
お雑煮といえば、お正月の食べ物の定番ですよね。
お雑煮の由来や、お正月に食べる理由はなんなのでしょうか?
また、お雑煮は、地域によって餅の形や味などに違いがあるようです。
今回はお雑煮についてわかりやすくご紹介します。
お雑煮とは?
読み方は「おぞうに」です。
昔は、
- 「雑煮餅(ぞうにもち)」
- 「烹雑(ほうぞう)」
- 「保臓(ほうぞう)」
などとも呼ばれていました。
「雑煮(ぞうに)」の頭に、ものごとを上品に言う「お」(美化語)をつけて「お雑煮」といいます。
お雑煮は、主にお正月のお祝いに食べる汁物料理で、メインの具材は餅です。

お正月のお雑煮とおせち料理 写真:サフィル(CC BY-SA 4.0) 出典:Wikimedia Commons
餅の形や味が地域によって違います。
後程詳しくご紹介します。
「お雑煮」という名前の由来は諸説あります。
●いろいろな食材を混ぜて煮ることが由来という説
餅や野菜、魚介類など、いろいろな食材を混ぜて煮る料理だから「雑煮」と呼ばれるようになったという説があります。
この「雑」は、「いろいろなものが混じっている」という意味です。
雑煮は「煮混ぜ(にまぜ)」とも呼ばれていました。
●「保臓(ほうぞう)」が由来という説
雑煮は、もとは「保臓(ほうぞう)」と呼ばれていた、という説があります。
昔は、儀式の酒宴で最初に雑煮を出す習わしがありました。
江戸時代に武家のしきたりを研究した伊勢貞丈(いせさだたけ・1717年~1784年)は、その理由を、内臓をいたわるためだと書いています。
そして、「ほうぞう」は「内臓をいたわる」という意味の「保臓」のことだとしています。
この「保臓」が、同じ読みで「煮る」という意味の字を使った「烹雑」と書かれるようになり、さらに「雑煮」になったといわれています。
お雑煮を正月に食べるのはなぜ?
お雑煮を正月に食べるのは、年神様(としがみさま)に供えた餅をいただき、その年の無病息災や豊作、家内安全などを願うためです。

年神様とは、毎年お正月に各家にやってくる豊作や幸せをもたらす神様のことです。
「歳神様」とも書きます。
お雑煮の由来とは?
お雑煮の起源は諸説ありますが、室町時代(1336年~1573年)の京都が発祥という説が有力です。
当時は、お正月に限らず、上級武家の婚礼の席などで、丸餅と、海や山でとれる幸をいっしょに煮た料理が、酒の肴として出されていました。
一方で、お雑煮はもっと古くから、お正月の儀式の食べ物だったという説もあります。
大みそかの夕方に神様や仏様に供えたご飯や餅を、元日の朝に下ろして煮たものが、お雑煮の始まりだという考え方です。
お正月にお雑煮で祝う習わしが全国に広まったのは、1700年代後半から1800年代初めにかけてといわれています。
京都の昆布だしの白味噌仕立てから、いりこやかつお節のだし、しょうゆ仕立てのすまし汁などへと、地域ごとのお雑煮が生まれていきました。
かつては元日の朝、井戸からくんだ新しい水(若水・わかみず)と、その年最初の火で煮たお雑煮を食べ、一年の無病息災や家内安全を願っていました。
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地域による餅の形や味の違い
お雑煮は地域によって異なりますが、大きな違いは関東と関西のお雑煮です。
関東のお雑煮の主流は、
- 醤油ベースのすまし汁
- 焼いた切り餅(四角い形、角餅ともいう)を入れる

関東風のお雑煮。すまし汁に焼いた角餅を入れる
関西のお雑煮の主流は、
- 白味噌仕立て
- 焼いていない丸餅(丸い形)を入れる

関西風のお雑煮。白味噌仕立ての汁に丸餅を入れる
江戸時代には京都では白味噌仕立てのお雑煮を食べていたとされ、京都の影響を受けた関西では現在も白味噌仕立てのお雑煮が主流です。
関東のお雑煮が醤油ベースなのは、武士が「味噌をつける」という言葉を嫌ったからだという説があります。
「味噌をつける」は、失敗して面目を失うという意味です。
そのため、お雑煮にも味噌を使わなかったといわれています。
餅の形は、昔は関東も関西も丸餅で同じだったようです。
古来、餅には稲の霊が宿ると考えられてきました。
お正月に供える鏡餅が丸いのは、人の魂をかたどったからだともいわれています。
こうした丸餅が京都から日本中へ広まり、江戸(現在の東京)でも餅は丸餅でした。
しかし、江戸時代に急激に人口が増えていき、わざわざ餅を丸めて丸餅を作ることがとても大変になったので、板状にした餅を四角に切るようになり、関東では現在のように切り餅が主流になったという説があります。
関東は餅を焼いて入れ、関西では餅を焼かずに入れて煮るのが主流ですが、理由は定かではありません。
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他にも、地域による餅の形や味の違いがありますのでいくつかご紹介します。
●くじら雑煮(青森県八戸市周辺)
青森県八戸市は昔、捕鯨が行われていたことから、くじらを使った食文化が発達しました。
大根やにんじん、ごぼうなどの具材を入れた味噌仕立ての汁に、脂の乗ったくじらの皮を入れたものを「くじら汁」といいます。
「くじら汁」に焼いた切り餅を加えたものを「くじら雑煮」といいます。

くじら汁
●くるみ雑煮(岩手県宮古地方など三陸沿岸)
大根やにんじん、ごぼう、焼き豆腐などを入れた醤油味の汁に、焼いた角餅を入れたお雑煮です。
特徴的なのは、すったくるみに砂糖を混ぜた「くるみだれ」を別の器に用意し、餅をつけて食べることです。
沿岸部では米が育ちにくく餅が貴重だったため、大切に味わおうとして生まれた食べ方と考えられています。
「くるみ餅」ともいいます。

くるみ雑煮。焼いた角餅を、別の器のくるみだれにつけて食べる
●はば雑煮(千葉県上総地域)
「はば」とは、海藻を干した「はばのり」のことです。
焼いたりゆでたりした餅に、出汁と醤油で味付けした汁をかけ、はばのりと青のり、かつお節を混ぜたものをたっぷりかけたお雑煮です。
はば雑煮を年の初めに食べると「一年中幅を利かすことができる」ということで縁起が良く、お正月料理となりました。

はば雑煮に使う「はばのり」
参考:千葉県「チバっとクッキング 第5話『はば雑煮』」(できあがりの写真が見られます)
●きなこ雑煮(奈良県を中心とした地域)
白味噌仕立てで、丸餅と豆腐、大根、里芋などのお雑煮です。
特徴的なのは、雑煮の中から餅を取り出して、砂糖入りのきなこにつけて食べることです。
大和雑煮(やまとぞうに)ともいいます。

きなこ雑煮。お雑煮の丸餅を取り出して、砂糖入りのきなこにつけて食べる
●あんもち雑煮(香川県を中心とした地域)
白味噌仕立てで、丸いあんこ餅が入ったお雑煮です。
昔は砂糖がとても貴重で、一般家庭で口にすることはとても難しいものでした。
明治時代ごろに、年に一度、お正月にとっておきの砂糖を使った料理として、お雑煮にあんこ餅を入れるようになったそうです。

あんもち雑煮。白味噌の汁に、あんこの入った丸餅が入っている
●小豆雑煮(島根県など山陰の一部地域)
小豆雑煮(あずきぞうに)は、甘さをひかえめに煮た小豆に丸餅を入れたお雑煮です。
見た目は「ぜんざい」や「おしるこ」に似ていますが、それらよりもあっさりとした甘さが特徴です。
島根県など山陰の一部地域の中には、元旦には、岩のりの入った「すまし雑煮」を食べ、正月2日から「小豆雑煮」を食べる地域もあります。

小豆雑煮。甘さをひかえめに煮た小豆に丸餅を入れる
いかがでしたでしょうか?
お正月のお雑煮には、地域ごとにいろいろなものがあるのがわかりましたね。
餅の形や味は東西で大きく異なりますが、その土地ならではの具材が使われているお雑煮は日本各地にあります。
出身地の違う人と結婚して、お正月に実家で出されたお雑煮にびっくりすることもあるのかもしれませんね。
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