5月5日はこどもの日という祝日ですが、端午の節句でもありますね。
端午の節句に欠かせないのが、五月人形です。
五月人形にはいろいろな種類がありますが、なぜ端午の節句に飾るのかその意味をご存知ですか?
今回は、五月人形について解説します!
五月人形を飾る意味とは?
読み方は「ごがつにんぎょう」です。
五月人形は、端午の節句に 男の子の誕生を祝い、強くたくましく賢い大人になるよう願いを込めて飾ります。
また、 男の子に降りかかる災いの身代わりになってくれるとも考えられています。
五月人形は鎧や兜・金太郎・張子の虎・弓と太刀などいろいろなものがありますが、それぞれどんな意味あるのか見ていきましょう。
鎧と兜
鎧(よろい)と兜(かぶと)は戦争の道具であると同時に身を守る大事な道具でした。
そのことから、 子供の病気や災いなどから子どもを守ってくれると考えられるようになり飾られるようになったといわれています。
金太郎
昔話の金太郎のモデルは、平安時代に実在した坂田金時(さかたきんとき・幼名が金太郎)といわれています。
坂田金時は源頼光(平安時代中期の武将)の家来となって活躍し、さまざまな伝説が生まれ、歌舞伎や浄瑠璃の題材として演じらるようになり広く知られるようになりました。
金太郎の人形を飾るのは、 金太郎のように健康ですこやかに育ってほしいという願いが込められているそうです。
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張子の虎
張子の虎(はりこのとら)は、主に関西地方で飾られており、飾る意味は三つあるそうです。
一つ目は、虎は強くたくましい動物なので、 虎のように強くたくましく成長することを願う意味があります。
二つ目は、中国では神聖な生き物として崇められていたことから、 厄除けや魔除けの意味があります。
三つ目は、虎の骨は病気を治す薬にもなるといわれていることから、 無病息災を願う意味があります。
弓矢と太刀
弓矢(ゆみや)と太刀(たち)を飾るのは、 魔除けの意味があります。
弓矢は悪いもの(魔)を退治するということで「破魔(はま)」という字が当てられ、破魔矢(はまや)といいます。
破魔矢は魔除けの矢として飾られます。
太刀は、刀とは違い、戦うための道具ではなく儀式などに使う道具でした。
五月人形の太刀は刀より短く、太くて反りが大きいのが特徴で、光り輝いています。
魔物は光る物を嫌うと考えられており、 太刀は魔除けの護身具と飾られます。
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桃太郎
桃太郎は、サル、キジ、イヌをお供に鬼が島に向かい、人々を苦しめた鬼を退治します。
桃太郎を飾るのは、 桃太郎のように強く、健やかにたくましく成長して欲しいという願いが込められています。
また、 サル、キジ、イヌを従えたことから人望のある人になって欲しいという願いも込められているそうです。
大将飾り
大将飾りは、子どもが鎧兜を着用して武将の格好をしています。
子どもに降りかかる災難の身代わりとなってくれる人形という意味と、武将のように強くたくましく成長して欲しいという願いが込められているそうです。
鐘馗(しょうき)
鐘馗(しょうき)は、中国に伝わる神様です。
もともと唐の時代に実在した人物といわれ、大変な努力をして勉強をし、官吏(かんり・現在の国家公務員のこと)の試験を受けますが、顔が醜(みにく)いことを理由に不合格にさせられました。
それに抗議するため自ら命を絶ってしまいますが、唐の第9代皇帝である玄宗(げんそう)によって手厚く葬られたそうです。
その後、玄宗が病気になった時に夢の中で小鬼を退治する大鬼が現れました。
皇帝がその大鬼に名前を尋ねると自分は鐘馗だと答え、手厚く葬られた恩に報いるためにやってきたと言いました。
夢から覚めた玄宗の病気はすっかりよくなっていたそうです。
そして、夢で見た鐘馗の姿を絵師に描かせ、その絵を厄除けや受験の神として飾る風習が生まれたそうです。
この風習が室町時代に日本にも伝わり、江戸時代末ごろになると鍾馗の五月人形が作られるようになったそうです。
鐘馗を飾る意味は次のとおりです。
「大変な努力をして官吏を受験する=学業成就」
「恩に報いる=情の厚い優しい人に成長してほしい」
「病魔を倒す=厄除け」
屏風
屏風は、五月人形の後ろに立てておくもので、図柄にはいろいろな種類があり、それぞれの意味は以下のとおりです。
「風神・雷神」は家や子どもを邪気から守るといわれています。
「龍」は福を招くとされています。
「虎」は男の子の健やかな成長を願う意味があります。
「鯉」は強く威勢よく生きることを象徴しているといわれています。
「赤富士」は縁起がよいといわれています。
名前旗
本来であれば、男の子一人に一つの五月人形を飾るのが良いのですが、昨今の住宅事情や金銭的な問題などで難しくなり、複数の兄弟に一つの五月人形を飾ることが増えています。
その際、五月人形と一緒に 名前や誕生日などが刺繍された豪華な名前旗を飾ることで男の子一人一人の健やかな成長や無病息災などを願うようになったそうです。
その他、五月人形には以下のようなものがあります。
兜差(かぶとさし)
兜差(かぶとさし)は、子どもが兜を手に持っている人形です。
鎧や兜、大将飾りなどメインとなる五月人形の脇に飾ることが多く、男の子の初節句で親しい人が贈る人形として人気があります。
三品
三品とは、戦に欠かせない道具である次の3つのことです。
「軍扇(ぐんせん・軍を指揮するための道具)」
「陣笠(じんがさ・兜の代用として用いた笠)」
「陣太鼓(じんだいこ・自分の軍に合図を送る道具)」
鎧や兜などの前に、3つセットで飾ります。
三宝(三台ともいいます)
三宝(さんぽう)とは、次の3つのことです。
「瓶子(へいし・お酒を入れる壷)に菖蒲を挿したもの」
「柏餅(かしわもち)」
「粽(ちまき)」
一番上の段に鎧や兜、二段目に三品、三段目に三宝を飾ると、五月人形のフルセットになります。
五月人形は誰が買う?
昔は、結婚する際に女性の実家が準備する「嫁入り道具」のひとつに五月人形もあったそうです。
嫁入り道具として持たせない場合は、嫁いだ娘とはなかなか会えないので、母方の祖父母が節句のたびに必要なものを買って娘の嫁ぎ先に持っていき、娘や孫に会う口実にしていたそうです。
また、関東や中部地方など東日本では、男の子が家の跡継ぎということで、父方の祖父母が買って贈る習慣もあったようです。
現在も昔ながらの習慣が残っている地域もありますが、男の子の両親、父方・母方どちらの祖父母が買って贈るのかはご家庭によってさまざまです。
五月人形にはいろいろな種類があり、それぞれ意味があることがわかりましたね。
厄除けや無病息災、健やかな成長など、男の子が無事に成長していくことを願って飾るのですね。
昨今は、住宅事情などにより、場所を取らない小さな五月人形が多くなっているようです。
五月人形が大きくても小さくても、込められた気持ちは同じですよね!
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