神道で有名な「大祓詞」という祝詞(のりと)をご存知でしょうか?
知らないという人でも、神社をお参りしたときに「大祓詞」を聞いたことがあるかもしれません。
今回は「大祓詞」についてわかりやすく解説します。
「大祓詞」の全文をPDFにしましたので、是非ダウンロードしてみてくださいね。
ダウンロードリンクは記事の下の方にあります。
大祓詞とは?
読み方は「おおはらえのことば」です。
「大祓(おおはらえ)」とは神道の神事で、
6月30日の「夏越の大祓(なごしのおおはらえ)」
12月31日の「年越の大祓(としこしのおおはらえ)」
の毎年2回あります。
「大祓詞」とは、大祓に集まった人々に聞かせる祝詞(のりと)のことです。
「祝詞」とは、お祭りや神事のときに神様に唱える言葉のことです。
多くの種類があり、神事の内容によって様々ですが、「祝詞」を唱えることで無病息災や家内安全など、神のご加護やご利益があるとされています。
「大祓詞」を唱えることで、罪や穢れを祓い清めます。
一般的に神職が唱えますが、神社によっては神職と参列者が一緒に唱えることもあり、次の大祓までの半年を新たな気持ちで過ごせるように祈ります。
「大祓詞」は、もともとは大祓でしか唱えないものでしたが、心身の穢れを祓い清める効果があるので、大祓以外に唱えても良いとされ、神職が毎朝神前で唱えたり、一般の方が自宅で唱えることもあります。
「大祓詞」には大きなパワーがあり、ほかの祝詞よりも神様のご加護やご利益が得られると考えられています。
それでは「大祓詞」の全文と現代語訳を見ていきましょう!
大祓詞(全文)
高天原に神留まり坐す 皇親神漏岐 神漏美の命以て 八百萬の神等を神集へに集へ賜ひ 神議りに議り賜ひて 我が皇御孫命は 豐葦原水穂國を 安國と平けく知ろし食せと 事依さし奉りき
此く依さし奉りし國中に 荒振る神等をば 神問はしに問はし賜ひ 神掃ひに掃ひ賜ひて 語問ひし磐根 木根立 草の片葉をも語止めて 天の磐座放ち 天の八重雲を 伊頭の千別きに千別きて 天降し依さし奉りき
此く依さし奉りし四方の國中と 大倭日高見國を安國と定め奉りて 下津磐根に宮柱太敷き立て 高天原に千木高知りて 皇御孫命の端の御殿仕え奉りて 天の御蔭 日の御蔭と隠り坐して 安國と平けく知ろし食さむ國中に成り出でむ天の益人等が 過ち犯しけむ種種の罪事は 天津罪 國津罪 許許太久の罪出でむ
此く出でば 天津宮事以ちて 天津金木を本打ち切り 末打ち断ちて 千座の置座に置き足らはして 天津菅麻を本刈り断ち 末刈り切りて 八針に取り裂きて 天津祝詞の太祝詞事を宣れ
此く宣らば 天津神は天の磐門を押し披きて 天の八重雲を伊頭の千別きに千別きて 聞こし食さむ 國津神は高山の末 短山の末に上り坐して 高山の伊褒理 短山の伊褒理を掻き別けて 聞こし食さむ
此く聞こし食してば 罪と云う罪は在らじと 科戸の風の天の八重雲を吹き放つ事の如く 朝の御霧 夕の御霧を 朝風 夕風の吹き拂うふ事の如く 大津辺に居る大船を舳解き放ち 艫解き放ちて 大海原に押し放つ事の如く 彼方の繁木が本を焼鎌の敏鎌以ちて 打ち掃ふ事の如く遺る罪は在らじと 祓へ給ひ清め給ふ事を 高山の末 短山の末より 佐久那太理に落ち多岐つ 速川の瀬に坐す瀬織津比売と云ふ神 大海原に持ち出でなむ
此く持ち出で往なば 荒潮の潮の八百道の八潮道の潮の八百會に坐す速開都比売と云ふ神 持ち加加呑みてむ
此く加加呑みてば 気吹戸に坐す気吹戸主と云ふ神 根國底國に気吹き放ちてむ
此く気吹き放ちてば 根國 底國に坐す速佐須良比売と云ふ神 持ち佐須良比失ひてむ
此く佐須良比失ひてば 罪と云ふ罪は在らじと 祓へ賜ひ清め賜ふ事を 天津神 國津神 八百萬の神等共に 聞こし食せと白す
大祓詞(現代語訳)
高天原(天上、神が住んでいる場所)にいらっしゃる親神様であるカムロギ(男神)とカムロミ(女神)は、八百万(やおよろず・数え切れないくらいたくさん)の神々を何度も集められ、論議に論議をつくされた結果、皇御孫命(すめみまのみこと・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと・天照大御神の孫))に「豊葦原の瑞穂の国(日本)を安らかな国として平和に治めなさい」と仰せになり、託されました。
託された国の中には、荒れた神々がいましたので、従うかどうか何度も問うたり、従わなければ追い払い一掃しましたら、荒れていた神々は、岩や木や草の一枚に至るまで静かになりましたので瓊瓊杵尊は、天上のお住まいをはなれ、幾重にも重なる雲を掻き分けながら、地上にご降臨されました。
親神様に託された皇御孫命(すめみまのみこと)は、国の中心として、大倭日高見国(日本)を平和な国と定められ、地下深くの岩盤に太い柱を建て、屋根には高天原まで届くかのような高い千木(ちぎ・神社の屋根にある交差した木のこと)を取り付け、立派な美しい御殿をお造りになリました。
そして御殿にお籠もりになり、この国を平和な国としてお治めになられました。
国内に生まれ増えていく人々が、故意の罪や無意識の過ちを犯し、数多くの罪が生じるようになるであろう。
そのような罪が生じた際は高天原の神々の儀式に倣って、若木の上下を切り揃え、これを千座ある台の上に、罪を償う物として沢山積み、また菅(すげ)や麻の上下も切り、真中の良いところを細かく裂き、高天原の神聖な祓いの祝詞(どんな祝詞か詳細は不明)を唱えなさい。
祝詞を唱えるならば、天上の神は天の岩戸を押し開かれて、幾重にも重なった雲を押分けてお聞きくださるでしょう。
また地上の神も、高い山や低い山に登られて、立ち込めた雲や霧を掻き分けて、お聞きくださるでしょう。
お聞きくだされば、罪という罪は一切なくなってしまうでしょう。それは、科戸(しなと)の風(風の異称・風のこと)が八重の雲を吹き払うように、また朝夕に立ちこめる霧を風が吹き払うように、港に繋ぎ止めてられた大船の綱(つな)をほどき、大海原に解き放つように、見渡す限りの生い茂った木々を良く切れる鎌で切り払うように、一切の罪は祓い清められるでしょう。
祓い清められた罪は、高い山、低い山の上から、谷間を勢いよく流れ落ちる急流の川瀬にいる瀬織津比売(せおりつひめ)という神様が大海原に流し去ってくれるでしょう。
大海原に流されたならば、たくさんの荒潮が押し寄せ、ぶつかり合う所にいる速開都比売(はやあきつひめ)という神様が、罪を呑み込んでくれるでしょう。
呑み込んだならば、息を吹き出す所にいる気吹戸主(いぶきどぬし)という神様が、その罪を「根の国底の国(黄泉の国)」に吹き放ってくれるでしょう。
吹き放ったならば、根の国底の国(黄泉の国)にいる速佐須良比売(はやさすらひめ)という神様が、何処とも知れず運び去って、きれいに消し去ってくれるでしょう。
きれいに消し去ってくれたならば、あらゆる罪が消滅するよう神様に祓い清めてくださることを、天上の神様、地上の神様、八百万の神様にどうかお聞きいれてくださいと申し上げます。
「大祓詞」は聞きなれない言葉が多く、どのような意味なのかほとんどわからなかったかもしれません。
しかし、現代語訳を読んである程度の意味を理解しておけば、「大祓詞」を唱えるときにより気持ちを込めることができます。
「大祓詞」はたくさんある祝詞の中でもとてもパワーがあり、神様のご加護やご利益が大きいといわれています。
下のリンク先からPDFをダウンロードできますので、いつでも読めるようにしておくといいですね!
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