私たち日本人は、神道の神社と、仏教のお寺、異なる宗教の施設なのに両方をお参りしますよね。
普段はあまり考えずにお参りしている人も多いかもしれませんが、神社とお寺でどのような違いがあるのでしょうか?
神社とお寺をはしご(両方参拝する)するのは良くないのでしょうか?
今回は、神社とお寺の参拝方法の違いについてわかりやすく解説します。
神社とは?
神社とは、神道の施設です。
神道とは、日本に古くからある民族宗教のことで、八百万の神(やおよろずのかみ・数えられないほど多くの神)が存在する「多神教(たしんきょう)」です。
神社によって祀られている神様は違い、ひとつの神社に複数の神様が祀られていることも多く、祀られている神様によってご利益(ごりやく)は異なります。
北野天満宮や太宰府天満宮には学問の神様として有名な菅原道真が祀られおり、出雲大社には因幡の白兎で有名な大国主命(おおくにぬしのみこと)が祀られています。
他にもたくさんの神様がいらっしゃいますが、神道における最高神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)との考えが一般的です。
伊勢神宮の内宮には天照大御神が祀られています。
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お寺とは?
お寺は、仏教の施設で、「仏閣(ぶっかく)」や「寺院(じいん)」と呼ぶこともあります。
仏教の教えを信じ「悟り」を目指す人が修行をする場所であり、一般の人に仏教の教えを説く場でもあります。
お寺には、仏教の開祖である「釈迦如来(しゃかにょらい)」や「地蔵菩薩(じぞうぼさつ)」「千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ)」などの仏様が祀られており、ご先祖様を供養する場所として墓所が整えられ、法事なども行います。
神社とお寺の参拝方法の違いとは?
神社とお寺、それぞれの参拝方法の違いについて見ていきましょう。
神社の参拝方法
① 神社の内と外の世界を区別するための鳥居の前で一礼して境内に入ります。
② 鳥居をくぐりますが、真ん中は神様の通り道なので、左右、どちらかに寄ってくぐりましょう。その後も中央は避けて通ります。
③「手水舎(てみずしゃ)」で、手を清めて口をすすぎます。
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④ 本殿(ほんでん)に進み、賽銭箱にお賽銭を入れます。
⑤軽く会釈をしてから、鈴があれば振り鳴らします。
⑥「二礼二拍手一礼」の拝礼をします。 最初に二回深いお礼をし、そのあと二回柏手を打ち、最後に一礼します。
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※ほとんどの神社は「二礼二拍手一礼」ですが、宇佐神宮や出雲大社など「二礼四拍手一礼」のところもあります。
お願いをするタイミングに決まりはありませんが、二拍手が終わって両手を合わせているときにするのが一般的です。
また、日ごろの感謝の気持ちを伝えたり、願いが叶ったときの御礼もこのタイミングで行います。
⑦本殿から下がります。
⑧鳥居の前で一礼して境内から出ます。
お寺の参拝方法
① お寺の入り口にある山門(仁王門)で合掌をし一礼して境内に入ります。神社同様、中央は通りません。その後も中央は避けて通ります。
② 手水舎で手を清めて口をすすぎます。
③自由に撞(つ)いて良い鐘がある場合は、このタイミングで鐘を撞きます。
鐘を撞くのは、「これからお参りさせていただきます」という仏様への挨拶の意味があります。
鐘を撞くときの作法は
(1)鐘の前で合掌し一礼します。
(2)鐘を撞きます
(3)合掌し一礼します。
お寺によっては参拝者が自由に鐘を撞くことができない場合もありますので、きちんと確認をしてから撞くようにしましょう。
④常香炉(じょうこうろ)または香閣(こうかく)があれば線香の煙を体に浴びます。煙を浴びるのは体を清めるためですが、一般的に体の悪いところが良くなるといわれています。
⑤ロウソクをお供えします。
備え付けの種火や持参したライターなどで、自分でロウソクに火をつけます。
ロウソクは、燭台(しょくだい)の奥の上段から供えます。明確なルールではありませんが、他の参拝客がやけどをしないようにという配慮です。
⑥線香をお供えします。
香炉(こうろ)がある場合は線香をお供えします。
備え付けの種火や自分のロウソクからお線香に火をつけます。
お線香についた火は手であおいで消します。仏教では人の息は穢れ(けがれ)ていると考えるため、息を吹きかけて消してはいけません。
お線香は、真ん中から外側へ供えます。明確なルールではありませんが、他の参拝客がやけどをしないようにという配慮です。
⑤と⑥に共通すること
ロウソクやお線香は自宅から持参しても良いですし、お寺で購入しても良いです。
ロウソクや線香がない場合は、省略しても良いです。
他の人から火をもらう「もらい火」は、他人の業ももらってしまうといわれているので、備え付けの種火を使うか、ライターなどを持参しましょう。
⑦本堂で一礼します。
⑧賽銭箱にお賽銭を入れます。
⑨鰐口を鳴らします。
鰐口(わにぐち)とは、本堂の軒先に吊るされた仏具で、お参りに来たことを仏様にお知らせするものです。
⑩姿勢を正し、目を閉じて、静かに胸の前で合掌します。数珠を持っている場合はこのときに手にかけましょう。
⑪お願い事をします。
お寺によっては願い事の前に題目・真言を唱えます。
また、日ごろの感謝の気持ちを伝えたり、願いが叶ったときの御礼もこのタイミングで行いましょう。
題目(だいもく)とは、主に日蓮宗で唱える「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」のことです。詳細は以下をご覧ください。
関連:「南無阿弥陀仏」と「南無妙法蓮華経」との違いと意味とは?唱えるとどうなる?
真言(しんごん)とは、浄土真宗以外の多くの大乗仏教の宗派で用いられます。
「真実の言葉、秘密の言葉」という意味があり、仏様を敬う言葉で、仏様それぞれに真言があります。
お寺によっては真言を書いた紙を貼っていることもありますので、それを見ながら唱えてると良いですね。
⑫合掌をしたまま一礼して本堂から下がります。
⑬山門で合掌をしたまま一礼して境内から出ます。
はしごするのは良くない?
複数の神社、複数のお寺をはしごしたり、神社とお寺をはしごすると、神様や仏様が喧嘩をしてしまうとか、失礼にあたるとかいわれていますよね。
はしごするのは良くないのでしょうか?
結果からいいますと、 はしごしても問題ありません。
神様や仏様はそのようなことでは喧嘩などしませんし、失礼だとか思われませんので、はしごをしてもなんの問題もないのです。
神社やお寺によって祀られている神様・仏様が違いますので御利益も違います。
そのため、商売繁盛のご利益がある神社をお参りしたあとに交通安全のご利益のあるお寺をお参りして、さらに縁結びのご利益がある神社をお参りしても神様や仏様は怒ったりはしません。
神様や仏様によって得意分野があり御利益が違いますので、自分が御利益を求める神社やお寺を複数お参りしたり、御利益は気にせずその時にご縁のある神社やお寺をお参りしても良いのです。
神社とお寺の参拝方法の違いがわかりましたね。
神社とお寺をはしごしても問題はないのですが、どこの神社、お寺でも、神様や仏様への感謝の気持ちを忘れずにお参りをしたいですね。
神社やお寺を参拝するときには、祀られている神仏やご利益についてある程度調べてから行くと、神様や仏様とより良いご縁が結ばれるのでしょう。
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