子どものころ、願い事を書いた短冊を笹につるし、色とりどりの折り紙で七夕飾りを作った思い出はありませんか?
大人になって、織姫と彦星が七夕の夜だけ再会できるということからロマンチックな1日というイメージを抱いた方はいませんか?
七夕といえば、織姫と彦星のお話がとても有名ですが、ほかにも由来となるものがあるようです。
今回は、七夕についていろいろ調べてみましょう。
Contents/目次
七夕の由来とは?
七夕は五節句(ごせっく)のひとつです。
五節句とは、
1月7日「人日(じんじつ)の節句」
3月3日「上巳(じょうし)の節句」
5月5日「端午(たんご)の節句」
7月7日「七夕(しちせき)の節句」
9月9日「重陽(ちょうよう)の節句」
の五つの節句のことで、中国の唐の時代(618年~907年)にはすでに制度として整えられており、日本へは奈良時代(710年~794年)に伝わって宮中行事になったと言われています。
七夕は、旧暦の7月7日に行われていました。
新暦とは一か月ほどのズレがあり、現在の8月7日ごろということになります。
明治に新暦に変わってから日本の七夕祭りは、7月7日や旧暦の時期の8月7日、あるいはそれらの前後の時期に開催されています。
七夕の由来には諸説あります。
「織姫と彦星の伝説」が由来という説
織姫(こと座のベガと呼ばれ、裁縫の仕事をつかさどる星)と彦星(わし座のアルタイルと呼ばれ、農業の仕事をつかさどる星)は、旧暦7月7日に天の川をはさんで最も光り輝いて見えることから、中国ではこの日を一年に一度のめぐり逢いの日と考え、「織姫と彦星はとても仲の良い夫婦になったのに、好きすぎて仕事が手につかず、怒った神様たちが天の川を挟んで離れ離れにし、7月7日にだけ逢えるようにした」という話が生まれたといわれています。
「棚機(たなばた)」という神事が由来という説
日本では昔、乙女が着物を織って棚に供え、神様を迎えて豊作を祈ったり人々の穢れを祓う「棚機(たなばた)」という禊(みそぎ)の神事が行われていました。
神事に選ばれた乙女は「棚機女(たなばたつめ)」と呼ばれ、清い水辺にある機屋(はたや)に籠って神様のために心を込めて着物を織り、その際使われるのが「棚機」という織り機です。
仏教が伝わると「棚機」はお盆を迎える準備として7月7日の夜に行われるようになり、「七夕」を「しちせき」ではなく「たなばた」と当て字で読んでいるのは「棚機」からきていると考えられています。
「乞巧奠(きこうでん)」という中国の行事が由来という説
中国ではこと座のベガは「織女(しゅくじょ)星」といいます。
裁縫の仕事をつかさどる星と考えられており、7月7日に織女星にあやかって裁縫が上達するように祈る風習が生まれました。
このとき、庭先の祭壇に針や糸などの裁縫道具を供え、星に祈りをささげますが、やがて裁縫だけではなく芸事や書道などの上達も願うようになったそうです。
七夕飾り・短冊の意味って何?
七夕の歌に「五色の短冊~私が書いた♪」という歌詞があるように、短冊の色は五色でそれぞれに意味があります。
これは、中国の五行説(ごぎょうせつ・万物は木・火・土・金・水の5種類の元素からなるものという考え方)からきており、色や意味が当てはめられています。
緑(青)=木=徳を積む、人間力を高める
赤=火=父母や先祖への感謝の気持ち
黄=土=信頼、友人知人を大切にする
白=金=義務や決まりを守る
黒(紫)=水=学業の向上
●紙衣(かみこ・かみごろも)・・・裁縫が上達するよう願い、災いを人形が身代わりとなって受けてくれるといわれています。
●巾着(きんちゃく)・・・昔のお財布で、金運上昇と商売繁盛を願います。
●網飾り(あみかざり)・投網(とあみ)・・・豊漁や豊作を願います。
●屑籠(くずかご)・・・節約と整理整頓ができるよう願います。
●吹き流し・・・織姫のように機織りが上達するよう願います。
●千羽鶴・・・家族の長寿を願います。
願い事を叶えるには?
短冊に願い事を書くときは、先述した五色の短冊の色と意味に沿った願い事を書くと良いとされています。
たとえば、友人知人を大切にする意味がある黄色い短冊には「お友達とずっと仲良く過ごします」、学業向上の意味がある黒(紫)の短冊には「漢字をたくさん覚えます」という風に使い分けましょう。
また「○○になりますように」と書くよりも「○○になります」と断言して書くと願い事が叶うそうです。
1年に1度だけ織姫と彦星が逢えることから、ロマンチックなイメージが強い七夕ですが、本来は裁縫が上達するよう願う行事だったのですね。
短冊の色や七夕飾りにもそれぞれ意味があることがわかりましたので、子どもたちにもこのことを伝えながら一緒に作るとより楽しめるのではないでしょうか。
みんなの願いが天に届くといいですね!
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