おばあちゃんとお孫さんの会話です。
「おばあちゃん、明日、建国記念の日でお休みだから、遊びに行っていい?」
「あら、明日は祭日なんだね。いいよ」
「えっ?明日は祝日じゃないの?」
「いやいや、祭日で、天皇陛下のお祝いの日だよ」
「ふ~ん、まあ、どっちでもお休みだらか、遊びに行くね~」
結局、「建国記念の日」は「祭日」なのでしょうか?それとも「祝日」なのでしょうか?
「祭日」と「祝日」には、どんな違いがあるのでしょうか?
今回は、その違いにフォーカスしてみましょう。
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『祭日』とは?
「祭日」とは、読んで字のごとく「お祭りの日」です。
何の「お祭りの日」かと言うと、皇室を中心とする神道のお祭りの日のことです。
「そんなお祭りの日、あったっけ?」と思われる人も多いでしょうが、しっかりと「祭日」といった規定があったのは、戦前までのことで、戦後の法律改定により「祭日」という言葉は、名目上、暦の上からは無くなってしまいました。
関連:「神道」と「仏教」を簡単に説明!その関係と違いと共通点とは?
でも、なぜ今でもこの言葉が残っているかと言うと、ふたつの要因が考えられます。
1つ目は、以前は「祭日」とされていた日が、そのまま「祝日」として残っていること。
そして2つ目は、戦前・戦中を過ごした世代の方が、「祭日」という言葉を使っていることでしょう。
ちなみにここで、戦前に「祭日」として規定されていた日をあげてみましょう。
戦前の「祭日」 | 現在の「祝日」 |
四方節 | 現在の「元日」、1月1日のことです。 |
紀元節 | 現在の「建国記念の日」、2月11日のことです。 現在でもこの日に「日本国誕生紀元節○○年」として、お祝いをされる団体もあります。 |
春季皇霊祭 | 現在の「春分の日」のことです。 |
天長節 | 現在の「昭和の日」、4月29日のことです。昭和天皇の誕生日です。 |
秋季皇霊祭 | 現在の「秋分の日」のことです。 |
明治節 | 現在の「文化の日」、11月3日のことです。明治天皇の誕生日です。 |
新嘗祭 | 現在の「勤労感謝の日」、11月23日のことです。 |
以上が、戦前「祭日」として規定されていた日ですが、すべてが現在「祝日」として残っているので、混同されても仕方がない気がしますね。

最近では、ほとんど見られなくなりましたが、このような「もと祭日」の「祝日」に、家の軒先に国旗を掲げる家庭もありました。
まさに、「天皇陛下のお祭りをお祝いする日」という意識があったのでしょう。
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『祝日』とは?
正式には「国民の祝日に関する法律」(1948年(昭和23年)法律第178号。以下「祝日法」)第2条で「国民の祝日」として定められおり、年間16日の祝日があります。(建国記念の日のみ政令で定める日となっています。)
国民の祝日一覧
名称 | 日付 | 祝日の意義 | 解説 |
元日 | 1月1日 | 年のはじめを祝う。 | かつての四方節。 |
成人の日 | 1月の第2月曜日 | おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。 | 小正月に由来。1999年までは1月15日。ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行。 |
建国記念の日 | 2月11日 (政令で定める日) | 建国をしのび、国を愛する心を養う。 | かつての紀元節。 |
天皇誕生日 | 2月23日 | 天皇の誕生日を祝う。 | 今上天皇のお誕生日。 |
春分の日 | 春分日 (3月20日~21日頃) | 自然をたたえ、生物をいつくしむ。 | かつての春季皇霊祭。国立天文台「暦象年表」に基づき閣議決定される。 |
昭和の日 | 4月29日 | 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。お疲れ様です | かつての天長節。昭和天皇の誕生日。1989年〜2006年はみどりの日、1988年以前は天皇誕生日。 |
憲法記念日 | 5月3日 | 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。 | 日本国憲法が施行された日。 |
みどりの日 | 5月4日 | 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。 | 元々は4月29日だったが2007年以降「国民の休日」であった5月4日に移動した。 |
こどもの日 | 5月5日 | こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。 | 端午の節句。 |
海の日 | 7月の第3月曜日 | 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。 | 2002年までは7月20日。ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行。 |
山の日 | 8月11日 | 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。 | 2016年より施行。 |
敬老の日 | 9月の第3月曜日 | 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。 | 2002年までは9月15日。ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行。 |
秋分の日 | 秋分日 (9月22日~23日頃) | 祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。 | かつての秋季皇霊祭。国立天文台「暦象年表」に基づき閣議決定される。 |
スポーツの日 | 10月の第2月曜日 | スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。 | 1999年までは10月10日。ハッピーマンデー制度により、曜日固定に移行。2020年に「体育の日」から「スポーツの日」に改称。 |
文化の日 | 11月3日 | 自由と平和を愛し、文化をすすめる。 | 日本国憲法が公布された日。また、かつての明治節(明治天皇の誕生日)。 |
勤労感謝の日 | 11月23日 | 勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。 | 新嘗祭が行なわれる日。 |
※ハッピーマンデー制度とは祝日と週休2日制をつなげ、3連休以上の期間を増やすため、国民の祝日の一部を従来の日付から特定の月曜日に移動させる制度ことです。
これ以外に、「祝日法」によって定められた休日には、次のものがあります。
■「振替休日」
日曜日と祝日が重なった場合、翌日以降の祝日ではない日を「振替休日」としてお休みにします。
「振替休日」は「休日」という状態のみが振り替えられるので「祝日」という扱いにはなりません。
■「国民の休日」
祝日法改正によって1986年以降、祝日と祝日の間に挟まれた平日を「国民の休日」として、休みにすることになりました。
「国民の休日」も振替休日と同じく祝日ではありません。
ちなみに祝日と日曜日も含めた、暦の上でのお休みの日はすべて「休日」といいます。
日ごろ何気なく使っていた「祭日」という言葉にはこんな歴史的な背景があったのですね。
もし、おじいちゃんが「今日は祭日じゃのう」と言っても、「そうねぇ~」と受け流しておきましょう。
おじいちゃんたちの世代は、皇室をお祝いする時代を生きてきたのですから。
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