日本には昔から十五夜の日にお月見をする風習がありますが、十五夜以外にもお月見を楽しむ日があるのをご存知でしょうか?
それは「十三夜」と呼ばれる日です。
あまり聞き慣れない言葉ですが、十三夜の読み方と意味、由来とはどのようなものなのでしょうか?
また、十三夜の食べ物や、2024年はいつなのかについて解説いたします。
十三夜の読み方と意味とは?
十三夜の読み方は「じゅうさんや」です。
十三夜とは、旧暦の毎月13日の夜のことを指し、特に旧暦の9月13日に巡ってくる月のことをいいます。
十五夜の事を「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」といいますが、十三夜は、十五夜の約一か月後に巡ってきます。
そのため、別名を「後の名月(のちのめいげつ)」といいます。
他にも、「後の月(のちのつき)」と呼ばれたり、栗や大豆(枝豆)をお供えする事から「栗名月(くりめいげつ)」や「豆名月(まめめいげつ)」とも呼ばれています。
十五夜のころはまだ夏の暑さが残っており、雨が多いのですっきりしない夜空が多いのですが、十三夜のころになると晴れの日が多く、涼しくなって空気も澄んでいるので月がより美しく見えます。
そのため、『十三夜に曇りなし』という言葉があります。
また、昔の人々は完全な姿の満月よりも、満月が少しだけ欠けた十三夜の月に風情や趣を感じてお月見をしていたのかもしれません。
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2024年の十三夜はいつ?
旧暦の9月13日は新暦では10月の中旬から下旬ごろに巡ってきます。
今年2024年の十三夜は10月15日(火)です。
(旧暦9月13日の日付を新暦に直すと毎年ずれが生じるため、十三夜の日付は毎年違います。)
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十三夜の由来
十五夜は平安時代(794年~1185年)頃に中国から日本に伝わり広まった風習ですが、十三夜は日本固有の風習です。
なぜ旧暦9月13日なのかは諸説あります。
宇多天皇が由来という説
藤原宗忠(ふじわらのむねただ・1062年~1141年、平安後期の公家)の「中右記(ちゅうゆうき)」という日記のなかに、
第59代天皇の宇多天皇(うだてんのう・在位887年~897年)が、旧暦9月13日の月を愛で「今夜の名月は並ぶものがないほど優れている」と称賛し、この日を「名月の夜」と定めた
と書かれており、これが由来という説があります。
醍醐天皇が由来という説
延喜19年(919年)に第60代天皇の醍醐天皇(だいごてんのう・在位897年~930年)が十五夜の宴に加えて、旧暦9月13日にも観月の宴を行ったのが十三夜の月見の始まりという説があります。
なぜ旧暦9月13日だったのか定かではありませんが、醍醐天皇の父親である宇多天皇が旧暦9月13日の月を愛でていたことから、醍醐天皇の時代にはすでに十三夜を愛でる習慣があったのではないかと考えられています。
収穫祭が由来という説
旧暦9月13日は稲の収穫を迎える地域が多いことから、十三夜は秋の収穫祭の一つだったのではないかという説があります。
十三夜の食べ物は何?
十五夜と同じように、十三夜でもすすきや月見団子をお供えします。
それ以外にも、栗や大豆、かぼちゃ、じゃがいも、大根、レンコンなど秋に収穫された野菜や秋の七草を供えします。
これらをお供えするのは、収穫や豊作に感謝する意味があるそうです。
お供えをして感謝をしたあとは、おいしくいただきましょう!
秋の七草についての詳細は以下をご覧ください。
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縁起が悪い「片見月」
十三夜は十五夜の次いで美しい月と言われ、一般的に十五夜にお月見をしたら十三夜にも必ずお月見をするものとされていました。
そのため、どちらか一方の月しかお月見しないことを「片見月(かたみづき)」または「片月見(かたつきみ)」と呼び、縁起がよくないとされています。
十五夜や十三夜は二回来る!?
旧暦は、月の満ち欠けを基準としており、一か月は新月から次の新月までの期間で、平均して29.5日間となり、一年間が354日になります。
太陽の動きを基準とする1年(365日)より11日短く、3年で約一か月のズレが生じることになり、実際の季節とだんだんずれてしまうことになります。
そのずれを解消するためにおよそ3年に1度「閏月(うるうづき)」を挿入して調整しています。
閏月が挿入された年は「13か月」あることになります。
この閏月が8月の後に挿入された場合は「閏八月」となり、8月が2度巡ってくることになるため、二度目の十五夜が発生し「後の十五夜」と呼ばれます。
同様に9月の後に挿入された場合は「閏九月」となり8月が2度巡ってくることになるため、二度目の十三夜が発生し「後の十三夜」と呼ばれます。
閏月はおよそ3年に一度挿入されますが毎回同じ月に挿入されるわけではありませんので、8月や9月に挿入されることはとても珍しい事です。
この珍しい閏月による「後の十三夜」は、近年では2014年11月5日に約171年ぶりに発生しました。
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いかがでしたでしょうか?
今までお月見と言えば十五夜のイメージでしたが、十五夜だけでは片月見という状態だったのですね。
十五夜の満月も良いですが、満月より少しだけ欠けた十三夜の月も風情があって良いですよね。
せっかくですので今年のお月見は「中秋の名月」も「後の名月」もどちらも楽しんで縁起を担ぎたいものですね!
この時期、夜は冷え込みますから、暖かい格好をして十三夜の美しい月を楽しみましょう。
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