以上前から中国大陸との接点があったといわれています。

「続日本紀(しょくにほんぎ・797年)」という文献では、現在の博多湾のことだと考えられている「博多大津(博多津)」という地名が出てきます。

飛鳥時代(592年~710年)の後半ごろ、「大宰府(だざいふ)」という行政機関が現在の福岡県に設置されたときに、博多大津は日宋貿易(日本と現在の中国との貿易)の拠点となり、遣唐使を派遣する船の港となったこともあり、港周辺は貿易都市として発展していきました。

江戸幕府ができる前は、小早川秀秋(こばやかわひであき)が博多一帯を治めており、このころの博多は、那珂川(なかがわ)と御笠川(みかさがわ)に挟まれた地域を指していました。

那珂川(なかがわ)と御笠川(みかさがわ)に挟まれた博多

 

 

その後、関ヶ原の戦い(1600年)で功績を残した黒田長政(くろだながまさ)が博多やその周辺地域を治めることとなり、黒田長政が生まれた備前国邑久郡福岡(現在の岡山県長船町)にちなんで「福岡」と名付けました。

黒田長政は1607年に、何もなかった場所を開拓して福岡城(別名、舞鶴城)を築城し、それまで「博多」と呼ばれていた一帯も「福岡」という呼び方に変えようとしました。

しかし、博多の人々の猛反発にあい、「博多」はそのままに、福岡城を建てた場所一帯だけを城下町とし「福岡」と呼ぶようにしました。

 

江戸時代(1603年~1868年)の間、福岡城の城下町で武士が住む「福岡」と、商人たち町人の住む「博多」は関所で区切られており、言葉遣いも異なっていたようです。

そのため、現在も「博多弁」は那珂川と御笠川に挟まれた地域で主に使われ、それ以外は「福岡弁」が使われています。

 

明治4年(1871年)の廃藩置県(はいはんちけん)によって、それまで筑前国、筑後国、豊前国の一部だった地域が「福岡県」になりました。

廃藩置県とは、それまで261あった「藩」の地方統治を廃止し、府県を置くことで中央集権体制にしたものですが、それに伴い、福岡と博多は「福岡市」となったのです。

 

この時、

「福岡市ではなく博多市にすべきだ」

「福岡市と博多市を分離すべきだ」

という声があったそうですが、行政区が「福岡県」となったこともあり、最終的に「福岡市」に決まったそうです。

 

スポンサーリンク

「福岡」と「博多」の違いとは?

どちらも「福岡県」にある地域を指しており、「福岡市」の中に「博多区」があります。

「ということは、博多区のことを『博多』と呼ぶの?」と思ってしまいますが、「福岡」と「博多」の定義は以下のようにさまざまです。

●福岡城の城下町だった場所を「福岡」と呼ぶ

 

●福岡市全体(博多区、東区、早良区、城南区、西区、中央区、南区)を「福岡」と呼ぶ

 

●西鉄福岡(天神)駅周辺を「福岡」と呼ぶ

 

●福岡市博多区を「博多」と呼ぶ

 

●博多駅周辺を「博多」と呼ぶ

 

●福岡市全体を「博多」と呼ぶ

 

●福岡市とその周辺、春日市、志免町、大野城市、糸島市など広い範囲を「博多」と呼ぶ

 

●那珂川と三笠川に挟まれた「博多弁」を使う地域を「博多」と呼ぶ

定義はさまざまですが、一般的に博多といえば「博多駅やその周辺」を指すことが多いようです。

しかし、昔から住んでいる人は「博多弁を使う地域」を「博多」と呼び、それ以外の福岡市を「福岡」と呼ぶなど、「博多」と「福岡」を厳密に分けているようですよ。

 

なぜ福岡駅ではなくて博多駅なの?

「西鉄福岡(天神)駅」が、西日本鉄道天神大牟田線の駅として大正13年(1924年)に福岡市中央区に開業していますが、ここでは福岡市博多区にある「JR博多駅」についてのお話になります。

明治4年(1871年)に福岡市が発足した後、明治22年(1889年)に九州初の鉄道が開通します。

その時、市の名前はすでに「福岡市」と決まっていたものの、この時もまだ「博多市にすべきだ!」など「福岡」と「博多」の戦いが続いていました。

そこで、「博多派」をなだめためるため、駅名を「博多駅」にしたといわれています。

福岡駅ではなく博多駅になったのはこのような理由があったのですね。

博多駅

「福岡」と「博多」の違いがわかりましたか?

新幹線の開通で「博多駅」が全国に知られるようになり、「福岡と言えば博多」というイメージが広まったと考えられています。

観光で訪れる際には、「福岡」と「博多」の違いを思い出しながら、うどんや豚骨ラーメン、もつ鍋や水炊きなどグルメを楽しんだり、福岡城跡や博多駅、太宰府天満宮などを巡ってみてはいかがでしょう?

 

関連:九州は7県なのになぜ九州なの?語源と由来とは?

関連:熊本県はなぜ「火の国」なの?その由来とは?

関連:【都道府県名の由来】47都道府県の名前の由来や語源とは?

関連:「関西」「近畿」「畿内」「上方」「なにわ」の意味と違いとは?

 

スポンサーリンク
スポンサーリンク
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次