「端午の節句」の食べ物といえば、柏餅とちまきですよね。
では、なぜ柏餅とちまきを食べるのかご存知ですか?
地域によってはそれ以外のものを食べることもあるそうですが、どのようなものを食べるのでしょうか?
端午の節句の食べ物・行事食をご紹介します。
端午の節句とは?
読み方は「たんごのせっく」です。
端午の節句は毎年5月5日で、男の子の誕生と健やかな成長を祝う日です。
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なぜ柏餅、ちまきを食べるの?
端午の節句の代表的な行事食は「柏餅」と「ちまき」です。
端午の節句の行事食としては、
関東をはじめ東日本では、柏餅が主流です。
関西をはじめ西日本では、ちまきが主流です。
柏餅を食べる理由
柏餅の読み方は「かしわもち」です。
平たく丸めた上新粉の餅の間にあんこを挟んで二つ折りにし、柏の葉で包んだものです。
あんこは粒あん、こしあん、味噌あんなどさまざまで、最近はあんこの中にイチゴやオレンジなどフルーツを挟んだものもあります。
「端午の節句」は中国から伝わってきましたが、柏餅を食べる風習は日本独特のものです。
柏餅には、柏が使われています。
古くから柏の木は、神が宿る木で縁起が良いといわれています。
また、柏の木は新芽が出で育つまで古い葉が落ちないことから「子どもが成長するまで父母は亡くならない」といわれています。
そのため、「家系が絶えない」とされ「子孫繁栄」の縁起を担ぎ、端午の節句の食べ物となったといわれています。
ちまきを食べる理由
ちまきは漢字で「粽」と書きます。
団子を笹の葉で包んだものや、
おこわ(もち米を蒸したもの)を竹の皮で包んだものなどがあります。
ちまきは、端午の節句と共に中国から伝わったもので、端午の節句に食べるようになったのは次のような故事が由来とされています。
国王の側近として仕えていた屈原(くつげん・紀元前343年~278年ごろ)という人物がいました。
屈原は、その正義感と国を思う強さで人々から大変慕われていましたが、陰謀によって国を追われ、川に身を投げて死んでしまいました。
身を投げた日が5月5日といわれています。
屈原の死を悲しんだ人々が5月5日に竹筒に米を入れ、それを川に投げ入れて弔いましたが、屈原の手元に届く前に蛟龍(こうりゅう)という龍に取られてしまいました。
そこで龍が苦手にしている楝樹(れんじゅ)という葉でもち米を包み、邪気を払う五色(赤・青・黄・白・黒)の糸で縛ってから川へ流したところ、無事に屈原の手元に届くようになったそうです。
それから中国では5月5日にちまきを作って災いを除ける風習ができました。
ちまきに結んだ五色の糸は、子どもが無事に育つようにとの魔よけの意味が込められています。
現在、ちまきは五色の糸で結ばれていませんが、鯉のぼりの吹流しの色(赤・青・黄・白・黒(紫))に反映されています。
ちまきは地域によって以下のように異なります。
北陸、東海、関西、中国、四国と九州の一部地域、沖縄県のちまき
北陸、東海、関西、中国、四国と九州の一部地域、沖縄県では、ちまきの中身は団子です。
米粉や葛粉で作った甘い団子を笹の葉で包んでいます。
北海道や東北、関東、四国と九州の一部地域のちまき
北海道や東北、関東、四国と九州の一部地域では、ちまきの中身はおこわです。
おこわは、もち米と一緒にタケノコや椎茸、肉などを竹の皮で包んで蒸したもので、「中華ちまき」とも呼ばれています。
山形県のちまき
山形県では「ちまき」ではなく「笹巻き(ささまき)」と呼びます。
もち米を一晩水につけ、水けを切ったものを笹の葉で巻き、熱湯でゆでたものです。
きな粉や砂糖、黒蜜などをかけて食べます。
鹿児島県や宮崎県など南九州のちまき
鹿児島県では、ちまきを「灰汁巻き(あくまき)」と呼びます。
もち米を木や竹を燃やした灰からとった灰汁で炊いて竹の皮で包み、灰汁で炊き上げ、黒砂糖やきなこをつけて食べます。
【地域別】端午の節句の食べ物・行事食とは?
代表的な行事食として柏餅とちまきをご紹介しましたが、ほかの行事食を地域別でご紹介します。
全国的に食べられている食べ物・行事食
「草餅(くさもち)」
草餅は、ヨモギの葉を混ぜて作った餅のことで、ヨモギの香がして緑色の見た目が特徴的です。
ヨモギは古くから薬草として使われており、厄除けにも用いられていました。
端午の節句に食べることで子どもに降りかかる厄を払う意味があります。
北海道や東北の一部地域
「べこ餅(べこもち)」
べこ餅は、上新粉や白玉粉、砂糖、塩などを熱湯と混ぜ、成型して蒸して作る甘い餅です。
代表的なものは木の葉の形をしていて白と黒の2色を配置して作られています。
他に、花の形、丸い形、牛の形、赤や緑や黄色など色鮮やかな配色のべこ餅などさまざまです。
端午の節句に食べるのが主流ですが、お正月やお彼岸などハレの日に食べる特別な食べ物です。
最近は一年を通じてスーパーやコンビニエンスストアなどで販売されており、普段のおやつとして食べる人も多いそうです。
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新潟県の一部地域
「笹団子(ささだんご)」
笹団子は、もち粉と上新粉、よもぎで作った生地であんこを包み、笹の葉で包んだ和菓子です。
無病息災を願って食べます。
徳島県脇町
出典:川田光栄堂
「麦団子(むぎだんご)」
端午の節句が麦の収穫の時期と重なっていることから、収穫した麦を粉にして団子を作り、山帰来(さんきらい)という植物の葉で包んだものです。
団子の中にはあんこを入れることもあります。
長野県や岐阜県
「朴葉巻き(ほうばまき)」
朴葉巻は、朴(ほお)の木の葉で餅を巻き、蒸して作ったものです。
長野県・岐阜県の標高が高い地域では柏の木がなかったので柏餅が作れず、かわりに殺菌効果がある朴の葉を使うようになったそうです。
男の子の健やかな成長を願って作り、食べます。
長崎県
「鯉菓子(こいがし)」を食べたり、初節句のお祝い返しとして贈ったりします。
鯉菓子は、鯉をかたどった和菓子で、外側は求肥や餅粉など、中にあんこが入っています。
「鯉が竜門の滝を登ると竜となって天をかける」という中国の故事が由来となっており、男の子の成長と出世を願って食べます。
端午の節句に柏餅やちまきを食べる理由がわかりましたね。
ほかにも、日本各地でいろいろな行事食がありますから、その土地を訪れた際にはぜひ食べてみたいですよね!
お子さんのいるご家庭で行事食を食べるときには、お子さんにその由来をお話して聞かせてあげると、古くから伝わる風習に興味を持ってくれるのではないでしょうか。
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