みなさんは普段の生活で「暦注」をご覧になることはありますか?
特別なことがある日だけは大安や仏滅を気にする!という方は多いかもしれませんが、暦注の範囲は広く、たくさんの種類があります。
今回は「暦注」を一覧にまとめてそれぞれの意味をご紹介します。
暦注とは?
暦注の読み方は「れきちゅう」です。
暦注とは「暦(こよみ・カレンダー)」に書かれた日付や曜日、天文学的なこと、年中行事、その日の吉凶などのことです。
以下のように上段、中段、下段に分けられています。
段 | 種類 |
上段 | 日付、曜日、二十四節気、七十二候などの天文学的なことや、年中行事など |
中段 | 十二直 |
下段 | 選日、二十八宿、九星、六曜など、吉凶に関すること |
※下段の六曜は日付の下や横に書かれることも多いです。
上段の種類と意味
日付、曜日
特に説明をしなくていいですね。
二十四節気
読み方は「にじゅうしせっき」です。
古代中国で考案されたもので、一年間を24等分したものです。
その分割点には季節の節目になり、2月4日頃の「立春」を起点に24分割されています。
七十二候
読み方は「しちじゅうにこう」です。
七十二候とは二十四節気をさらに細かく72等分したものです。
二十四節気は一年間を24等分したものなので期間は約15日あり、七十二候は二十四節気の約15日をさらに3つに分けたもので、それぞれの期間は約5日あります。
天文学的なこと
その日の十干十二支、月齢などが書かれています。
十干十二支(じっかんじゅうにし)は「十干」と「十二支」に分けることができ、私たちが「干支(えと)」と呼び、年賀状や生まれ年に使っているのは「十二支」のことです。
十干十二支は60組あって、ひとつずつ順番に日にちに当てはめられており、60日間で一巡します。
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月齢(げつれい)は月の満ち欠けのことで、新月を月齢0とし、新月の翌日は月齢1、その翌日は月齢2・・・と続き、月齢15はほぼ満月になります。
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年中行事
毎年、特定の時期に行われる行事の総称で、お正月やお盆、五節句(ひな祭り、端午の節句など)があります。
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雑節
読み方は「ざっせつ」です。
雑節とは、季節の移り変わりをより適確につかむために設けられた特別な暦日のことで、
「節分」
「お彼岸」
「社日(しゃにち)」
「八十八夜」
「入梅(にゅうばい)」
「半夏生(はんげしょう)」
「土用(どよう)」
「二百十日(にひゃくとおか)」
「二百二十日(にひゃくはつか)」
があります。
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中段の種類と意味
十二直
読み方は「じゅうにちょく」です。
一般に中段に書かれていることから「中段(ちゅうだん)」や「十二直中段(じゅうにちょくちゅうだん)」ともいいます。
また「直」には「当たる」という意味があり、良く当たる暦注として信じられていました。
十二直は中国から伝わり、飛鳥時代(592年~628年)には日本でも吉凶占いとして暦に取り入れられ、日々の生活に使われていた記録があるそうです。
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下段の種類と意味
暦注の最下段に書かれているので「暦注下段」ともいいます。
六曜
読み方は「ろくよう」です。
六曜とは、
「先勝(せんしょう・さきかち)」
「友引(ともびき・ゆういん)」
「先負(せんぷ・さきまけ)」
「仏滅(ぶつめつ)」
「大安(たいあん・だいあん)」
「赤口(しゃっこう・しゃっく・せきぐち)」
の6つのことです。
1日ごとに順番で巡ってきて、その日の吉凶や運勢が定められています。
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二十八宿
読み方は「にじゅうはっしゅく」です。
二十八宿とは、天球(てんきゅう・地球を中心として惑星や恒星の位置を表した球体のこと)を西から東に、月が地球を一周する間に通過する28個の星座のことです。
中国が発祥の古代の天文学で、吉凶を占うために用いられています。
九星
読み方は「きゅうせい」です。
九星とは、古代中国から伝わる民間信仰で、
「一白水星(いっぱくすいせい)」
「二黒土星(じこくどせい)」
「三碧木星(さんぺきもくせい)」
「四緑木星(しろくもくせい)」
「五黄土星(ごおうどせい)」
「六白金星(ろっぱくきんせい)」
「七赤金星(しちせききんせい)」
「八白土星(はっぱくどせい)」
「九紫火星(きゅうしかせい)」
の9つです。
九星と干支や生年月日を組み合わせて、吉凶を占います。
以下も暦注の下段なのですが、マイナーなためカレンダーに記載されないことが多いようです。
受死日
読み方は「じゅしにち」または「じゅしび」です。
暦注では「●」と記されることが多いことから、「黒日(くろび)」とも呼びます。
受死日は、最悪の日とされており、お葬式は行っても良いのですが、それ以外は何をやっても悪い日で、この日に病気になると死に至るともいわれています。
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十死日
読み方は「じゅうしにち」または「じゅうしび」です。
「十死」「十死一生日」「天殺日」などとも言い、受死日に次いで最悪の日とされており、お葬式、戦闘、嫁取りは良くないそうです。
「十死一生」とは、ほとんど助かる見込みがない、生きる見込みがない、極めて危険などの意味があります。
また、十死日に葬儀をすると災難に遭うともいわれています。
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七箇の善日
読み方は「ななこのぜんにち」です。
七箇の善日は、以下の「天赦日」「神吉日」「大明日」「鬼宿日」「天恩日」「母倉日」「月徳日」の7つの吉日の総称です。
天赦日
読み方は「てんしゃにち」または「てんしゃび」です。
天がすべての罪を赦(ゆる)すという最上の吉日で、「万(よろづ)よし」と記注されています。
「万よし」とは、「何に関しても良し」という意味があり、婚礼、引っ越し、開業、出生届、財布の新調などが特に良い日といわれています。
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神吉日
読み方は「かみよしにち」または「かみよしび」です。
「神よし」と書かれることが多く、神社参拝、祭礼、先祖を祀るなどの神事の吉日とされています。
大明日
読み方は「だいみょうにち」です。
「世の中の隅々まで太陽に照らされる日」「物事の始まりを天が明るく照らしてくれる日」という意味があり「特に移動を伴うことに関しては、先々まで見通すことができる」といわれています。
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鬼宿日
読み方は「きしゅくび」または「きしゅくにち」です。
鬼宿日は二十八宿(にじゅうはっしゅく)の鬼宿にあたる日のことです。
鬼宿日は鬼が宿にいて、外を出歩かないといわれ、鬼に邪魔をされず、何事をするにも良い吉日とされています。
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天恩日
読み方は「てんおんにち」です。
「天の恩恵で万民が福を受ける」という意味があり、最上の吉日といわれています。
「天おん」と書かれることが多く、吉事には良い日ですが、凶事には用いるべきでない日といわれています。
母倉日
読み方は「ぼそうにち」です。
「母倉」とだけ書かれていることが多いです。
「母が子を育てるのと同じように、天が人間を慈しむ日」という意味があり、何事にも吉で、特に婚姻関係は大吉とされています。
また、家を建てたり修理することも吉ですし、宝くじや財布を購入したり、引っ越しなども吉です。
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月徳日
読み方は「つきとくにち」または「がっとくにち」です。
「その月の福徳を得られる日」という意味があり、万事に支障がない吉日です。
万事に吉ですが、建築、土木工事などに良いとされています。
三箇の悪日
読み方は「さんがのあくにち」で、以下の「大禍日」「狼藉日」「滅門日」の3つの凶日の総称です。
大禍日
読み方は「たいかにち」です。
三箇の悪日の中でも最も悪い日とされています。
口舌は慎み、家の修理、門戸の建造、船旅、葬送は厳しく忌むべし、とされています。
狼藉日
読み方は「ろうしゃくにち」です。
万事に凶とされこの日になにかを行うと、すべて失敗すると言われています。
滅門日
読み方は「めつもんにち」です。
万事に凶で、この日になにかを行うと「滅門」の字の通り、一家一門を亡ぼすと言われています。
五墓日
読み方は「ごむにち」です。
「陰陽五行説の五つの墓」という意味があり、凶日とされています。
この日に葬儀を行うと墓が5つ並ぶ(5人が死ぬ)とされる日で、動土・地固め・葬式・墓作り・種まきなど、土にまつわるものは凶とされます。
地火日
読み方は「じかにち」または「ちかび」です。
建築の基礎工事、柱建て、井戸掘り、種まき、築墓、葬儀などの凶日とされています。
血忌日
読み方は「ちいみにち」「ちいみび」「けこ」などです。
針灸・手術・猟・鳥獣の殺生など、血を見ることは凶とされています。
重日
読み方は「じゅうにち」または「じゅうび」です。
この日は良いことはさらに良く、悪いことはさらに悪くなる日といわれ、婚礼は再婚につながるということで忌まれます。また、葬儀などにも凶とされています。
復日
読み方は「ふくにち」または「ぶくび」です。
重日と同じ効果がある日とされる日で、この日に善行を行うと重複して大吉になると考えられています。
帰忌日
読み方は「きこにち」「きしにち」「きこび」「きこじつ」「きいみび」などです。
「帰忌」とは、天棓星(てんぼうせい)の精のことで、この帰忌が地上に降り家の前で帰宅を妨害するとされる日です。
里帰り、旅行帰り、金や物の返却など、帰宅に関することが凶とされます。
天火日
読み方は「てんかにち」または「てんかび」です。
陰陽五行説において「火」は天火、地火、人火の3つに分けられますが、このうち天火のエネルギーが強い日で、この日に棟上げ、屋根葺きなどをすると火災が起きるとされています。
家屋の修理や転居も凶とされます。
凶会日
読み方は「くえにち」または「くえび」です。
陰と陽の調和が崩れやすいため、万事に忌むべき日で、この日に吉事・慶事を行うことは凶とされています。
往亡日
読み方は「おうもうにち」です。
「往(ゆ)きて亡ぶ日」という意味があり、遠出、参拝、移転、嫁入りなど「往く」ことが凶とされる日です。
時下食
読み方は「ときげじき」です。
時下食は、特定の日の特定の時間だけを忌むもので、流星の一種である天狗星(てんこうせい)の精が、下界に下りて食事をする時間といわれています。
この時に人間が食事をすると、天狗星の精に栄養が全てに吸い取られてしまうと考えられており、この時間には食事の他、種まき沐浴、草木を植えることも凶とされます。
歳下食
読み方は「さいげじき」または「さいかじき」です。
歳下食とは、時下食と同様に天狗星(てんこうせい)の精が食事のために下界に下りて来る日ですが、時下食とは異なり時間は関係ありません。
軽い凶日とされ、他の吉日が重なれば忌む必要はありませんが、凶日と重なるとより重くなります。
選日
読み方は「せんじつ」で、「雑注(ざっちゅう)」ともいいます。
ここまでの暦注下段以外のものを総称して「選日」といいます。
選日は以下のとおりです。
三伏
読み方は「さんぷく」です。
三伏とは、夏の勢いがとても盛んで秋の気配を伏する(降伏させる)という意味があり、夏の最も暑い時期のことをいいます。
八専
読み方は「はっせん」です。
八専の期間は入籍、結婚、契約、引っ越しなど、何事もうまくいかない期間とされ、法事や神事なども避けた方が良いといわれています。
十方暮
読み方は「じっぽうぐれ」です。
十方暮の十方とは、あらゆる方向のことで、「暮」はもともと「闇」と書いたことから、全ての方向が闇に閉ざされたという意味があり、入籍や結婚など婚姻関係、相談事、旅行、引っ越しなど、さまざまなことがよくない日とされています。
不成就日
読み方は「ふじょうじゅび」です。
この日は何事も成就しない日、悪い結果だけを招く日という意味があり、結婚や開店、引っ越し、契約、願い事など、色々なことが凶となっていて、なにかを始めるには適さない日とされています。
天一天上
読み方は「てんいちてんじょう」です。
天一天上は、天一神(てんいちじん)という方位神(ほういしん・方角を司る神)が天へと帰っている期間のことをいいます。
天一神は、天と地を規則的に巡っており、天一神がいる方角に向かうと祟りが起こると考えられています。
三隣亡
読み方は「さんりんぼう」です。
建築関係の大凶日とされ、文字通り「この日に建築関係のことを行うと三軒隣まで滅ぼす」と言われていました。
一粒万倍日
読み方は「いちりゅうまんばいび」です。
一粒の籾(もみ)が稲穂のように万倍にも増えるといわれる吉日で、何事を始めるにも良い日とされ、開店、種まき、商売始めなど、お金を出すことが特に良い日といわれています。
ただし、借金や人から物を借りることに関しては「苦労の種が万倍になる」ということで凶とされています。
犯土(大犯土、小犯土)
読み方は「ぼんど」です。
犯土の期間は、土をつかさどるといわれている土公神(どこうじん・土の神様)が土の中にいるため、土をいじられると怒って祟りが起きると考えられています。
臘日
読み方は「ろうじつ」です。
「臘」という字には「つなぎあわせる」という意味があり、旧年と新年の境の日となる12月31日・大晦日のことを「臘日」ということがありますが、カレンダーごとに「臘日」の決め方が異なります。
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中段と下段は科学的根拠のない吉凶占いなので、明治政府が使用を禁止した過去があります。
「科学的根拠がないのでカレンダーに記載すべきではない」という判断で、載せていないカレンダーもたくさんあります。
現在は、中段・下段まで詳しく載っているカレンダーを探すほうが難しいかもしれません。
暦注をすべて確認して行動をしようとすると、日常生活を送ることが困難になるほど複雑ですから、より良い日を選ぶための参考程度に考えておくとよいかもしれませんね。
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