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「お盆」や「七夕」の時期が地域によって違うのはなぜ?7月と8月の地域はどこ?

      2019/07/04


 

みなさんがお住いの地域では、「お盆」「七夕」はいつですか?

ほとんどの人が「お盆は8月で、七夕は7月だよ」とおっしゃるかもしれませんが、「お盆は7月」「七夕は8月」という地域もあります。

「お盆」も「七夕」も、日本各地で行われている行事なのに、なぜ地域によって日にちが異なるのでしょう?

今回は、「お盆」と「七夕」の時期が違う理由と7月と8月それぞれの地域でいつ行われるのか、ついて調べてみました!


「お盆」とは?

「お盆」は仏教による行事で、奈良時代(710年~794年)から行われており、仏教用語では「盂蘭盆会(うらぼんえ)」とか「盂蘭盆(うらぼん)」とも言われています。

 

「お釈迦様の弟子の一人で、何もかも見通すことができる神通力を持っていた人物が、亡き母親の姿をみたところ、母親が餓鬼道(がきどう)に落ちて苦しんでいたため、お釈迦様の言葉に従ってその母親を救うために、多くの僧を招いて一心に供養したところ、たちどころに救われた」ということが盂蘭盆経という経典の中に書かれています。

 

餓鬼道とは欲深い者が行く世界で、ガリガリにやせ細り、皮と骨だけの姿をした餓鬼が住む世界です。

 

生前、自己中心的で欲望のままに生きた人が生まれ変わる世界といわれており、食欲があっても食べられず、喉がかわいても飲むことができず、常に飢えと喉の渇きに苦しみ続けます。

このように、亡くなった先祖が地獄に落ちたりしないよう、もし落ちていたら救われるようにと始まったのが「お盆」という行事です。

 


 

日本では「この時期に、先祖の魂が里帰りをしてくる」とも言われており、家族や親族が集まって、先祖の魂と一緒にお寺や自宅でお坊さんにお経をあげてもらい、先祖への感謝の念と現世の人々の安寧を祈る行事として定着しています。


「七夕」とは?

七夕は五節句(ごせっく)のひとつです。

 

五節句とは、

●1月7日「人日(じんじつ)の節句」

●3月3日「上巳(じょうし)の節句」

●5月5日「端午(たんご)の節句」

●7月7日「七夕(しちせき)の節句」

●9月9日「重陽(ちょうよう)の節句」

の五つの節句のことをいいます。

 

五節句の「節」は季節の変わり目という意味があり、「節句(せっく)」は季節の節目に五穀豊穣、無病息災、子孫繁栄などを祈り、神様へお供え物をしたり、邪気を祓ったりする行事のことをいいます。

「節句」は「節供(せっく)」とも言われ、神様にお供えする食べ物を意味します。

 

中国では、奇数は縁起の良い日、偶数はその逆で縁起が悪い日と考えられていました。

奇数の月と奇数の日は、奇数(陽)が重なって偶数(陰)になるということで、それを避けるために季節ごとの旬の食べ物を食べ、生命力をもらい、その力で邪気を祓う目的で避邪(ひじゃ・魔除けという意味)が行われていました。

 

五節句は中国の唐の時代(618年~907年)にはすでに制度として整えられており、日本へは奈良時代(710年~794年)に伝わって宮中行事になったと言われています。

 


 

「七夕(しちせき)の節句」の7月7日に一年に一度だけ織姫と彦星がめぐり逢うという伝説がありますが、「織姫」と「彦星」はそれぞれ夏の星座の「こと座のベガ」と「わし座のアルタイル」のことで、この時期に天の川をはさんで、ベガとアルタイルが最も光り輝くため、この伝説が生まれたといわています。

そして、農業に適したこの時期になると明るくなる「彦星」を農業をつかさどる星をして、同じ時期に天の川を挟んで明るくなる「織姫」を裁縫を司る星と考えるようなりました。

そして、裁縫を司る星である織姫にあやかって、裁縫が上達するように願いを込め、庭先に針や糸などの裁縫道具を供えて星に祈る「乞巧奠(きこうでん)」という行事が行われました。

 

織姫と彦星の伝説や、乞巧奠が中国から日本に伝わり、もともと日本にあった、乙女が神様のために着物を織る「棚機(たなばた)」という神事が結びつき、七夕が日本に定着したと考えられています。

 

「七夕」は本来「しちせき」という読み方ですが、「たなばた」と読まれているのは「棚機」の読み方を当てたのではないかと考えられています。

 

現在の「七夕」では、裁縫だけではなく、勉強や芸事、恋愛や五穀豊穣などさまざまな願い事を書いた短冊を、色とりどりの飾りと一緒に笹に吊ります。


「お盆」や「七夕」の時期が地域によって違うのはなぜ?7月と8月の地域はどこ?

もともとお盆は旧暦の7月15日、七夕は旧暦の7月7日に行われていました。

現在私たちが使っている暦は、「太陽暦(グレゴリオ暦)」です。

この太陽暦が採用されたのは明治5年(1872年)で「新暦」といい、それまでの使用されていた「太陰太陽暦」を「旧暦」といいます。

旧暦が月の満ち欠けを基準にしているのに対し、新暦は地球が太陽の周りを回る周期を基準にしているため、旧暦と新暦には1ヶ月ほどのずれがあります。

そして、旧暦から新暦に変わった時にこの1ヶ月ほどのずれのため、お盆と七夕を「いつ行うか」ということで、その判断が地域によって異なったようです。

 

◆お盆の場合

お盆の場合、主に東京など一部地域では旧暦の日付7月15日をそのまま新暦に引き継ぎ7月15日としており、現在、毎年7月15日がお盆になっています。

その他の8月がお盆の地域は、旧暦と新暦のずれを考慮し、ちょうど1ヶ月遅らせた8月15日がお盆になっています。

このように、単純に1ヶ月遅らせることを「月遅れ」といいます。

月遅れの場合は、新暦の7月は農作業が忙しい時期でもあるため8月にしたとか、1ヶ月ずれると「季節感」が変わってしまうため、旧暦と同時期に行事を続けたるため、1ヶ月遅らせ8月にしているといわれています。

 

7月と8月の地域は以下のとおりです。

 
●お盆の時期
7月の地域東京都、神奈川県、埼玉県、静岡県の一部、北海道函館市の一部、石川県金沢市の一部など
8月の地域上記以外
 


 

◆七夕の場合

七夕の場合、多くの地域では旧暦の日付7月7日をそのまま新暦の7月7日としていますが、これは五節句である七夕の日付を奇数のままにしたためと考えられます。

また、月遅れの8月7日の地域は、お盆同様、新暦の7月は農作業が忙しい時期であることと、1ヶ月ずれると「季節感」が変わってしまうためだと考えられます。

 

7月と8月の地域は以下のとおりです。

 
●七夕の時期
8月の地域北海道、宮城県仙台市、岩手県盛岡市、秋田県湯沢市、福島県いわき市、茨城県水戸市、茨城県土浦市、群馬県桐生市、埼玉県狭山市、埼玉県小川町、埼玉県ふじみ野市、東京都杉並区、東京都福生市、新潟県村上市、石川県珠洲市、富山県高岡市、岐阜県大垣市、愛知県安城市、愛知県一宮市、愛知県名古屋市、三重県松阪市、山口県山口市、香川県三木市、大分県大分市など
7月の地域上記以外
 


 

7月のところと8月のところがある理由がわかりましたか?

ところで、新暦と旧暦のずれは、厳密に1ヶ月なのではなく、毎年異なり、例えば、2019年7月7日の場合はちょうど1ヶ月後の8月7日ですが、2020年の場合は8月25日です。ですので「八朔(はっさく・旧暦8月1日)」のように、旧暦と新暦のずれを厳密に当てはめて毎年日付が異なる行事もあります。

しかし、お盆や七夕は旧暦の日付をそのまま新暦でもの日付にしたり、単純に1ヶ月ずらす「月遅れ」の行事として定着したのですね。

いろいろな理由で、日本中が同じ日にはなりませんが、内容や目的は同じなので大事に受け継いでいきたいですね。

自分自身が生まれ育った地域とは日にちが異なる地域へ引っ越した場合は、少し戸惑ってしまうかもしれませんが、その土地の伝統を楽しんでみてはいかがでしょう。

関連:旧暦8月1日の「八朔」の意味や由来、語源とは?どんな行事なの?

 



 - 7月, 8月