「打ち出の小槌」といえば、昔ばなしの一寸法師や、七福神の大黒天が持っているのを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
そんな打ち出の小槌にはどのような意味や効果があるでしょうか?
今回は、打ち出の小槌の意味や由来、ご利益についてわかりやすく解説します。
打ち出の小槌の意味や由来とは?
読み方は「うちでのこづち」です。
「打ち出」とは、「打ち出すこと」または「作り出すこと」という意味があります。
「小槌」とは、小さな木製のハンマーのことです。
つまり、打ち出の小槌は「何かを打ち出す小槌」「何かを作り出す小槌」という意味になります。
打ち出の小槌を振り願い事をすることで、欲しいものを出したり、どんな願い事でも叶えてくれるといわれています。
結婚祝いや長寿祝いの縁起物としてはもちろん、幸福や安泰、金運UPを願うお守りとしても人気です。
打ち出の小槌は実物が残っているわけではありません。
伝説上の宝物だといわれており、昔ばなしに登場することもあります。
打ち出の小槌の伝説
兵庫県芦屋市打出小槌町は「打ち出の小槌伝説発祥の地」といわれています。
その伝説は以下のとおりです。
むかしむかし、芦屋(現・兵庫県芦屋市)の沖に竜神が住んでいました。
竜神は、振るとなんでも欲しいものを出すことができる小槌を持っており、大切にしていました。
しかし、小槌を振っている最中に鐘の音が聞こえると、出したものは全て消えてしまい、小槌も二度と使えなくなってしまうのです。
竜神は、そんな面倒なものを持っているのが嫌になってしまい、朝廷に小槌を献上してしまいました。
珍しい小槌をもらった朝廷は大喜びです。
しかし、考えてみると都には寺や神社が多く、よく鐘の音が聞こえてくるので、小槌をどのようにすればよいのか悩んでしまいました。
そんな折、「打出村(うちでむら)」という村から都に来ていた長者が手柄を立てたので、朝廷は褒美としてその小槌を与えたそうです。
長者は特に欲しいものはなかったので床の間に飾り眺めて満足していましたが、ある日、ひとりの村人から「見ているだけじゃなく小判を出してみてほしい」と頼まれました。
長者も振ってみたくなり、「小槌を振っても良いが、途中で鐘が鳴るとすべてが消えてしまう。さらに、小槌も二度と使えなくなってしまう。それくらいの覚悟が必要なのだ。」と言いました。
そして、村中の人が長者の家に集まり、長者が小槌を振ると小判がざくざく出てきました。
しかし、途中で寺の鐘が鳴り、気づいた長者はあわてて小槌を振るのをやめようとしましたが間に合わず小判は消えていき、人々はそれを呆然として見るしかできませんでした。
最後の一枚が消えたときに長者と村人は小槌を見ながら「いい夢をみさせてもらった」と言ったのだそうです。
その小槌は「打出の小槌」と呼ばれるようになり、兵庫県芦屋市には「打出小槌町(うちでこづちちょう)」という地名が現在も残っています。
どんなご利益があるの?
打ち出の小槌を振りながら願い事をすることで、欲しいものを出したり、願い事が何でも叶うなどのご利益があります。
但し、芦屋の伝説にもあるように、小槌を振っている最中に鐘の音が聞こえてくると、出てきたものがすべて消えてしまうといわれています。
打ち出の小槌は、欲しいものを出すだけではなく、何でも願い事を叶えることができます。
昔ばなしの「一寸法師(いっすんぼうし)」では、体を大きくしたいという願い事をしました。
「一寸法師」は次のようなお話です。
一寸法師
むかしむかし、とても仲の良いおじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんとおばあさんには子どもがおらず、毎日神様にお願いをし、ようやく男の子を授かりました。
男の子は一寸(約3㎝)の大きさしかなかったので、「一寸法師」と名付けられました。
ある日、一寸法師は「武士になるために京の都へ行きたい」とおじいさんとおばあさんのもとを旅立つことになりました。
このときおばあさんは刀のかわりに、針を持たせてくれました。
京の都に着いた一寸法師は、大きな屋敷で働かせてもらうことになり、屋敷の娘のお供としてお宮参りに行きますが、鬼が娘をさらいにきました。
そして、娘を守ろうとした一寸法師は、鬼に飲み込まれてしまいました。真っ暗な鬼のお腹の中で、一寸法師は針を振り回して鬼のお腹の中を何度も刺しました。
痛みで降参した鬼は一寸法師を吐き出し山へ逃げ出しましたが、その時、鬼は打ち出の小槌を落として行ったそうです。
娘が一寸法師に「お願い事はなんですか?」と尋ねると、一寸法師は「私の体が大きくなるよう言いながら振ってください」とお願いしました。
娘が小槌を振ると、一寸法師は身長6尺(約180㎝)の立派な男性になりました。
その後、一寸法師は娘と結婚し、おじいさんとおばあさんを都に迎え、打ち出の小槌で金銀財宝を出し末永く幸せに暮らしました。
また、打ち出の小槌を持つ神様もいらっしゃいます。
大黒天
七福神である「大黒天」も打ち出の小槌を持っています。
大黒天は財運(金運のこと)や福徳(幸運)を司る神様といわれています。
大黒天の持つ打ち出の小槌は富をもたらす象徴で、金運UPが期待できたり、福を呼び込む縁起物といわれています。
大国主神(おおくにぬしのかみ)
縁結びの神様として有名な出雲大社のご祭神(ごさいじん)である大国主神も、打ち出の小槌を振って、人々を幸せにしたと伝えられています。
ご祭神とは、その神社で祀られている神様のことです。
出雲大社のお土産として、出雲産の欅(けやき)で作られた打ち出の小槌「福こづち」が販売されています。
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打ち出の小槌の置き場所
置き場所について方角などは特に決まりはありませんが、
●床の間
●玄関
などに飾る人が多いようです。
飾る時は、座布団などに乗せるといいでしょう。
置物としてだけでなく、普段から持ち歩ける5㎝程度のものもありますので、お守りとして鞄や財布にぶら下げるといいでしょう。
英語で何という?
打ち出の小槌を英語にすると以下のようになります。
●mallet of luck (幸運のマレット)
●magic mallet (魔法のマレット)
※mallet=木槌
どんな願い事でも叶えてもらえる打ち出の小槌ですが、鐘の音がすればすべて消えてしまうのですね。
ちょっとがっかり・・・ですが、これは昔話や伝説の中での話です。
打ち出の小槌をモチーフにしたお守りを身に付けたり、飾りを置いたりすると、運勢が良くなったり、福を呼び込むといわれていますのでぜひ試してみてくださいね!
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コメント
コメント一覧 (2件)
私の姓は、打出と言います。うちで,と呼びます。
出身地は、富山県新湊市(合併して射水市)で、古くは漁師町でした。
地名に打出というところがあります。
家には、大黒様が祀られていました。また漁師町でもあるので、
恵比寿様も祀ります。
興味深いコメントありがとうございました!