夏になると、
「今年は新盆ですね」
「そろそろ初盆の準備を始めようかしら」
という会話を耳にすることはありませんか?
新盆と初盆の意味をご存じですか?
自宅で新盆や初盆をする場合、親族や親しい友人知人を招きお坊さんにお経をあげていただくことになりますが、そのときのお布施の相場やお返しはいくらなのでしょう?
今回は、新盆・初盆の意味や、時期、やることについてわかりやすく解説します。
新盆・初盆の意味とは?
「新盆」と「初盆」は、どちらも 四十九日を過ぎてから初めて迎えるお盆のことです。
呼び方が異なるだけで意味は同じです。
基本的に
関東では「新盆(にいぼん)」
関西では「初盆(はつぼん)」
といいます。
但し、関東でも
「新盆(あらぼん)」
「新盆(しんぼん)」
「入盆(にゅうぼん)」
と呼ぶ地域や、
九州や四国では「初盆(ういぼん)」
と呼ぶ地域もあります。
仏教では、人は亡くなった日から7日ごとに7回にわたって、閻魔大王(えんまだいおう)をはじめとする7人の神から生前の裁きを受けるといわれています。
そして、四十九日目にその後の行先が決まると考えられています。
行先は「六道(りくどう・ろくどう)」と呼ばれ、
「天道(てんどう)」
「人間道(にんげんどう)」
「修羅道(しゅらどう)」
「畜生道(ちくしょうどう)」
「餓鬼道(がきどう)」
「地獄道(じごくどう)」
の6つあります。
仏教では、人が生死を繰り返すことを輪廻転生(りんねてんせい)といいます。
そして、六道で苦しみ迷いながら生死を繰り返すことを「六道輪廻(りくどうりんね・ろくどうりんね)」といいます。
六道輪廻から解脱(げだつ・離れること)することで極楽浄土に行くことができると考えられています。
関連:六道(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)の意味とは?
四十九日までは故人の魂の行先が決まっていないため、現世(私たちのいる世界)とあの世をさまよっているといわれています。
そのため、行先が決まる四十九日に故人が極楽浄土へ行けるように遺族が四十九日法要を行うのです。
そして、お盆には故人の魂があの世から里帰りします。
お盆の前に四十九日が終わっている場合は、その年のお盆が「新盆・初盆」になります。
お盆の後に四十九日を迎える場合は、翌年のお盆が「新盆・初盆」になります。
お盆の直前やお盆の期間中に四十九日を迎える場合、「新盆・初盆」と四十九日法要が近いと遺族も大変で気ぜわしいですよね。
そのため、この場合も翌年にするのが一般的です。
どうしても都合が悪いからと「新盆・初盆」と四十九日法要を近い日・同じ日に行うこともあるそうですが、「新盆・初盆」と四十九日法要は別々に行います。
一般的には、四十九日法要をしてから「新盆・初盆」をすることになるので、ご遺族だけで決めずにお寺に相談するようにしましょう。
「新盆」「初盆」の時期とやることは?
新盆・初盆は初めてのお盆のことですが、時期は地域によって異なり以下のようになります。
●東京を中心とした一部地域
7月13日~16日の4日間
●それ以外の多くの地域
8月13日~16日の4日間
関連:「お盆」や「七夕」の時期が地域によって違うのはなぜ?7月と8月の地域はどこ?
新盆・初盆はその人が亡くなってから初めて迎えるお盆ということで、盛大に供養が行われます。
親族や親しい友人知人を招き、僧侶に法要をしていただきます。
お供え物やお盆飾りなどを華やかに飾りつけ、盛大に行い、法要が終わったら会食をします。
関連:2024年の「お盆飾り」いつ出していつ片付ける?期間はいつからいつまで?
会食は、自宅で調理したり、仕出しを利用したり、料亭やレストランなどで外食にしたりと、ご家庭によってさまざまです。
お布施の相場やお返しは?
お布施やお返しの相場は以下のとおりです。
お布施の相場
「お布施(おふせ)」とは、僧侶にお渡しするお金のことです。
「お布施はお気持ちで」と言われることが多いですが、一般的に初盆・新盆の場合は 30,000円~50,000円を目安にしている人が多いようです。
また、僧侶に家に来ていただくなど、移動がともなう場合は、交通費として「お車代」が必要になります。
その際は、 お布施とは別に5000円~10000円をお車代としてお渡します。
タクシーを利用する場合、施主(せしゅ・費用を支払う人)が手配と支払いを行いますので、お車代を僧侶にお渡しする必要はありません。
また、僧侶が法要後の会食を欠席される場合は「御膳料(おぜんりょう)」をお布施とは別にお渡しします。
御膳料の相場は5000円~20000円です。
「お布施」「お車代」「御膳料」の渡し方のタイミングやマナーにつきましては以下の記事をご覧ください。
リンク:葬儀でのお布施の渡し方のタイミングやマナー、書き方や相場(金額)について
法要のお返し
また、新盆・初盆で香典をいただいた場合、必ずお返しをします。
お返しは、 3000円~5000円の品物を用意しましょう。
・お茶
・海苔
・お菓子
・洗剤
・そうめん
・水菓子
などが定番です。
お供えのお返し
また、新盆・初盆の時期にお供えをいただいた場合、
お供えの半額~三分の一くらいの品物をお返ししましょう。
5000円程度の品物の場合は、1500円~3000円程度の品物ということになりますね。
なるべく早めに送るようにし、遅くとも二週間以内には届くようにしましょう。
お返しには、のし紙とお礼状を添えます。
のし紙は弔事用を使います。
水引は「黒白結び切り」もしくは「黄白結び切り」です。
のし紙の表書きは、
上の段には、
「志」「初盆志」「初盆会」「初盆供養」「新盆志」「新盆供養」「粗供養」「新盆祭志」
と書きます。
下の段には、
「施主氏名(フルネーム)」「○○家」「苗字のみ」
を書くのが一般的です。
のし紙についての詳細はこちらをご覧ください。
お返しに添えるお礼状を書くには、いくつかのポイントがあります。
●故人の名前を必ず入れます。
●句読点は使いません。
●縦書きで書きます。
●手書きが丁寧ですが、最近は印刷したものでも良いとされています。
お礼状の例文をいくつかご紹介します。
例文1
拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます
このたびは 亡父 ○○○○儀 初盆に際しましては お暑い中また ご多忙中にもかかわらずお集まりいただき 鄭重なるご厚志を賜り大変有難く存じております
つきましては 初盆供養のしるしとして ささやかではございますが 心ばかりの品をご用意いたしました 何卒ご受納賜りたくお願い申し上げます
略儀ながら書中をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
敬具
例文2
拝啓
時下ますますご清祥のことと心よりお慶び申し上げます
亡母 〇〇〇〇儀 初盆に際しましては ご鄭重なるご厚志を賜り大変有難く存じております
故人もさぞかし浄土において感謝していることと思います
本来であれば拝眉の上お礼を申し上げるべきところではございますが
略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
例文3
拝啓
時下ますますご清祥のことと心よりお慶び申し上げます
亡夫 〇〇〇〇儀 初盆に際しましては ご鄭重なるご厚志を賜り大変有難く存じております 故人もさぞかし浄土において感謝していることと思います
つきましては亡夫の初盆供養のしるしとして心ばかりの品をお送りいたします
何卒ご受納賜りたくお願い申し上げます
本来であれば拝眉の上お礼を申し上げるべきところではございますが 略儀ながら書中をもちましてお礼かたがたご挨拶申し上げます
敬具
例文4
拝啓
時下ますますご清祥のことと存じます
この度 故 ○○○○のために過分なるご厚志を賜り誠に有り難うございました 心より御礼申し上げます
時節柄お身体に気を付けてお過ごしくださいませ 本来ならばお目にかかってお礼を申し上げるべきところですが 略儀ながら書中をもちまして謹んでご挨拶申し上げます
敬具
新盆と初盆は呼び方が異なるだけで同じ意味だったのですね。
呼び名だけではなく、お盆の時期や、やること、お布施や香典も、地域やご家庭、宗派で異なります。
今年、新盆・初盆を迎える方は、親戚の人や檀家となっているお寺さんに相談をしてから、準備をすすめるといいのではないでしょうか。
亡くなった人にとって最初のお盆、生前にご縁のあった方々を招いて供養をすることができるといいですね。
関連:【2024年】「お盆」の期間はいつからいつまで?お盆の由来や意味とは?
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